[インタビュー] デザイナー山本里美、LIMI feu(リミフゥ)10年の節目

2010年05月01日 08:50 JST
「LIMI feu(リミフゥ)」デザイナー山本里美
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 デザイナー山本里美氏による「LIMI feu(リミフゥ)」が、ブランドスタートから10年を迎えた。2010年5月10日には、東京にて「10years of Trace LIMI feu Collection」と題したコレクションの開催が予定されている。真摯な姿勢で女性の服をつくり続けてきた山本里美氏の、10年間変わらないスピリットや思い、そしてこれからの「LIMI feu」の姿などを、インタビューを通じて伺った。


ーデザイナーの道に進んだきっかけは?

 父(デザイナー山本耀司氏)のNYで行われた1996-97年秋冬コレクションを観た事がきっかけです。服を着たモデルが歩いているだけなのに、これだけ心を動かされるのは何故だろうと強く心を打たれ、このときに初めて服のすごさを知りました。

 ヨウジヤマモト社にパタンナーとして入社し、2年が経ったころ、耀司さんから「自分のブランドを持ってみないか」と言われ、「Y's bis LIMI(ワイズビスリミ)」のデザイナーになりました。その時は本当に、絶壁からガツンと突き落とされた感じでしたね。すべての仕事が手探り状態で、若いからという理由で他からなめられないように、もがきました。若さゆえのパワーでした。


ー10年間変わらないものやスピリットは?

 自分に対して真正面からぶつかっている人に着てほしい、という変わらない思いがあります。様々なモデルを起用するコレクションも、その表し方のひとつです。その人が持っている雰囲気やオーラが服と衝突して生み出される強さを大切にしています。

 自分も含めて、女という生き物は心に複雑なものを秘めていると思います。そんな女性が着て完成されるのが「LIMI feu」の服です。

 それと、コレクションの服が必ず店頭に並ぶのも私のポリシー。結局、奇抜さやデザイン性だけの勝負ではなく、着てもらわないと作った意味がないのです。女の人の日常の中で、自分の作った服が溶け込んで欲しい。それをずっと提案して行きたいと思っています。


ーデザインのインスピレーションはどこから?

 実際に自分が見たり触ったりして、心を動かされたものしか服に落とし込めません。 それと、人間観察が好きなんです。カフェにいると、外を歩いている人が気になってしょうがないくらい(笑)。すごくおしゃれな人を見ると、もの作りのテンションが上がります。

 気がつけば365日、服のことを考えていますね。私は今も変わらずにパターンを引いているので、服に対する思い入れは強いです。


ーデビュー7年後にパリへ進出した理由は?

 ブランドをスタートした時から漠然とですが、パリを意識していました。まず日本でのイメージとビジネスをしっかり作り上げてからという考えがあったので、パリ進出はデビューから7年後でした。

 日本には素晴らしい素材や仕立てのテクニックがあり、そのことに支えられて今の自分があります。私の周りの全てをもっと広い世界の人に、より多くの人に知ってもらいたいと思っています。


ーなぜ日本とパリの2カ所でコレクションを?反応の違いは?

 私のホームタウンは日本であり、自分が日本人であることを誇りに思っています。ですので、日本人の女性に着てもらいたいという思いが強くあって、パリだけではなく日本でもコレクションをやろうと決めました。

 パリでデビューしたときに感じたことですが、コレクションに対する評価の違いはありますね。中でも一番の違いは、日本では「YohjiとLIMIはどこが似ているか」に対して、海外だと「YohjiとLIMIはどこが違うか」が論点だということ。受け止められ方が全然違うなと、そこで実感しました。向こうのメディアはきちんと叩いてもくれるし、「ありがとう!」と言いたくなるほど意外な捉え方をしてくれる方もいるので発見があります。


ーデザイナーとして常に新しいものを生み出し続ける、その原動力は?

 それは単純で、服が好きだから。自分でも悩むことがありますが、なぜその仕事を始めたのか、という原点に戻らないといけないと思うんです。「好きだから」というのは単純ですが、私にとってはそれが全てで、逆にいうと嫌いになれないんです。


ー10年間の中で苦労や壁はあったと思います。それをどう乗り越えてきたのですか?

 これまで私は、ブランドについても会社についても真正直にやってきました。でも昨年、親会社の再編などいろいろあったのはみなさんご存知の通りです。精神的に辛い時期でしたが、そんなときに取引先の方から小包が届きました。中身は栄養ドリンクが2ダースで、そこに手書きで「ファイト」って書いてあったんです。それを見た瞬間、大泣きしてしまいました。それと同時に、こういう取引先の方がいてくれたんだという、改めて実感と喜びがあって、人生って捨てたもんじゃないなと思える出来事がありました。

 昨年は衝撃的な1年間だったんですが、ある意味、それは自分にとっていいタイミングで、責任というのは何なのかと考え直したり、様々な事を体験することで次に進むためのステップになったと思います。


ー山本さん自身、そして「LIMI feu」の今後の目標は?

 刺激のない答えかもしれませんが、今後もこのままの状態が維持できればいいと思っています。特に昨年思ったのは、自分が欲しいのは地位や名声では決してないということ。今いるスタッフが生活出来て、自分達が作りたいものを作り続けられれば、それだけで私は十分幸せです。

 「LIMI feu」についても、当初からブランドを大きくしたいという気持ちはありませんでした。自分の目の行き届く中で「LIMI feu」を大切にしたいと思っています。そして、スタッフ達が多いに楽しんで、笑って、時には泣いて怒って、そうして生きていけたら十分です。

 目標があるとすれば、それはいい服を世の中に出し続ける、ということだけです。


ー5月に東京で開催する「10years of Trace LIMI feu Collection」はどんなコレクションを予定していますか?

 自分達の10年間というよりも、服を着てくれている人にとっての10年間を大切にしようという思いがあります。特にホームタウンである東京でのコレクションなので、何が出来るかミーティングを重ねている所です。楽しみにしていてください。


■2010-11A/W「10years of Trace LIMI feu Collection」開催予定
 2010.5.10 at THE GARDEN HALL
 OPEN 19:00 / START 20:00
 ※ショップにてコレクション招待企画を実施中

■LIMI feu オフィシャルサイト www.limifeu.com


■LIMI feu 近年のコレクションレポート
 2009S/S「 [Paris+ Trace=Tokyo] Trace#10 LIMI feuコレクション」
 2009-10A/W「[Paris+Trace=Tokyo]Trace#11 LIMI feu Collection」
 2010S/S「OKAY! TRACE!! LIMI feu Collection」