何が変わった?世界最大級のファッション展「IFF MAGIC Japan」初日レポート

 4月26日から28日までの3日間、世界最大級のファッション展「IFF MAGIC Japan」が東京ビッグサイト西館で開催されています。繊研新聞社が主催する日本最大級のファッションビジネス展示会「JFW-IFF」と、UBMが主催するラスベガスの世界最大のファッションイベント「MAGIC」が提携したイベントで、今回が第1回目。30カ国以上700社が出展する展示ブースに加え、ライブデモンストレーションやカフェ・バー、DJ・ブロガーラウンジ、パーティー会場などが設けられ、業界関係者が1日滞在できるクリエーティブな空間に生まれ変わるそうです。FASHIONSNAPでは初日の様子を現場から随時レポートしていきます。

10:00 開場

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 こちらが受付。バイイングや市場調査、取材などを目的に、10時のオープン前から業界関係者が続々と来場しています。

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 受付を済まして名刺ホルダーと資料を入手。名刺ホルダーのネックストラップはなんと、YKKのジップをアレンジ。自由に開閉することができ便利そうです。

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 会場は「EDIT」「Men's」「Lady's」「Creator's Village」「International & Sourcing」「Made in Japan」「Fashion Goods」と、アイテム毎に全7ゾーンで構成されています。それでは1階から周っていきましょう。

12:00 1階 Men's ゾーン

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 Men'sゾーンでは、スーツなどのオンスタイルからデニムなどのカジュアルスタイルまで、様々なテイストのメンズウエアが集結。ユニセックスブランドも対象です。

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 まずは、2017年春夏にデビューしたばかりの「アンスポ(un(1)spo)」のブースへ。隣に出展しているトリピュアジャパンの交感神経の活性化や瞬発力向上等を目的に鉱石を配合したテクノロジー「AddElm」を染料に混ぜてプリントを施しているそう。機能性とファッション性を兼ね備え、スポーツシーンやタウンユースにも適応するテクノロジーカジュアルウエアをウィメンズとユニセックスで展開。国内をはじめアジアを中心とした海外展開を視野に入れ、今回出展を決めたそうです。

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 アメリカ発祥のスポーツブランド「ケイパ(Kaepa)は、今回の出展を機に「改めてブランドの認知を広め、若い層までリーチしていきたい」とのこと。原色やプリントを取り入れ90年代の古き良きスポーツブランドを"ケイパ流"で表現したコレクションを初披露しています。

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 「CUNEが作っているものはファッションではありません。モードでもありません。あえてたとえるなら『かろうじて服』といったところです」という独自のコンセプトを掲げる気鋭ブランド「キューン(CUNE)」を発見。現在海外の卸先はなく、今回「IFF MAGIC Japan」の出展を決めたそう。会場ではあえてジーパンのみで勝負。真っ赤なブースはインパクトが大きく、バイヤーなど来場者の目に留まりやすいですね。

14:00 1階Lady'sゾーン

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 次はウィメンズアパレルを中心とした最大のゾーンへ。引き続き、気になったブランドのブースに入ってみましょう。

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 まずは、2017年春夏に始動したブラウスのみのウィメンズブランド「ティー(TEEE )」です。Tシャツのようにラフに着られるブラウスを7・9・11・13・15の5サイズで展開。現在は全国の百貨店を中心にポップアップショップや、自社EC、ゾゾタウン(ZOZOTOWN)などで販売しているそうです。

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 続いて気になったのは、2017年春夏シーズンにスタートしたばかりのウィメンズブランド「シング(thing)」。普遍的なものを独自にアレンジしたアンバランスさをリアルクローズで表現しているそう。前シーズンはスタンダードなコレクションでしたが、今回はデザイン性をより強めたとのこと。

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 文化ファッション大学院大学(BFGU)も出展。ブースでは1日に4回インスタレーションショーが開催されています。

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 ウィメンズを中心としたODM・OEM企業のNEST。2006年に3人で設立し、現在は12人以上で16億円を売り上げるほど成長しているそうです。

15:00 ランチタイム

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 1階奥にあるカフェ「stopover tokyo LOUNGE」で少し遅めのランチです。2人で日替わり弁当(700円)とサンドウィッチ(500円)のドリンクセット(+200円)を頼み、レポートの作業に取り掛かります。

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 作業をしていると、ブロガーでアートディレクター、フォトグラファーとマルチに活躍する鈴木淳子さんに遭遇。「IFF MAGIC Japan」のブロガーラウンジ枠で来場していて、これから会場を周って気になったブランドは随時SNS等で発信していくそうです。ちなみに鈴木さんのインスタはこちら(@junkosuzuki)。

16:00 1階 Editゾーン

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 「Edit」ゾーンはIFF MAGICがキュレートするエリアで、一定のクオリティー・価格・販路先を持つ厳選されたブランドが揃っているとのこと。

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 まずは「GM STUDIO」へ。「GUESS JEANS」の共同創立者であるArmand MARCIANOとGeorges MARCIANOによって2016年に立ち上げられたブランドです。まだ日本での展開はなく、「IFF MAGIC Japan」では代理店などを探しているそうです。

