10月29日、国の重要文化財である東京大学総合研究博物館 小石川分館にて「NAOKI TAKIZAWA(ナオキ タキザワ)」の2010年春夏コレクションが発表された。古い動物標本のコレクションや地球儀、望遠鏡などが陳列される中、小さなステージを観客がぐるりと囲んで鑑賞する形式。

 "MICROGRAPHIA"と題されたこのコレクションは昨年秋に立ち上げられた「Natural History by Naoki Takizawa」(博物誌シリーズ)の一つであり、モード(=創造)とサイエンス(=研究)の融合を目指しているという。鉱物や植物の結晶の顕微鏡写真をプリント・モチーフに、古い学術標本をテキスタイル化した、といえば難解な印象を持つかもしれないが、その美しさはまるで優雅なヴィンテージドレスのよう。「100年前のモチーフを生かしたことでノスタルジックな印象が生まれた」とデザイナーは語る。

 今回のコレクションでは型紙を使わず、布を束ね、重ね、折り込むといったプロセスで衣服を立体化させた。また世界最軽量のポリエステルや極細フィラメント糸などを用い、繊細で軽やかなドレープ感を実現。最先端のナノ・テキスタイル・テクノロジーが可能にした薄いレイヤードは、つい触れてみたくなるほどの透明感だ。ミクロの世界で見る自然界の神秘を投影したドレスたちは、過去と未来、そしてモードとサイエンスを見事につなぎあわせていた。

2009.11.04 (12:44)