繊研新聞社 小笠原拓郎が2013年購入した10のベストアイテム

Scye シルクポプリンレパードカラーシャツ Photo by: Fashionsnap.com

 20年以上にわたり、国内外のデザイナーコレクションを取材し続けている繊研新聞社の記者小笠原拓郎氏。世界のファッションシーンの最前線で活躍する国内屈指のファッションジャーナリストが、自ら購入するアイテムとはどんなアイテムなのか?2013年に実際に購入し、愛用しているという10アイテムを紹介してもらいました。

1. Scye - シルクポプリンレパードカラーシャツ


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このシャツは「Scye」では珍しいアイテムだなと思ったんです。50年代のロカビリーぽさも感じられますが、80年代のパンクとロッカーをミックスしたようなテイストで、ちょうど僕が80年代に高校時代を過ごしているので、そういうムードのあるものに今年は特に惹かれましたね。一見エレガントなんですけど、雰囲気があるじゃないですか。今年は2色買いがかなり多いですね。これもブルーとグリーンを購入しましたが、グリーンの方が着る機会が多かったですね。


2.PRADA - カシミア半袖ニット


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そのシーズンのものを着てショー会場に行き、ショーを見るというのも仕事です。毎シーズン「自分が好み、そのシーズンらしく、最善のもの」は何か?を考えます。「PRADA」は好きなブランドのひとつなのですが、今年のも選び方としては割と使い勝手が良いものを選んでいる気がします。ただ、春夏シーズンに購入したこのニットに関しては、カシミアで出来ていて夏場はかなり暑かった。日本では使える期間が短かったですが、1年のうち4ヶ月は取材で海外に滞在するのでヨーロッパに行った時にはかなり使いましたね。飛行機の中でもかなり重宝しました(笑)。

3. J.W. ANDERSON - グラフィックニッティングトップスBEAR

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デザイナーJ.W. Andersonは"ひねり"の部分が好きですね。彼が打ち出している「ジェンダーレス」というのは、ファッションデザインにおいてはひとつの大きな課題。ジェンダーを越えたところに必ず何か新しい美しさが隠れてたりするので、時々なるほどと感心します。彼はそういうことを今の時代っぽく発信している人ですね。

2013年春夏シーズンは「母親の服を息子が着る」というようなテーマが表現されていました。モデルはレースの頭巾をかけていて、総レースのセットアップなんかも登場しました。僕が選んだニットはグラフィックがGrateful Dead(グレイトフル・デッド)のデッドベアぽいのに惹かれました。Grateful Dead好きのアラフィフ世代からしてみれば「あれ?懐かしいの着てるね」みたいなことを言われてしまうアイテムで、「J.W. ANDERSON」だと気づかれないのがちょっと残念ですね(笑)。スプリングセーターですが暑いかもと思って、色違いのノースリーブと迷ったので、これも2色買いしました。これを買った人は知っているんですけど、赤のクマのグラフィックにはここのほくろがあるんですよ。実は微妙に柄が違うのも面白いポイントです。

4.PRADA - シェットランドセーター

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春夏もそうなんですが、「PRADA」のニットはクオリティが高いのにプライスが良心的なんですよね。とてもお勧めで、僕はよく買っています。昔シェットランドのセーターを購入したんですがかなり使い勝手が良くて、今はほつれて穴が空いてるんですが捨てられずに持っているくらい。今シーズンは、単色ではないものもあったので色々と試着したんですが、個人的に合わせがうまくいかないと感じて単色にしました。この秋冬はグレーとキャメルかなと思って、これも2色購入。ランウェイではシャツを見せたスタイリングが印象的でしたが、実際ニットの着丈はシャツが出やすいよう短くデザインされています。


5.VANS - SLIP-ON(スリッポン)

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コートと革靴はかなり好きでコレクションするほど持っていて、スニーカーは毎シーズン「VANS(バンズ)」を1足か2足は買います。 11月くらいにも購入したんですが、今回はレースアップタイプとスリッポンタイプの2型4色全部買っちゃおうかと思ったんだけど、「さすがにスリッポンだけで良いんじゃないですか」って周りに止められてしまいました(笑)。


6. Scye - ドレスシャツ

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「Scye(サイ)」はデザイナーが同年代ということもあってかれこれ15年くらい付き合いなんですが、パターンメイキングや縫製仕様がすごくいい。ヨーロッパと日本ではものの作り方の発想が違うので一概には言えませんが、「Scye」のクオリティーは世界でもトップクラスだと思います。自分が着用する事を前提に、男服のクオリティを考えると「Scye」や同じく同世代の「kolor」は凄く良いですね。僕らの世代は、男性特有の雰囲気に憧れのある世代だと思うんです。だから、僕自身も男っぽさのあるテーラードで雰囲気あるものを選ぶ傾向にあるのかもしれないです。