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 ポップなカラーリングが目を引く「i-am-chen」。デザイナーのZHI Chenさんは、パーソンズ美術大学やロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを経て、2017年に卒業後すぐに香港でブランドを立ち上げたそうです。今回出展している2017-18年秋冬コレクションがファーストコレクション。自身を技術者として捉え、「オリジナルの生地を開発するためには機械の特徴や生産技術を熟知する必要があります。だから私は工場で1日の大半を過ごしていますね」といいます。

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 ファッションだけと思いきや、バーバーが出現。海外の展示会ではバーバーの出展も珍しくないそうです。こちらはNY・ブルックリンのバーバーサロン「ルドロー・ブラント(LUDLOW BLUNT)」で、7月上旬に代官山にオープンを予定。1920〜30年代をイメージした店内では、30年代のバーバーの制服を再現したウエアなども販売されるそうですよ。

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 BABYMARYさん(@babymaryfaline)が手がける「ファリーン(FALINE)」を発見。実は新たにクリエーターエージェント「OFFICE FALINE」を立ち上げたそうで、そのPRも兼ねて出展したそう。「OFFICE FALINE」には「ピガール(PIGALLE)」のステファン・アシュプールのフィアンセ マリッサや、モデルのゴールド・エリカ、リエンジェルなどが在籍。インフルエンサーとしても来場しているBABYMARYさんは「IFF MAGIC」について、「DJの音楽もかかっているしヒップな雰囲気。とっても楽しい」とコメントしてくれました。

17:30 セミナー

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 「IFF MAGIC Japan」では、デザイナーやバイヤー、ジャーナリスト、アパレル企業の社長など、毎日様々な出演者によるセミナーが開催されています。今日はBAUHAUSのMD兼バイヤーManchanさんとShineのシニアバイヤーJonathan Leeさんが登壇する「AISAバイヤーに聞く日本ブランドの可能性と今後」に参加。特に興味深かったいくつかのQ&Aを紹介します。

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Q:日本のブランドが世界で活躍することが少なくなっています。その理由はなぜだと思いますか?

ShineシニアバイヤーJonathan Lee(以下 J):日本で土台作りをせずに、すぐに世界に出たがる傾向があるのではないでしょうか。輸送費や交通費、情報収集など色々なことに負担がかかりますし、結局うまくいかないことが多々見られます。日本にはユニクロのような大手アパレル企業があり、若手デザイナーがそういう企業に対抗して少量で良いものを作るのはもちろん理解できるのですが、海外に持っていけばハイブランドと同じ価格帯と並ぶことになってしまいます。

BAUHAUS MD兼バイヤーManchan(以下 M):10〜15年前、日本の百貨店にリサーチに行くととても良い若手ブランドが数多くありました。でも、今はどこのお店も同じブランドばかり。本当に良い若手の発掘がされていないのではと感じます。

Q:アジアの中でも英語対応ができないブランドが多い日本ですが、それに対してどう思いますか?

M:英語が喋れないことは全く問題ありません。良いものを探しているのであって、英語を喋れる人を探しているわけではないので、もっと自分のクリエーションに自信を持って前に出てきてほしいです。韓国のデザイナーも喋れない人の方が多いですが、最近香港やヨーロッパなど世界で評価され、韓国ブランドを取り扱う店舗が増えています。英語が喋れなくても道はあるので、しっかりと自分のコレクションを発表することが大事です。

J:英語が喋れるスタッフがいるに越したことはないですが、自分たちにアプローチしてくれる姿があれば、問題ありません。パリでは英語が喋れないデザイナーも数多くいます。それでもアプローチの仕方や物作りから出てくる彼らのパッションを我々は見ていますから、日本のブランドにも同じことが言えます。

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Q:日本のファッションウイークについてどう思いますか?

J:5大ファッションウイークの中で1番弱いファッションウイークではないかと感じます。デザイナーに対するサポートが少ないのと、デザイナー自身も「そんなサポートならいらない」と思っているのではないでしょうか。ファッションウイークはランウェイだけではないですが、例えばロンドンファッションウイークでは、元々ロンドンでランウェイをしていてその後パリやイタリアで活躍しているブランドを呼び戻し、またロンドンでランウェイや展示会を行うという動きがあります。個人的に面白いなと思うのは、コム デ ギャルソンが日本で再びランウェイをするとか。そしたら世界中がまた日本のファッションウイークに注目するんじゃないでしょうか。

M:日本ではファッションウイークの週とは別に、その前後2週間も展示会をしていますよね。ファッションウイークなのかファッションマンスなのか分からないくらい長すぎます。お金をかけて日本にくるので、月の始めと終わりに来なければならない負担を減らしたいです。なので1週間にまとめた方が良いのではないかと思います。

18:00 4階

 4階は「Made in Japan」ゾーンと「Creator's Village」ゾーン、「International & Sourcing」ゾーンの3ゾーンで構成されています。展示会は18:00までですが、残り時間はあとわずか・・・。どんどん周ります。

