【連載:ファッションショーの作り方 vol.5】ショー音楽

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 菊地成孔氏の著書「服は何故音楽を必要とするのか?」など、ファッションと音楽の親和性の高さについては様々なところで語られています。ファッションショーにおいても音楽は世界観を伝える上で重要なファクターの一つ。「ダブレット(doublet) 」連載5回目は、ショー音楽を担当する「ハバネロポッセ(HABANERO POSSE)」メンバーDJ BINGO氏の楽曲作りに迫ります。

【短期連載 vol.1】ファッションショーの基本
【短期連載 vol.2】"東コレ"デビューするダブレットとは?
【短期連載 vol.3】ショーイメージを固める
【短期連載 vol.4】スタイリストの仕事
【短期連載 vol.5】ショー音楽
【短期連載 vol.6】モデルに聞く10の質問
【短期連載 vol.7】ショー演出
【短期連載 vol.8】広報の仕事
【短期連載 vol.9】ヘアメイクの仕事
【短期連載 vol.10】ダブレットデザイナー井野がショー直前に思うこと
【短期連載 vol.11】ダブレット、ショー当日の舞台裏

「マックダディー」出身のDJ BINGOとは?

 音楽を担当するのはDJ/プロデューサー・ユニット「ハバネロポッセ(HABANERO POSSE)」のメンバーDJ BINGO氏です。裏原ブランドの一つ「マックダディー(MACKDADDY)」でバイイングやマネジメント、PR業務などを行いながら、音楽作りを独学で学びDJとしての活動をスタート。2015年に独立し、これまで瀧定大阪とクリエイティブチームセルフの合同プロジェクト「キャナライズ(canalize)」の音楽などを手掛けてきました。

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DJ BINGO
HABANERO POSSE メンバー。ヒップホップ、レゲエをルーツに持ちながらも、テクノからJ-POPまで幅の広い選曲でハバネロポッセ時とは趣の違うソロDJとして活動。Eary Rave, OldSkool Hardcore専門のDJユニット「Jeff&Mills」を2016年に立ち上げる。

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ショー音楽作りの流れ

 ファッションに縁のあるDJ BINGO氏ですが、実はファッションショーの音楽を担当するのは今回が初めて。「夢の一つだったショー音楽を作る仕事を頂けて本当に嬉しい」とショーへの想いもひとしおのよう。「ダブレット(doublet) 」チームと打ち合わせを行い、コレクションやテーマなどからインスピレーションを得てどういった音楽にするのか決めていきます。

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井野:「今回のコレクションは『未成年』がキーワードで、ショーでは90年代のユースカルチャーを表現したいと思っているんです。モデルの歩くスピードも大事ですが、それよりもテーマ性を踏まえた曲を作って頂きたくて」

DJ BINGO:「コレクションやスタイリングを見ると、90年代の『レイブ』のような世界観というか、そういったイメージの曲が合うかもしれませんね」

井野:「レイブ!それはとてもマッチしていると思います」

DJ BINGO:「モデルの歩くスピードはあまり考慮に入れないでいいということですが、テンポは一定がいいですか?」

井野:「できれば緩急がほしいです。ただメロウまではいかないようにしたくて」

DJ BINGO:「ではBPMの調整で、ショーに起伏を付けましょう。明け方に聞いて気持ちいいというか、ビートが強くないけど優しい曲もいいかもしれません」

 

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 共有したイメージをベースに、まずはパソコンでデモ音源を制作。デモをたたき台に井野氏とやりとりを重ね、曲のクオリティを高めていきます。DJ BINGO氏はレイブの要素を加えるため、チープなシンセサイザーを使ったり、90年代に流行っていた音楽ソフトを使うことでローファイ感を出すことに。更にヒップホップのテイストを入れ、サンプリングも使うことで曲の厚みを出すことにしたそうです。ショーが間延びしないよう段階的に抑揚を付け、ストーリーを作ることも意識したとのこと。

 

ショー音楽の難しさ

 ショーでの音楽の役割について同氏は「音楽は全体の雰囲気を伝える上でとても大事なもの。音楽によってテーマの伝わりやすさも変わってきます」と語ってくれました。ただテーマ性を強く打ち出しすぎることは避けたいようで、「分かりやす過ぎても野暮ったくなりますし、逆に分からなさ過ぎても共感が生まれないので」とバランスを取ることが一番難しいようです。

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 ショー会場では低音を出せないケースもあるので、それを踏まえた曲作りが大切とのこと。なおサンプリングなどで既存の楽曲を使用する場合はJASRACの許可がいるため、事前の申請が必要です。

 当日はライブのため「正直緊張します」と思わず本音も。リハーサルは当日しかできないため、音響会社と密に連絡をとって事前に機材等の確認も必要になります。「リハーサルで音を流して納得がいかなかった場合は、サンプラーで効果音を入れるなどして最後の最後まで微調整を行う予定です」とギリギリまで楽曲のクオリティを追求していくとのことです。

次回はどんな人がモデルに?パーソナルな10の質問をしてみた