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役者や映画監督...博識多才な創造者 小橋賢児にインタビュー

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小橋賢児・・・
役者、イベントプロデューサー、映画監督など様々な顔を持ち、各分野で自らの才能を発揮し続けている彼はまた、旅人でもある。
今回はそんな彼にセドナでの体験をはじめ、人生観についてもじっくりと話を伺った。


ー初監督作品となった「DON'T STOP!」拝見しましたが、セドナも舞台の一つになっていますね。

はい、セドナは映画撮影も含めてこれまでに2回訪れています。セドナは好きな場所の一つです。都会に暮らす僕らって、ストレスだったり色んなもので"気"が乱れていると思うんです。でもセドナに行くと、建物の立て方一つ、自然の守り方一つとっても全でがちゃんと洗練されているから"気"が戻るというか、調整される感じがします。
よくパワースポットと言われますが、おそらくパワースポットって、元々は大地からある気はどこも全部一緒で、特別強いっていうのはもちろんあると思うんですけど、でも、その大地に人間は建物建てちゃったりとかして、元々の"気"が乱されている状態になっているんじゃないかな。
それが、セドナという場所は自然信仰のもとに建物を建てているから気が保たれている。日本で言えば神社の中もそうですよね。

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ーそうですね、確かにぴりっとした感じありますよね。
そう、そういうモノに近いですよ、セドナってニュートラルになれる場所。元気になるってよく皆さんおっしゃいますけど、「元気」って自分を超えるわけではなくて、元の気、になる=「本来の自分に近づく」っていうことだと思うんです。素の自分に近づくってこと。
いつもより元気になる、ではなく、いつもがストレス等で下がっているってことなんですよ。

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ースウェットロッジ(※ネイティブアメリカンの儀式。薬草の香気を含んだ蒸気によって身を清める生まれ変わりの儀式)は体験されましたか?
やりました。セドナに行くなら絶対にやったほうが良いと思います。生まれ変わりの儀式と言われていて、女性の子宮に見立てた真っ暗なロッジの中で薬草の蒸気でどんどん蒸されていくんです。暑くて汗が止めどなくでてくる中で、さらにネイティブアメリカンの人が太鼓を鳴らして気分を盛りたてます。その極限状態で、自分が胸に抱え込んでいることを全て吐き出して。汗も全部かききって。テントの中で極限状態になって全てを吐き出すんです。イヤなこととか、むかついていることとか、たまっていること全てを吐き出す。真っ暗闇の中で自分をさらけ出し、ロッジから出るときには新たな自分に生まれ変わっているっていう。
ただ、普段から我慢もせずに自由に生きているっていう人には、吐き出すっていっても吐き出すものがないし、変わらないかな。
でも、世の中にいる90%の人は何かしら我慢をしながら生きていると思うので、おおよその人は大体効くってことになりますね。

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ーすごい! 他にも儀式はあるんですか。
ネイティブアメリカンには主に7つの儀式があるといわれています。もっと過酷なものもありますよ。僕の友だちがこの間体験してきたんですけど、ビジョンクエストというもので、元々は男子の通過儀礼の一つなんだそうです。森の中に入って、結界を張り、飲まず食わずで4日過ごすのですが、寒さ、飢え、恐怖・・・全てと戦いながら生きなくてはいけない。
昼間は灼熱の太陽に照らされて夜はすごく寒くなって。虫がくるだけでも怖いのに、そういう場所ではどんな生物が来るか分からない。食べてない上にそういった自然の環境にさらされるんです。もう極限状態ですよね。
僕らって、世の中に対して不安になることって多々あると思うんです。まだ起きてもいないことに不安になって、"今"という時をないがしろにしてしまっている。でも自分と自然しかない場所に入ると、怖がってもしょうがない。もう信じるしかないんです。そういう体験を通して自然と自分が一つになるんですね。人によっては極限状態で"ヴィジョン"を見るのだと言います。ディープな体験ですよね。時間を見つけて僕も体験したいと思っています。

