【連載:ファッションショーの作り方 vol.2】"東コレ"デビューするダブレットとは?

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 「ドーバー ストリート マーケット(Dover Street Market)」や「コレット(colette)」などが買い付けるメンズブランド「ダブレット(doublet) 」。初の単独ショーを行う同ブランドの"ショーの作り方"に密着します。連載2回目では「ダブレット」はなぜ今注目されているのか?バイヤーたちの評価や「ダブレット」を支えるチームを通してブランドの魅力に迫ります。

【短期連載 vol.1】ファッションショーの基本
【短期連載 vol.2】"東コレ"デビューするダブレットとは?
【短期連載 vol.3】ショーイメージを固める
【短期連載 vol.4】スタイリストの仕事
【短期連載 vol.5】ショー音楽
【短期連載 vol.6】モデルに聞く10の質問
【短期連載 vol.7】ショー演出
【短期連載 vol.8】広報の仕事
【短期連載 vol.9】ヘアメイクの仕事
【短期連載 vol.10】ダブレットデザイナー井野がショー直前に思うこと
【短期連載 vol.11】ダブレット、ショー当日の舞台裏

都知事も認めた、「ダブレット」とは?

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2016-17A/W Collection

 「ダブレット」は、「ミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)」出身の井野将之氏が2012年に立ち上げたメンズブランドです。「違和感のある日常着」をコンセプトにウエアやバッグ、シューズを展開しており、ブランド名の「doublet」はルイス・キャロルの言葉遊び「ダブレット」に由来。これまで「NEW YORK」という文字が崩れた様を刺繍で表現したスウェットや虎や文字などを刺繍で上から重ねたスカジャンなど、遊びのあるリアルクローズを展開しています。

 取扱店舗は「ドーバー ストリート マーケット(Dover Street Market)」をはじめ、「コレット(colette)」や「ディエチ コルソ コモ(10 Corso Como)」、「ミッドウエスト(MIDWEST)」、「WISM」など約40店舗。「2013 Tokyo新人デザイナーファッション大賞」プロ部門のビジネス支援デザイナーに選出され最高位の東京都知事賞を受賞し、第3回「TOKYO FASHION AWARD」を受賞したことで、1月にはパリで展示会を実施。同アワードのサポートのもと、「Amazon Fashion Week TOKYO」に参加し、3月25日の20時半からショーを開催します。

■過去のコレクション
2015 Spring Summer
2015-16 Autumn Winter
2016 Spring Summer
2016-17 Autumn Winter
2017 Spring Summer

ダブレットを支えるプロフェッショナルたち

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2017S/S Collection

 「ダブレット」には、ミハラヤスヒロ(MIHARAYASUHIRO)」出身のパタンナーとニッターがいます。基本的にはコンセプトを井野氏が決めて、その後はパタンナーの村上高士氏とニッターの嘉納絵里奈氏の3人で一緒に服作りを行っていきます。

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村上高士氏

 パターンは基本的に平面裁断で、トワルを組んで微調整しながら仕上げていきます。村上氏は「長い付き合いなので、井野のやりたいことを汲み取りやすい」と仕様書ベースではなく感覚的な部分での共通認識があってこそ成り立つ服作りが強みだと分析。意思の疎通がとれているからこそ「ダブレット」ではサンプルがボツになることもほとんどなく、2017−18年秋冬コレクションでは一つもなかったようです。なお外部のパターンも手がける村上氏は、古着やミリタリーが好きで、仕様などはそこからインスパイアされることが多いとのこと。

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嘉納絵里奈氏

 「ミハラヤスヒロ」のPR部、企画部を経て、現在はフリーランスとして様々なブランドのニットを手がける嘉納氏は、ファーストシーズンから「ダブレット」のニットを担当。「デイリーユースで且つ魅せるものを作る」ことにこだわっており、ショーピースのような街で着用しづらいは服はあまり作らないようにしているとのこと。デザインにユーモアを入れることをここ数シーズン続けており、今回のコレクションでは、「3XL size」と書かれたオーバーサイズのニットに縮絨をかけてジャストサイズで着られるようにしたアイテムを製作。母親が間違えて乾燥機にかけてしまったようなデザインに仕上げたようです。

バイヤー、ライターが語るダブレットの魅力

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2017S/S Collection

 では、実際に「ダブレット」を扱うショップバイヤー、アイテムを着用しているファッションライターはブランドのことをどう見ているのでしょうか?

Chapter1:MIDWEST メンズバイヤー大澤武徳氏

 シーズンを重ねるごとにオリジナリティのある刺繍テクニックやデザインにブランドの可能性を強く感じ、2014-15年秋冬シーズンから継続して買い付けています。ファッション感度が高い顧客を中心に人気で、今では予約会時に完売し、店頭に並ばないアイテムもあります。成功したデザイナーのアシスタントが独立してブランドを設立した場合、デザインや作風が似てくるもので、結局は師匠を越えられないことが多いものです。しかし過去に所属していたブランドに影響され過ぎない"商品に熱さが乗り移っているブランド"で、常に他ブランドには無いデザインに挑戦し続けていると思っています。また以前、名古屋店での展示会の日程が合わず諦めていたところ、井野氏自ら名古屋まで全サンプルを運び、急遽展示会を開催したことがあり、スタッフ一同感動したこともありました。

Chapter2:10 Corso Como バイヤーHoung Nam氏

 2015-16年秋冬コレクションから「ダブレット」の取り扱いをスタートしました。最近の日本のブランドはシンプルでベーシックなアイテムに集中しており、「ヴェトモン(VETEMENTS)」や「ゴーシャ・ラブチン スキー(GOSHA RUBCHINSKIY)」、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー™(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH™)」などのような世界的なトレンドから少し離れている印象です。そんな中、井野さんは世界レベルのトレンドを捉える力があると同時に、日本の職人技も持ち合わせていると思います。売上も着実に伸びており、特に2017年春夏コレクションは顧客の反応が良く、好調です。

Chapter3:ファッションライター マスイユウ氏

 フリースネックウォーマーやアルパカ混インディゴパンツ、ステッカーセーターを愛用しています。着やすさ、インターナショナルなトレンドを押さえていること、スタイリングでの多様性が優れていて、独特のウィットも特徴の一つ。恐らくこのウィットが着たいと思わせる一番の理由だと考えます。ショーでは服の上で表現されている面白さをどれだけ演出に落とし込めるかに注目したいです。

 次回は、「どんなショーにする?イメージの固め方」についての密着レポートを公開します。