僕自身この秋冬シーズンはThe Clash(ザ・クラッシュ)のMick Jones(ミック・ジョーンズ)のような格好がしたいと思っていたので、そのイメージに合った「Scye」のシャツを購入しました。特に黒がお気に入りですね。Mick Jonesが80年代初めにチョークストライプのダブルスーツをギャングスターみたいに着こなしている写真があるんですが、そのイメージにも合っていたんですよね。フロントはオーガンジーを3枚くらい重ねてたたいた仕様で、フォーマルですがカジュアルダウンもしやすい。ダメになったたらまた欲しいと思うので、4枚買いました。今シーズンは特に「Scye」が多かったですね。ちなみにスーツも2着買いました。

7.Levi's(R) - 501XX

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「Levi's(R)(リーバイス)」の501XXも、同じくMick Jonesのスタイルから。僕自身80年代初めくらいにそういう格好に憧れて黒っぽいジャケットに「Levi's(R)」の501を合わせて、「George Cox(ジョージコックス)」のラバーソール履いたていた時代があって、そういう時代が良いよな、と思っていたから偶然、友人の店で手に入れることができたんですよ。福岡の「REATA」というショップのバイヤー・店長をやっている知人がいて、オープンに顔を出した際に譲ってもらいました。恐らく今年最後の買い物になったかな。バレンシア製で履くと今のシルエットのふくらみ方が違うんですよね。本来高額なものだと思うのでジーンズ好きな友人からは「あんまり履くなよ」と注意されます(笑)。


8.J.W. ANDERSON - ストライプセットアップ

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2013年の春夏シーズンは、スーツが少ない反面、その代わりとしてセットアップのような上下のものが多かったように思います。チョークストライプやピンストライプのような男っぽいスーツ柄は現代のスタイルにはどう"はまる"のか、というのが僕の中で今年のテーマでもありました。「J.W. ANDERSON」のセットアップはスーツ地で作られているんですが、上はシャツ仕立てなんです。素材のウールも品質が良く、とても気に入ってます。

9.LANVIN - ピンストライプのセットアップ

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「LANVIN」はドレープ使いなどに感じられる"女性っぽいんだけど女性っぽすぎない"部分がブランドならではの柔らかさを生み出していて、時代のムードに合っていると思います。メンズデザイナーのLucas Ossendrijver(ルカ・オッセンドライバー)と空港で会った事があって、「どこ行ってたの?」って聞いたら「縫製工場に縫い方を見に行ってた」と答えていたことがありました。あれぐらいのトップメゾンのデザイナーになると、絵を描いて指示は出すけど縫製の現場まで行って確認することは少ないと思うので、スゴいなと思いました。

「J.W. ANDERSON」と同じく、この「LANVIN」のセットアップもピンストライプで現代のバランスはどう作れるかということから選んだものです。「LANVIN」のこのセットアップは、パンツがすごく太いくて、ドレープみたいに寄せて着るんですよ。トップスの着丈はチュニックのように長いので、独特なスタイルがつくれるんです。

10. tricot COMME des GARÇONS(トリコ コム デ ギャルソン) - スカーフ

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コム デ ギャルソン社のブランドの魅力は、クリエイティビティはもちろんですが、製品のプロダクションとクオリティーが素晴しいところですね。ショーが面白くても実際に製品を手に取って「このクオリティーで価格はこんなするの?」と感じるブランドが多い中、コム デ ギャルソン社のブランドは、そういうことがないんですよ。「GANRYU」はデザインもさることながらニットのクオリティーが高いんですよ。コレクションを見るたびに、「ニット上手いな」っていつも思います。

スカーフは「tricot COMME des GARÇONS(トリコ コム デ ギャルソン)」。展示会で今シーズンすごい可愛いなと思いつつもレディースなので着れるアイテムがなく断念していたのですが、店頭で発見したのがこのスカーフです。これなら男もいけるって思いました(笑)。プリントが少し滲んでるようで、レトロな印象とそのタッチがすごく良いなと思って。パープルとイエローとどっちにしようかなと悩んで「決められんから、2色買ってくわ」とこれも両方買うことにしました。

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2013年に購入した10のベストアイテム


小笠原拓郎


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1966年愛知県生まれ。1992年にファッション業界紙の繊研新聞社に入社。1995年から欧州メンズコレクション、2002年から欧州レディスコレクションの取材を担当。15年以上にわたり世界中のファッションを取材執筆している。
繊研プラス: http://www.senken.co.jp/