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ーなるほど。体験したらぜひ感想を聞かせていただきたいです。話は変わりますが、様々なキャリアを経験されている小橋さん、これまで色々な選択の繰り返しだったと思いますが、小橋さんの"人生の選択"において軸になっているものは何ですか。
僕は、表面から見ると、色々なことをやっているように見られることが多いんですね。例えばよく「何をメインの仕事にしてるんですか?」って聞かれるんですが、僕はそもそも職業っていうものは人に説明するためにあるもので、今の時代、人に説明するためだけに自分のやっていることを「職業」という名前にあてこまないといけないっていうことにモヤモヤしていて。
僕の中でいつもベースになっているものって「クリエイティブを通じて人々に"気づき"の場を提供したい」っていうこと。映画でもイベントでも人の時間を借りて来てもらって、そこで何か気づくわけじゃないですか。「楽しかった」でもいいし「明日からこうしてみよう」っていうものでもいい。映画でもパーティーでも、2〜3時間という"場"を通じて、気づきを提供したい。
僕のやりたいことってこれ一つだけなんです。そのアウトプットが、映画の時もあればイベントのときもある。そしてそのときの肩書きが、映画監督だったり、イベンターだったり、俳優だったりするんです。
こないだまで被災地復興やってて、次見たら派手なパーティーをプロデュースしてる。周りからすると「なんなの」って、ある一種の違和感を感じると思うんです。でもその一種の違和感って、「なんだろう」って人の脳が働くんです。「賢児は何やってるんだろう」って考える。それが今の僕にとっては快感なんです。
数十年前までプロデューサーって仕事はなかったじゃないですか。
今は監督って概念まで変わって来ている。ちょっと前まで、監督って映画を指揮する人だったけれど、今はデジタルの発展によって、監督がカメラマンも編集もやったりする時代。
僕の場合もそうなんです。監督でありカメラマンであるっていう。今の若手なんて自分で全部やっちゃう人もいる。音楽もそうですよね。
そういう人がいっぱい出てくる中で、一つの職業に固執するって考え方自体がナンセンスなんだって、僕は思うんです。


ーそう考えていくと将来的に、「自分」っていう職業になりそうですよね。
そうですね。もうこれからは個々の時代だと思います。自分を信じていい時代。
今は、自分のフィールドを世界中で見つけられる。自信がなくて何していいか分からなくても、世界のどこかに自分を必要としてくれる人が必ずいる。
だからこそ「お前何が好きなの?どういう生き方したいの?」って常に自分に問いかけなきゃいけない。じゃないと何していいか分からなくて辛くなっちゃうような気がします。
"職業は一つ"っていう考え方は先人が作ってきた素晴らしいシステムだと思いますけど、そのシステム自体を今は変えなきゃいけない。その"一つ"に属していること自体が、そこに甘えちゃっている気がして、僕は。


ーもっともっと、可能性ってありますよね。不安だし将来も分からない世の中だから、「確実に未来が手に入るということが分からないと挑戦できない」っていう若者の声を聞くことも多くて。すごくもったいないなって思います。
そうですね。もったいないです。だからこそ、新しい概念のシステムを取り入れないと。今はバブルの時代でもないから、なんでもかんでも売れるというわけにはいかないじゃないですか。
バブルがはじけて、みんな消極的になってる。でも現実をみなくてはいけない。そんな中での突破口って、やっぱり概念を変えることだと思うんです。
「新しいシステムが生まれるしかない」、ということは、僕らのような傍からみると"ワケの分からない動き"をしている人が新しいシステムを生むしかないんです。
次世代の新しいシステムというのは個人個人の熱量が合わさることで生まれると思うんです。トップに誰かが立っている、っていう状態よりも、"みんなで作り上げていく"っていう概念。
何かを生み出すことの"過程"まで共有していく、というか。モーリーロバートソンっていう人の「自分を信じていい時代」って本には、いいことがたくさん書かれているから、ぜひ読んで欲しいですね。内容はとっても簡単で30分で読めるし250円で買えるので。今悩んでいる人にはぜひお勧めしたいです。本当に自信がつくと思いますよ。


一つ一つの質問に誠実な答えが返ってくる。
そして、そこに魂とフィロソフィーが詰まっているのを感じる。
インタビューを通して、小橋賢児の口調には"迷い"というものが一切ないように思えた。
スッと一本の筋が通った彼の信念から発せられる言葉に、読者諸君もきっと何らかの"気づき"を感じ取ることができたはずだ。

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Profile
小橋賢児
1979年8月19日生まれ 俳優/映画監督/BIG BOYS代表

映画「DON'T STOP!」 監督:小橋賢児
交通事故で下半身と左腕の自由を失った男、通称"CAP"と作家をはじめ、カフェバーや出版社の経営など様々な分野で活動する自由人、高橋歩を中心とした男女11人が織りなすファンキー・トリップ。「一度でいいからハーレーでR66を走りたい」というCAPの夢を叶えるため旅立った彼らを綴ったドキュメンタリー映画。