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03月
14

東京コレクション先取り情報!NYをノックアウトした8組のサムライ

東京コレクション先取り情報!NYをノックアウトした8組のサムライの写真
JFW in NY 会場 (c)Rie Miyata

 ニューヨーク・コレクションのフィナーレを、ジャパニーズファッションの新鋭たちが締めくくった。日本から選ばれた8組のデザイナーが作品を披露する「JFW in NY」が、NYコレクション最終日の2010年2月18日、ソーホーで開かれたのだ。「東京発 日本ファッション・ウィーク(JFW)」を海外に向けてPRする企画の一環で、東京コレクションを先取りするような新発想が会場を沸かせた。

 世界4大コレクションの先陣を切って開催されるNYコレは欧米メディアの関心が高い。しかも、近い時期に世界最大級のファッション展示会「ファッション・コーテリー(Fashion Coterie)」やd&a(Designers & Agent)、ランデヴー(RENDEZ-VOUS)といった大型のファッション展示会・見本市が開催されるので、世界中から有力バイヤーがマンハッタンに集まる。この絶好のタイミングに合わせて開かれたのが、今回の「JFW in NY」だ。

 会場となったロフト風のイベントスペース「82MERCER」には、ファッション関係者やメディアなど数百人が集まり、幕開けを待った。東京コレクションには東コレらしいムードがあるが、NYコレ来場者が集まる催しにも独特の熱気があり、東コレとは一味違う興奮に包まれていた。


 参加したブランドは、「aptform」「CHAOLU lab」「MIKIO SAKABE」「Naoshi Sawayanagi」「SHIDA TATSUYA」「The Dress & Co HIDEAKI SAKAGUCHI」「tiny dinasaur」「YU」の8ブランド(ABC順)。既にそれぞれで海外進出を果たしているブランドにとっても、こういった注目を浴びやすい公式イベントでの発表はあらためてその実力を示す機会となったようだ。伸び盛りのブランドが海外マーケットに羽ばたくのを後押しするこのようなイベントは、同時にJFW自体への関心も高めてくれる一石二鳥の効果が期待できる。

 ショーはランウェイ形式ではなく、プレゼンテーション(展示会)形式が採られた。ただし、マネキンに着せる据え置き型ではなく、それぞれの作品をモデルがまとってステージに現れる形。クラシックな古れんが壁を背に、それぞれのプラットフォームが用意され、モデル3人が計5ルックを披露した。次々に登場する8ブランドそれぞれのテイストの振れ幅がジャパニーズファッションの奥行きを印象付けた。


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左:aptform、右:CHAOLU lab (c)Rie Miyata

 ヨーロッパ人初のインターンとして東京イッセイミヤケでメンズウェアを経験したギリシャ人のミハイル・ギニス氏が2008年にスタートさせたメンズブランドが「aptform(アプトフォーム)」。ON(仕事)でもOFF(プライベート)でも着られる、着ごこちの良い服を目指すデザイナーは、日本素材・技術を用いたヨーロピアンデザインを東京から発信している。「JFW in NY」ではレザーやファブリックなどの異素材を巧みに融合させた手仕事感のあるダークロマンチックなコーディネートを提案した。

 さりげなく身近な存在として、衣服を位置付けているのが「CHAOLU lab(カオル ラボ)」。デザイナーの平元聡(ひらもと・さとし)氏はバンタンデザイン研究所を卒業後、イッセイミヤケで経験を積んだ。ブランド名には「薫りの発生する場所」という意味がある。ほっとした温もりに包まれるしとけないたたずまいは「JFW in NY」でも持ち味を発揮していた。


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左:MIKIO SAKABE、右:Naoshi Sawayanagi (c)Rie Miyata

 「MIKIO SAKABE(ミキオ サカベ)」のデザイナーは坂部三樹郎氏と台湾出身のシュエ・ジェンファンのデュオ。坂部氏はベルギーの名門ファッション校「アントワープ王立芸術アカデミー」のファッション科を首席で卒業した俊英としても知られる。「TWILIGHT」をテーマに据えた2010-11秋冬は「孤立はしているけれども、しっかりと自分を持っている、90'sのハードロックやヘビーメタルのようなものをどこに行っても聴いている女の子」をイメージしたという。ロックテイストを詰め込みながらも、ルームウエア風でもあるしなやかなリアル感が冴えた。

