原点回帰へ向かう女性の脚 ストッキングの"逆襲"とは
2012年06月20日 12:45 JST2011年より女性のおしゃれとして、ストッキングが定着している。ストッキング大手アツギの2012年春の1足売りプレーンストッキングの販売は、2011年同時期対比で数量・金額ともに二桁の伸びを示して好調だという。これを牽引しているのが、トップモデルのTAO(タオ)を広告塔に起用し2011年春夏シーズンより発売したプレーンストッキングブランド「ASTIGU(アスティーグ)」だ。

日本で初めてパンティストッキングを発売したアツギは2012年、創立以来初となる展示会を開催した。アツギは、1947年に厚木編織株式会社として創業。1961年よりシームレスストッキング、シームレスタイツ等を国内で本格的に販売し、7年後にはガーターをなくしたパンティストッキングの展開をスタート。1979年に発売したフルサポーティパンティストッキングは、優れた品質と高いフィット感から、多くの女性の支持を集めてきた。毎シーズンの企画数は300種。それぞれにこれまで培ってきたアツギの技術が反映されている。
展示会では2011年にアツギが新しい挑戦として開発した「ASTIGU」を展示。アツギは、1967年に来日したミニの女王ツィギーの人気に伴い、開発された日本初のガーターベルトのないパンティストッキング生産に成功。つつましい日本女性に脚を出す勇気を与え、より活動的・行動的なライフスタイルを生み出す原動力を与えた。しかし、現代においては、かつては誰もが憧れるファッションアイテムだったプレーンストッキングが、いつの間にか素足が好まれ、女性から遠い存在になっている。そこで、無地のパンティストッキングを指すプレーンストッキングを軸とした「ASTIGU」を、「プレーンストッキング逆襲」というキャッチコピーをつけて打ち出した。プレーンストッキング未体験の女性が、美意識やファッションで「はきたい」と感じられるような新しい価値を創造するため、脚を美しく見せる11種類の商品をラインナップ。それぞれの特長を「11の美意識で選べるパンスト」として"わかりやすく"伝え、様々なファッションを楽しみながら着こなす新しい機能型ストッキングを提案している。

様々な種類のストッキングが販売されているなか、「ASTIGU」の売上が伸び続けている理由のひとつは、パッケージに漢字一文字を採用していることにあるという。「どんな種類のストッキングはどのくらいあるのか理解している女性は意外に少ない。どんなストッキングなのかを瞬間的にわからせるのに、漢字一文字のインパクトはかなり大きく、効果的だった」と話すのは開発担当者。自然な素肌感を実現したいのならば「肌」、2重巻き構造の丈夫な糸を使用している「強」、繊維にあらかじめ黒色を練り込んだ糸を使用した「黒」、シャリ感があり夏でも快適な「爽」、ペディキュアを見せられるオープントゥサンダルのため「開」など、その機能性は一目瞭然だ。
その機能性は、TAOと「漢字」が主役のTVCMでも効果的に表現されている。耳に残る楽曲は「ハイファッション but ユーモラスな2.5枚目」という、映像のコンセプトに基づいて作られたオリジナル曲。作曲したのは、映画「告白」のサウンドトラックやSMAPに楽曲を提供している永井聖一、サックスは後関好宏が演奏している。耳を澄ませると、「ASTIGU」の商品特長である11文字の漢字をそのまま歌詞として唄い込んでいるユニークな作品で、幅広い客層に訴求している。
「ASTIGU」のようなプレーンストッキングの人気と二分して、若い世代を中心にタトゥーストッキングがおしゃれのマストアイテムとなっている。2011年にレッグウエアブランド「MAM AVANTGARDE(エム エー エム アバンギャルド)」が原宿の竹下通りにオープンしたアトリエ一体型ショップ「AVANTGARDE(アバンギャルド )」は、オリジナルブランドや海外からセレクトしたレッグウェアをラインナップ。地下1階の店舗は、ショップ名と同様の"アヴァンギャルド"な内装ながら、平日から"原宿系"だけではないジャンルの女性客が訪れている。オリジナルの「MAM AVANTGARDE」150種うち、タトゥーストッキングが50種を占め、月の販売枚数はなんと1万5000足と好調。価格は1着1,990円〜。


渋谷に旗艦店を持つ「American Apparel(アメリカンアパレル)」の売れ筋はバレエピンクや、ライラックといった白系カラー。なかでもセクシーなスパイラルパターンを特徴に、肌が透けるシアースパイラルタイツ(1足1,500円)や、幾何学柄のオパークリキッドメタッリクパンティーホース(1足2,700円)は、渋谷レディース館のみで1ヶ月、1カラーにつき約100足は売れる人気商品だという。売れ筋としては「80's風のニュアンスや文字プリントのもの。前年に比べストッキングの売上げが好調(同社広報担当者)」と、原宿・渋谷エリアの若者の間でも2011年頃から急激にストッキングの注目度が上がったことがわかる。

また、OLからギャルまで幅広い女性が訪れる東京・渋谷の百貨店「西武渋谷店」にも、プレーンストッキングへの回帰は現れている。2011年から2012年にかけて、プレーンストッキングは前年比129.8%とダントツに売れている。担当者も、「去年は柄もののストッキングが売れていたが、今年はプレーンストッキングに移行しているようだ」と話す。
2011年「ASTIGU」のデビューと同じ春夏シーズンに、キャサリン妃(ケイト・ミドルトン)の装いは世界的に注目を浴びた。彼女がプレーンストッキングを履いたことにより、改めてプレーンストッキングの魅力が再考されたことは多くの世界各国のファッションジャーナリストが伝えている。現在の40代女性にとっては当たり前だったと言われるストッキングをはくという習慣が、2012年には日本でも機能性やファッション性を伴い、おしゃれの一環として復活。若い世代を中心にその魅力は伝播し、「プレーンストッキングの逆襲」を後押ししている。

仕掛役の「ASTIGU」は2012-13年秋冬シーズン、次なるステージを目指す。"はきたい"と思わせる素材やデザインの開発の焦点は、機能的な「温かさ」から本質的な「美しさ」へ。女性の脚の革命は続く。
