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01月
10

イマドキ「期間限定ショップ」の面白い戦略

イマドキ「期間限定ショップ」の面白い戦略の写真

 「期間限定ショップ」が新たな進化を遂げ始めた。限られた出店期間を逆に生かして、大胆な売り方、見せ方を打ち出すショップが相次いで登場している。既存のショップでは実現しにくい、価格設定や商品ラインアップなどの意外感は、ファッションビジネスの新たな可能性を感じさせる。常設ショップにはない期間限定ショップならではの魅力を、最近の実例から探った。


 セレクトショップ最大手のユナイテッドアローズは2009年12月、従来価格の半額前後という割安価格で販売する期間限定ショップ「The Treasure Bank UNITED ARROWS(ザ トレジャーバンク ユナイテッドアローズ)」をオープンした。このショップはアパレル業界の通例から見ると、かなり常識外れに映る。第一にこのショップでは過去にUAで販売した商品を、ウィメンズもメンズも集めて同じショップで売っている。第二に、「ユナイテッドアローズ 原宿本店 ウィメンズ館」が入っている同じビルの4階という「ビル内同居」である点。第三に店舗のクローズ時期を定めずにオープンしたところ。期間限定だが、ゴール未定という不思議なスタイルだ。


 百貨店も期間限定ショップを積極的に生かし始めた。大丸大阪・心斎橋店の「北館」は11月のオープン当初から、期間限定ショップを採用している。1、2階は期間限定ショップが多く、2階は全店舗が来2010年春までの期間限定ショップ。春以降に他フロアとも調整して新たな居場所が決まるという。1階に入った「ユナイテッドアローズ」のアウトレット店も2010年春までの期間限定で出店した。オープンから約半年の実績を見極めて、本格的なショップ構成・配置を決めるという、リスクを極力避ける戦略にも、期間限定ショップが一役買っているわけだ。


 話題作りに役立つのは、以前から知られた、期間限定ショップのメリットだ。新店舗のオープン前に生じたタイムラグを逆手に取ったのが、東京・池袋に2009年5月からオープンしている「ルイ・ヴィトン 西武池袋店 LOUIS VUITTON /underground/」

西武百貨店池袋本店内に今秋、新ショップが誕生するまでの期間限定で営業している同店舗は「アンダーグラウンド」のショップ名にふさわしく、建設作業が続く様を取り込んでショップイメージを打ち出した。ラグジュアリーブランドにしては珍しいこういう大胆な仕掛けができるのも、期間限定という足かせがあればこそだ。


 オンラインストアと連動する形で期間限定ショップを開いたのが、俳優の成宮寛貴氏。ファッション通としても知られる成宮氏自らがセレクト・買い付けしたアイテムを販売するオンラインストア「HIROKINARIMIYA.COM」のオープンを記念して、東京・渋谷でリアルの期間限定ショップを開いた。


 ブランドやデザイナーの世界観を表現する手段としても、期間限定ショップは期待を集めている。パリコレクション参加のベルギー発ブランド「A.F.VANDEVORST(A.F. ヴァンデヴォースト)」は2009年12月、「GUERILLA STORE AKTION1」をベルギーのアントワープに3月31日までの期間限定でオープンした。

プロジェクト名が示す通り、最長でも約3カ月間というゲリラ的なショップ。あえて当たり前の商業施設は避け、意外性の高い場所への出店が計画されているそうだ。


 期間限定という手法は、ショップに新鮮な表情を与える。この効果を最大限に生かしているのが、東京・青山のコンセプトショップ「THE CONTEMPORARY FIX(ザ・コンテンポラリー・フィックス)」。伝説的なセレクトショップ「LOVELESS(ラブレス)」を生んだ名バイヤーの吉井雄一氏が2008年に開いたこのショップは様々なブランド、クリエイターと組んで、ゲリラ的にショップ構成をガラリと変える。日本ファッション界屈指の目利きとされる吉井氏のディレクションが次々と東京ファッションシーンを挑発している。


 ドイツ発のブランド「CLEMENS EN AUGUST(クレメンツ オン オーガスト)」はもともと固定のショップを持たない。世界のセレブリティーを顧客に持つ同ブランドは年に2回、ロンドンやニューヨークなど、世界10カ国以上の都市を巡るツアー形式で商品を販売している。商品が買えるのは、各地でのツアー3日間だけ。期間限定ショップの場所には、美術館やアートギャラリーなどが選ばれている。


 最近の期間限定ショップは単なる味付けとしての「限定」を超えて、もっと戦略的な意味合いを濃くしつつある。本当に限られた出会いのチャンスに、買い手と商品の奇跡的な出会いをプロデュースする形で、ショップ本来の「引き合わせる力」に磨きを掛ける試みは、わざわざショップに足を運ぶ気持ちを引き出してくれる。


(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江

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