「Made in Japan」ゾーン

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 「Made in Japan」ゾーンは、純国産・国産ブランドから世界に誇れる技術を使ったブランドが出展できるエリア。出展には単なる日本製だけではなく、オリジナリティーも求められるそうです。2017-18年秋冬シーズンから卸売展開をスタートする、ベイクルーズが展開するデニムブランド「ボナム(BONUM)」も出展していました。

「Creator's Village」ゾーン

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 クリエーターの活動をサポートすることを目的に始まった「Creator's Village」ゾーンはIFFから引き続き設置。年商や出展回数によって出展できる面積が異なるというシビアなゾーンです。

iffmagicjapan-2017-10-20170426_014.jpg 襟が2枚重なったコートや、ツイードやフラノ等の異素材を格子状に組んで部分的にポイントにしたジャケットやブラウスなど、"にくい"と思うような服を目指すという「a.saught」。2016-17年秋冬シーズンがデビューコレクションだという新ブランドで、今回の出展で初披露だそう。

iffmagicjapan-2017-10-20170426_013.jpg 「a.saught」の向かいには今シーズン再始動した「ドコカキタノホウ(DOKOKA KITANO-HOU)」

iffmagicjapan-2017-10-20170426_009.jpg 木材をベースにしたアクセサリーブランド「ジュウロク(16)」。ブランド立ち上げ4年目です。これまで「sculpt(彫刻)」「brass(真鍮)」といった手作業によるアイテムを展開してきましたが、今回はメープルの木をレーザーカットによって薄くスライスして重ねた量産可能な新シリーズ「kasane(重ね)」を発表しています。

「International & Sourcing」ゾーン

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 「International & Sourcing」ゾーンは、生産系などを中心に世界各国から団体出展企業が集まるゾーンです。アパレル生産大国である中国や有力生産国のインドやバングラデシュなど、有力な海外生産工場の開拓を目的に設置されています。

19:00 OPENING NIGHT PARTY

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iffmagicjapan-2017-12-20170426_001.jpg 18:00に展示会が終了すると、DJ・ブロガーラウンジでパーティーがスタート。

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 パーティータイムのDJはモデルの吉田沙世さん。毎日2〜3人日替わりでDJが来場し、会場を盛り上げるそうです。

iffmagicjapan-2017-12-20170426_009.jpgiffmagicjapan-2017-12-20170426_007.jpg 会場にはミニバーガーやポテトフライといったアメリカらしいフードやドリンクなどが振る舞われます。

iffmagicjapan-2017-12-20170426_008.jpgiffmagicjapan-2017-12-20170426_006.jpg 日中の展示ブースとはまた違った雰囲気で、みなさんドリンクを片手に会話が弾んでいる様子。

20:30 初日終了

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(左)UBM Japanプロデューサー兼ファッション事業部部長 石原隼人(右)UBM Americasコンサルティング プレジデント Christopher Griffin

 パーティーも落ち着き、「IFF MAGIC Japan」1日目が終了しました。10時のオープン前から多くの来場者で賑わったことからも注目度の高さが伺えますが、30カ国以上700社の出展者と世界中のバイヤーを繋げるというビジネス面はもちろん、DJ・ブロガーラウンジといったエンターテイメント性も兼ね備えるなど、「JFW-IFF」に「MAGIC」が加わったことで会場の雰囲気が変わり、よりクリエーティビティが感じられる空間になっていました。「MAGIC」を主催するUBMの2人は、「とにかく今までのIFFとはガラッと変えたい思いがありました。DJやブロガーラウンジを設置したり、ファッション業界は幅が広い業界だと思うのでアートやミュージック、カルチャーなどを全部巻き込んだ展示会の演出をできたんじゃないかと思います」と初日を振り返ります。また、「初日から出展者や来場者から『かっこいいね』や『前と全然違うね』といった声をかけて頂けて嬉しいですね」と笑顔。

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 1日会場を周り、出展理由を聞いて1番多かったのが「今回からMAGICが加わり多くの海外バイヤーが来場するから」という回答。とはいえ、出展時期として4月末はバイヤーの予算も少なくなっている状況ですが、石原さんは「時期に関しては早めた方が良いというのは分かっていますが、会場のビッグサイトの空きがないなど前倒しするのが難しい状況です。会場を移すとなるとこの規模の会場は関東だと幕張メッセくらいしかありません」と話し、また「IFF MAGIC Japanが良い展示会だったらバイヤーさんも予算を残すので、そのくらい良い展示会にしていきたいですね」と言います。

 今後について、グリフィンさんは「ただ物を置いて買ってもらう展示会ではなく、経験として良いものを出し、デザイナーの様々なインスピレーションやアイデアを表現できるイベントを目指しています。それが実現できれば、ビジネス面や展示会の規模も自然と拡大していくと思います」とコメント。石原さんは「まずはアジア1のイベントに。アメリカのMAGICは、アメリカだったらファッション業界人は何があっても絶対外さないので、まずはそういった存在になることを目指します」と展望を語りました。生まれ変わった「IFF MAGIC Japan」は28日まで開催しています。