 澤柳直志氏がデザイナーの「Naoshi Sawayanagi(ナオシ サワヤナギ)」のコンセプトは「素材を着る」。日本の素材、クリエーションにこだわり、たたむと四角の生地になる服や、生地をそのままワンピースに仕立てたような造りの、意外性ある作品を発表した。ナチュラルな色使いや穏やかなシルエットと、わざと無造作に処理したような裾や、裏地と表地が混在するような立体的な見栄えが挑発的なクリエーションだった。


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左:SHIDA TATSUYA、右:The Dress & Co. HIDEAKI SAKAGUCHI (c)Rie Miyata

 「SHIDA TATSUYA(シダタツヤ)」の信太達哉氏は、内外の新人デザイナーを発掘する、JFWの「SHINMAI Creator's Project(シンマイ・クリエーターズ・プロジェクト)」で第1回メンバーの1人に選ばれた成長株。生地への造詣が深いデザイナーで、テキスタイルの表情を引き出す技の持ち主だ。「JFW in NY」ではマフラーやケープなど、お得意のボリューム羽織り系アイテムをお披露目。上半身に巻き付けるようなレパード柄の掛け巻き物と、ボディーフィットなボトムスとのメリハリの利いたコーデが、奇抜なデザインには慣れっこのはずのプロたちの目を引き付けていた。

 「エレガントを裏側から解釈した大人のクロージング」をコンセプトに掲げる「The Dress & Co. HIDEAKI SAKAGUCHI(ザ ドレス アンド コー ヒデアキサカグチ)」。ミリタリーやワークテイストをベースにしながら、エレガントでロマンティックなスタイルに昇華させている。旧「JELLY GARCIA」からブランド名を改めて、2009-10年秋冬からスタートした坂口英明氏のブランドだ。ドレープ、レースがたっぷりあしらわれたブラウスやワンピースに、ソフトミリタリーなアウター、コンパクトなレザージャケットを重ねるドラマチックな甘辛コーデは「JFW in NY」の晴れ舞台でひときわ目立って見えた。


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左:tiny dinosaur、右:YU (c)Rie Miyata

 「tiny dinosaur(タイニー ダイナソー)」は黄色のミニ丈ワンピースをノンシャランとまとった女性モデルや、スーツをカシュクールとスニーカーで着崩した男性モデルを登場させ、「矛盾や衝突が釣り合う事で生まれる新しい調和」というコンセプトを形にして見せた。男女両方のモデルを起用したのは「tiny dinosaur」だけ。相反する要素の響き合いを落とし込んだクリエーションを発表し続けている山本尚美デザイナーは、イッセイミヤケを経て、「sunao kuwahara」や「LADMUSICIAN」の企画も手がけた実績を持つ。

 小西湧氏のブランド「YU」は「Clean and Minimalism」というテーマに沿って、シルクやサテンなどのつややかな素材で、フェミニンなムードとシャープなカッテイングのバランスが取れた作品を打ち出した。スタイリッシュでミニマルな構築美はニューヨーク流の審美眼にかなうと映った。小西氏は三陽商会、ワールドでデザイナーとしての経験を積んだ後、オーストラリアでブランドを立ち上げた。


 今回の様子はファッション情報サイト「style.com」でも「They're Big In Japan」と題した記事で紹介され、狙い通りの効果を上げた。また、カルバン・クラインやマイケル・コース、ナネット・レポーといった有名デザイナーを輩出したFIT(ニューヨーク州立ファッション工科大学)のミュージアムでは、「Japan Fashion Now」と銘打った、日本ファッションの大型展覧会が9月17日~2011年1月8日の長期にわたって予定されていて、ジャパニーズファッションへの注目度はますます高まりそうな気配だ。


(文:ファッションジャーナリスト 宮田理江


■2010年3月開催「JFW」スケジュールはこちら
 http://www.fashionsnap.com/news/2010/02/2010-11-aw-jfw-in-tokyo.html

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