代々木が変わる〜小林武史が「代々木VILLAGE」を作ったワケ〜

2011年11月20日 15:15 JST

 東京・代々木に、634坪の新商業施設「代々木VILLAGE by kurkku(代々木ビレッジ バイ クルック)」が誕生した。コンセプトプロデュースは、小林武史氏が率いる「kurkku(クルック)」。その他、音楽プロデューサー大沢伸一氏やインテリアデザイナー片山正通氏、プラントハンター西畠清順氏、イタリアンシェフの笹島保弘氏といった各界のプロフェッショナルが集結している。音楽家として活躍しつつ、サステナブルな暮らしをテーマに幅広く活動してきた小林氏に、初の商業施設に挑んだワケと4人のキーマンとの出会い、今後のヴィジョンについて聞いた。

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 小林武史氏は、「Mr.Children」をはじめサザンオールスターズやレミオロメンなど、数多くのアーティストのプロデュースや編曲、ライブ演出などを手がけてきた音楽プロデューサー。「kurkku」は、小林氏と「Mr.Children」の櫻井和寿氏、坂本龍一氏によって設立された非営利組織「ap bank」のコンセプトプロデュースによって2006年に始動したプロジェクトで、食や物の消費を通じて「快適で環境にもよい未来に向けた暮らし」を追求している。野外音楽フェス「ap bank fes」やレストランの運営、農業事業を実践する「株式会社耕す」の設立など、活動の幅を広げている小林氏だが、大規模な商業施設は初のプロジェクトとなる。


■小林武史 インタビュー

代々木VILLAGE by kurkku

ー小林さんと「kurkku」にとって、10店舗以上が集まった商業施設を手がけたのは初めての経験だと思います。以前から構想はあったのでしょうか。実際にプロジェクトが立ち上がった時期や、そのきっかけを教えてください。

 これまでにも色々な構想はあったのですが、都心でこんなかたちで出来上がるとは考えていませんでした。かれこれ2年以上前、代々木ゼミナール本部校の旧校舎跡地の有効利用として、都市デザインシステムから相談を受けたのがきっかけです。


ー代々木という街について、小林さんご自身の印象と、ここを選んだ理由を教えてください。当初はどのような思いがあったのでしょうか。

 代々木ゼミナールに象徴される受験塾の街、という印象がありましたが、なにしろ山手線の原宿と新宿の間の駅から徒歩1分、しかも634坪というまとまった土地というのが魅力ではありました。まず「代々木という街が変わったら面白いことになるな」という思いと同時に、その大きさがプレッシャーだったのも確かです。当初は、代々木という街に人々が「楽しみ」のために乗り降りするようになるのは簡単ではないな、という思いがありました。

ー各界を代表する小林武史、大沢伸一、片山正通、西畠清順、笹島保弘の5人による夢のコラボレーションとしても注目が寄せられています。4人にオファーした理由と、プロジェクトの歩みについて教えてください。

 まず、大沢伸一さんは同じ音楽畑とはいえ、僕とは違うセンスとプロデュース感覚を持っている人です。そんな彼と一緒に音楽を作っている中で、ふとしたきっかけで彼がお店作りに興味を持っているということを知りました。ちょうど僕がイメージしている中で欠けているものが、彼を入れることで出来るようになる気がしたんです。つまり、ポジティブな意味で「ホットスポット」のようなものが作れるかも、と考えました。そういう場所が、しばらく東京になかったんです。

最高峰の音質にこだわった「BAR」


 その後に3.11の震災が起こり、ボランティア活動に明け暮れていたのもあって、僕らはこのプロジェクトにポーズボタンを押していました。しばらく経ってからポーズを解除することになった時、結果より魅力を掘り下げて行く、クリエイティビティを発揮して行く、という必要性を感じました。そして、大沢さんの紹介で出会ったのが片山正通さん。サステナビリティやエコ意識はもちろん、経済性などのバランスをとっていたプロジェクトでしたが、さらに大人の視点や遊び心のある目線から見ても、十分に楽しめるものにしようという意志が、彼との出会いでより明確になったように思います。

片山正通氏が手がけたインテリア


 西畠清順さんは、片山さんからの紹介でした。ちょうど彼も知り合ったばかりだったようで、一気に彼の魅力が雪だるまのように膨らみながら、僕の目の前に出現したという感じです。この感覚は、今現在も進行中。とにかく植物の力強さや不思議さを、面白がって丸ごと伝えようとする大らかさがあります。彼と植物の魅力で、「代々木VILLAGE」はファンタジックな空間になりました。時空を越えた様々なものと繋がったような気がします。

西畠清順氏が手がけた植栽


 笹島保弘さんは、「ap bank fes」のフードエリアに出店者として参加してくれた人で、有名な京都のイタリアンシェフということで僕のスタッフの間でも話題になっていました。僕が実際に彼の料理を食べたのは今年の震災後のこと。震災のために延期になってしまった「Mr.Children」の振替ライブが関西であり、その時にふと思いついてランチを食べに行ったのがきっかけでした。声をかけたのは、彼のお弟子さんが作ったのにもかかわらず、あまりにも美味しかったのが全ての理由です。それまで考えていたプランを変更して彼にお願いし、そして快諾していただきました。本当にクイックなやり取りでした。

笹島保弘氏がフードプロデュースを手がけた「code kurkku」(コース料理の一部)


ー「代々木VILLAGE by kurkku」のオープンに寄せる思いや、今後目指していく姿は?

 5人のメンバーが集まって、とある場所に自分たちの居心地のいい巣を作ったらこんなことになった、という感じです。人工的で都会的なものと、野性的でロックなもの、全てが入り混じったような。エスケープできるけれど決して特別ではなく、日常の延長線上にある場所。そのイマジネーションを訪れる人に繋いでいければ、ここはすごいことになるのではないでしょうか。これからは、訪れるみなさんとも一緒になって、ここを創り上げていきたいと思っています。


カフェやギャラリー、アパレルショップなどが出店しているコンテナゾーン


■全ショップを網羅
 小林武史プロデュース「代々木VILLAGE by kurkku」都会のオアシス大解剖

沿志奏逢 3

Bank Bandによる3枚目のアルバム。収益はap bankの活動資金や、災害及び自然災害時の義援金などに充てられている。

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