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2番手だったはずの「セカンドライン」が「1.5番手」に出世しつつある。そのブランドの看板であるファーストラインに続く位置づけだったが、ブランド物でありながら、リーズナブルな価格設定という絶妙のポジショニングが消費者から見直されている。高額品が売れにくい事情を察したブランド、ショップ側もセカンドラインの集客力に期待して品揃えを厚くする動きを見せていて、セカンドラインは主役のファーストラインを食う勢いだ。
米国ブランド「COACH(コーチ)」が今年デビューさせた新ライン「COACH POPPY(コーチ ポピー)」が売れている。品切れするバッグも出る売れ行きで、バッグが売れにくいこのご時世に逆行するヒット商品となった。「コーチ」はもともと「アクセシブル(手の届く)ラグジュアリー」というポジションだが、「ポピー」は3万円台で本格バッグが買えるというさらに手頃な価格帯。「コーチ」にしてはポップな派手めのカラーリングや、パテントレザー使いなど、10〜20代を意識した造りが受けた。キラキラ装飾やパンキッシュなデザインが「コーチ」から登場した意外感も買い手の心に響いたようだ。
ミラノきっての独創的クリエーションで知られるブランド「MARNI(マルニ)」からも3月、新ライン「SUMMER EDITION(サマーエディション)」がデビューした。はっきりとセカンドラインという位置づけはしていないが、従来のコレクションラインに比べ、7割程度のプライスにとどめ、コーディネートしやすいラインナップとして打ち出した。
このところ目立つのは、「サマーエディション」のように明確にセカンドラインと名乗らない「ファーストの次」ラインだ。ニューヨーク発の「doo.ri(ドゥー リー)」からも7月、「under.ligne(アンダーライン)」が登場。「下のライン」とも読めるブランド名は意味深に読める。デザイナーのドゥー・リー・チャン氏はドレープ使いの得意なカッティングの名手だ。新ラインはワンピースが2万円台から用意されていて、彼女の流麗なシルエットがお手頃価格で手に入る。
パリコレクションで最も派手なショーを披露し続けている「John Galliano(ジョン・ガリアーノ)」。その新ライン「galliano(ガリアーノ)」は日本初のインショップを3月、伊勢丹新宿店と表参道ヒルズにオープンした。ファーストライン譲りの遊び心はそのままに、程よい大胆さ、最新モード感を詰め込んだデザインは日本人が手に取りやすいラインを生んだ。
セカンドラインとしての位置づけをはっきり宣言するのが、ブランド名に組み込まれた「BY(バイ)」の文字。「Marc by Marc Jacobs(マーク バイ マークジェイコブス)」「SEE BY CHLOE(シー バイ クロエ)」の「JILL by JILLSTUART(ジル バイ ジル・スチュアート)」などがその例に当たる。これらの売れ筋セカンドラインは最近の百貨店リニューアル、商業ビルオープンでもしっかり売り場を確保している。11月にオープンした大丸心斎橋店北館の地下「うふふガールズ」にも「ジル バイ ジル・スチュアート」が入った。
「DOLCE&GABBANA(ドルチェ&ガッバーナ)」のセカンドライン「D&G」、「Giorgio Armani(ジョルジオ アルマーニ)」の「EMPORIO ARMANI(エンポリオ アルマーニ)」、「PRADA(プラダ)」の「miu miu(ミュウミュウ)」などは既におなじみ。これら息の長いセカンドラインも専用オンラインストアをオープンしたり、百貨店進出を勢いづかせるなど、ファーストラインをしのぐ攻勢を掛けている。高価格帯での展開が嫌われ、苦戦が続くファーストラインの減収を、セカンドラインで補いたいという、ブランド企業側の戦略も透けて見える。
最近の面白い変化は、こういったセカンドラインが消費者の意識変化を受けて、買い手側から見たベストチョイスになりつつあることだ。セカンドラインらしい若々しいデザインや、着回しのしやすさ、そして何よりも納得感の高いプライスがセカンドラインを指名買いしたくなるムードを生んでいる。先端モードのファーストラインとの棲み分けが結果的に万人受けしやすいたたずまいを呼び込んだ格好だ。
定着したミックステイストの着こなし術も、存在感がはっきりしすぎるファーストラインより、こなれたデザインのセカンドラインを選ぶ気分を誘う。収益の柱として期待するデザイナー側がセカンドラインに一段と力を注ぐ傾向も手伝って、セカンドラインは「1.5」という絶妙の居場所でしばらく「裏番長」として君臨し続けそうだ。
(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江)
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