松屋 常務執行役員MD戦略室長

ヒールの増税反対

2012年06月04日 08:00 JST

 下の写真はニュージャージー州ショートヒルズショッピングモールにあるフォーエバー21、次の写真は同モール内キーテナントの1つノードストローム1階。ニューヨーク研修でこのモールを訪問する際、私は同行社員に必ず説明します。「ここでは靴に消費税がつかないからお得。バッグは消費税かかるけどマンハッタンより消費税は安いから、買い物するならここで」、と。マンハッタンから車まで45分の近距離ですが、消費税分を節約したかったらここで買い物するのが一番です。

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 アメリカの消費税は州によって、地域によって課税率は違いますし課税対象品目も違います。現在確かマンハッタンのセールスタックスは8.875%、靴にもバッグにも服にもかかります。数年前消費喚起のために一部改訂され、110ドル未満の服は無税になったこともあります。現在はどういうルールになっているのかわかりませんが。マンハッタンを結ぶトンネルやブリッジを渡ってニュージャージー州に入ると税率はおよそ半分に下がり、確か服と靴は無税だったと記憶しています。恐らく服と靴は日常生活の必需品、バッグは嗜好品の部類という解釈なのでしょう。


 ニューヨーク在住時代、ボストンから観光でやってきた知人に付き合って百貨店を回ったとき、知人がレジで「どうして服にセールスタックスがかかるの?」と怒ってました。当時ボストンでは服は無税、一方マンハッタンは8%、怒るのも不思議じゃありません。逆に、ノースキャロライナ州に出張した際、現地でタバコが無税だったのでびっくりした記憶があります。タバコなんて完全に嗜好品、でもタバコ産地だからその普及のために無税だったのでしょう。


 マンハッタンのスーパーで食パン、レタス、ハムとサンドイッチの材料を買うと無税です。が、スーパーでハムサンドを買うとこちらは普通の消費税がつきます。鮮魚売場でサーモンの切り身は無税、サーモンの缶詰が課税、牛乳は無税でも、コーラなど炭酸飲料は課税されます。日常生活の必需品の多くは非課税、贅沢品や嗜好品タイプは課税ですから、年金生活者や失業者にはありがたい制度です。


 財務省のキャリア組役人たち、国費でたくさんアメリカの有名大学院に留学しています、アメリカの日常生活と消費税の実態はよくご存知のはずですが、どうして日本はすべての品目に一律消費税がかかるのでしょう。生鮮食料品も課税なら弱者に負担を強いることになります。日本はアメリカのように品目分けできないのか、レジ要員の能力を考えてもアメリカより日本ははるかに優秀、レジで混乱するとは絶対思えませんけど。


 最近、消費税10%は国民も認める既定路線とリードされているような印象ですが、本当に国民は増税に賛成しているのでしょうか。多くの有権者は民主党の掲げるマニフェストを信じ変革を求めて民主党に投票したはずなのに、構造改革や事業仕分けは中途半端、ダムや高速道路の問題もムヤムヤ、そして消費税は2倍に増税、これでは変革じゃなくさらなる後退ではないかと思います。蓮舫議員のあの上から目線の事業仕分けが始まったとき、「民主党、やるなあ」と思いましたが、あれは一瞬のポーズだったのかなあ。


 今朝行なわれた野田総理と小沢一郎元代表、輿石幹事長の2回目3者会談、前回から歩み寄る気配はなく平行線のままとわかり切ってるのに、どうしてセットされたんでしょう。例の裁判のこともあるし小沢さんの強面表情から、世の中の空気として小沢さんはヒールに見られがち、そのヒール役が消費税増税反対を言えば言うほど、「消費税に反対するのは悪いこと」というムードが醸成されて行きそう。まさか野田総理とその周辺はそれを狙って歩み寄り不可能とわかっていても会談したんじゃないでしょうね。


 アメリカと比べてもヨーロッパ各国と比べても、日本の消費税は高くありません。個人的には日本だけがこの税率のままずっと行けるとは考えていません。一気にヨーロッパ並みは抵抗があってもアメリカ並みなら許容範囲。ただし制度に説得力あるものがあればですけど。生鮮食料品やトイレットペーパーなど日常生活の必需品はアメリカのように非課税にするとか、何か工夫があれば理解者は増えるでしょうし、ヨーロッパのように「ゆりかごから墓場まで」の手厚い社会保障が整備されれば、賛成する人は増えるかもしれません。何でもかんでも一律課税、近未来に税率2倍なんて、私は賛成する気になれません。


 また、大震災あとのこの不景気、さらに急激な円高が進み先行き不透明なこのタイミング、解散総選挙で国民に信を問うこともなくさっさと増税を決めてしまって良いのでしょうか。相変わらず年度末の帳尻合わせの土木工事はやってます。そんな団体や協会どうして必要なのと疑問が残るワケわからん特殊法人、まだまだいっぱい生き延びています。国会で取り上げられたばかりの生活保護の不正受給、キチンと調べたら類似ケースはもの凄い数かもしれません。削るもの削ってもいないで「税収不足につき増税です」と言われてもちょっと納得できないですよね。


 ヒール役が増税反対すると、増税賛成派は良い子に見える。なんだか嫌な流れになってます。自民党もおかしな駆け引きしないで早く解散総選挙に持ち込んで欲しいな。国民生活に直結する重要な法案、民意を問うのが筋でしょう。