【3分でわかる】国内大手百貨店の15年度上期決算まとめ インバウンドと富裕層頼みが顕著に

 国内百貨店大手5社の2015年度上期決算が出揃った。訪日外国人旅行客による免税売上高の大幅な増加のほか、コスト削減を含めた事業の効率化が功を奏し、大丸松坂屋、阪急阪神、三越伊勢丹の3社の営業利益は前年同期の実績を大きく上回った。ただインバウンドを除いた国内需要は全体的には依然厳しく、三越伊勢丹HDの大西洋社長は国内百貨店事業について「中間層の動きが鈍く、しばらくは厳しい状況が続く」と悲観的な見通しを示した。

【大丸松坂屋】2016年2月期第2四半期累計(3月〜8月)
売上高:3,323億7,800万円(前年比 102.1%)
営業利益:112億7,500万円(前年比 148.9%)

売上高は、外国人観光客や国内富裕層の購買が活発で上振れで推移。広告宣伝費などの徹底したコスト管理により、営業利益を押し上げた。店舗別では、大規模改装に取り組む名古屋店のほか、東京店や札幌店といった基幹店が牽引しているが、郊外店と地方店は慎重に計画。心斎橋店は本館建替えで2016年1月から面積を4割減少させるも、販促等でマイナス影響は最小に抑える。なおJ.フロントリテイリングでは設立以来の最高益を更新しているが、国内消費は二極化が進展すると慎重に見立てている。

【そごう・西武】2016年2月期第2四半期累計(3月〜8月)
営業収益:4,257億8100万円(前年比 100.6%)※セブン&アイHD百貨店事業
営業利益:11億円(前年比 64.0%)
既存店売上伸び率:▲0.4%

高荒利の衣料品売上のマイナスにより減益となったが、渋谷店では8月のリニューアルオープンから売上が2ケタ増で推移するなど好材料もあり、通期の営業利益は前年比117.3%の120億円を計画する。今後は構造改革を進め、地方店のテコ入れを目的に2016年2月に春日部店を閉鎖するほか、基幹店はラグジュアリー領域を強化するため、池袋本店で扱うブランド数の大幅拡充(2016年度から着手)などを予定している。

【髙島屋】2016年2月期第2四半期累計(3月〜8月)※髙島屋および国内百貨店子会社
営業収益:3,675億円(前年比 100.3%)
営業利益:35億円(前年比 80.1%)

営業収益は、旺盛なインバウンド需要や株高に伴う資産効果に加え、夏物商戦での正価品販売拡充や各種広告媒体の活用を進めた結果、増収を達成。一方で営業利益は、売れ筋商品の強化や販売管理費の計画以上の削減等を行い商品利益率の低下による利益減のカバーに努めたが、減益かつ計画未達で着地した。通期では前年比100.4%の128億円を計画。ネット売上は同120%の120億円、免税売上は同214%の300億円を見込む。個人消費の回復具合は、大都市と地方郊外、外商顧客と一般顧客などで、はばらつきが見られているという。

【阪急阪神】2016年3月期第2四半期累計(4月〜9月)
売上高:2,009億2,000万円(前年比 105.1%)
営業利益:58億400万円(前年比 128.6%)

外商顧客や富裕層の外国人旅行客の需要の増加に伴い、高級腕時計やジュエリー、バッグなど高額品の売上高が前年同期の実績を大きく上回り、全体の売上高を押し上げた。阪急本店の売上高は、9月にリニューアルオープンした阪急メンズ大阪を含めて前年比116.9%の1,008億900万円で着地。阪神梅田本店は、建て替え工事の本格着工で売場面積を約4割減少した影響により、売上高は同80.0%の280億8,000万円となったが、当初の想定よりは減収予想を上回った。支店合計の売上高は同103.2%の720億3,100万円。

【三越伊勢丹】2016年3月期第2四半期累計(4月〜9月)
売上高:3,202億6,900万円(前年比 107.7%)
営業利益:114億4,000万円(前年比 136.3%)

インバウンドの売上シェアが3割に到達しそうな銀座店の伸びが顕著。全店の免税売上は前年同期から3倍以上の伸びで想定以上だった。インバウンドを除くグループ合計の前年比は102%で、消費税率引き上げに伴う反動で2〜3%程度落ち込んだ前年同期の実績も含めて総合的に判断すると、「国内の消費環境は決して良くない」(同社・大西社長)という。商品別では、婦人服が前年比101.8%と微増だったのに対し、ハンドバッグなどの雑貨が同131.8%で、需要が衣料品からアクセサリー類に移ってきていると分析している。なお、三越伊勢丹HDの営業利益は2008年4月の合併以来の最高益を更新した。