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海外市場で成功する為のポイントは「顧客を知り、市場を知ること」

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先日、ロンドンで開催されたGRIN Leadership LabでGRINのファウンダーであるカール・ミレー(※以下カール)はRevolve Clothingのインターナショナル部で副社長を務めるカイ・リ(※以下カイ)へインタビューを行った。

インタビューでカイは、新しい国への事業拡大のアプローチと、そのような国において、企業がバリュープロポジションを特定することの大切さを語ってくれた。以下はそのディスカッションの一部を抜粋したものである。

オンラインショッピングビジネスを成功させるためには?

カール:御社は、世界中の事業を拡大させるのが難しいとされる地域で数多くの企業が発展するための力となり、多大な成功を収めてきました。このようなプロジェクトを担う場合、どういったことからはじめられたのでしょうか?

カイ:市場を多面的にみる必要があり、人々の文化的背景を理解することが大切です。言い換えれば、国内の既存顧客を魅了するバリュープロポジションが、他の国では主要なバリュープロポジションとなるわけではありません。

例えば、Revolveの米国顧客が翌日配達サービスを好む一方で、国際市場ではローカルプロバイダの配送スピードには太刀打ちできません。たとえ当社のサービスレベルがとても高かったとしてもシドニーへの配送には3日、ソウルへの配送には3日かかります。かたやSamsung Fashionはソウルへ2時間、Iconic Australiaは翌日配送が可能なので、このレベルには及びません。

顧客に与えられることができる価値が自社の強みとなる

国内の企業で強みとなっている早期配達は、当社にとっては弱みとなってしまいます。それと同時に国際市場では、国内市場にはない新たなバリュープロポジションを取り入れている場合があります。

バリュープロポジションについては、ビジネススクールで学んだことが活かされています。3つの"C"(市場、競合、自社)というものがありまして、この中で一番大切なのは「市場」であるとわたしは考えています。

カール:では、どのように市場にアプローチするのでしょう?

カイ:わたしは自分のビジネスを展開している国へよく視察へ行きます。そして、毎朝、顧客と共に朝食をとりながら過ごします。そこでは、"なぜ当社から購入されたのか?"、そして、"どのようにして私を見つけたのか?"という2つの質問から必ず始めています。

これらの2つの質問の答えから、顧客の興味感心や、ブランドについてどう考えているかを知ることができます。例えば、先日、当社のハンドバッグを購入し、それを見せてくれた顧客と香港でミーティングを行いました。

その女性は、香港では当ブランドが販売されているものの、周りの人々が同じ製品を所有しているため何かユニークな物が欲しいと説明してくれました。当サイトには、香港の地元小売店が取り扱っていないセレクションがあります。

つまり、この顧客にとっては幅広いセレクションこそがバリュープロポジションです。なぜ顧客が好むのかという点に重点を置く必要があります。この場合では、セレクションこそが重要なポイントだったのです

カール:ローカル顧客に接するための企業力がなかったり、まだ市場を定着できていない企業はどうでしょう?

顧客を知り、市場を知る

カイ:ブランドや小売業者が海外顧客と国内顧客を同じものとして捉えている点において、これは大きな過ちの一つだと思っています。コンピューターを使えば、特定の国への市場参入に必要なたくさんのヒントが見つかります。

自社製品や競合他社製品の需要の大きさをチェックするもっとも有効な方法としては、地域別に一人当たりの検索ボリュームが分かるGoogleトレンド(trends.google.com)がよいでしょう。事業拡大に踏み切る前には、消費者需要に関してさらなるヒントを得るため、各地域では様々なツールを利用できます。

既に特定の国で事業を展開している場合は、顧客のアドレス情報を地域内の社会経済データと重ね合わせることで、顧客についての理解を深められます。顧客のアドレス情報があれば賃貸価格を決めることができ、所得水準の推測に役立ちます。

簡単なジオロケーション分析を行うと、実際の顧客が誰なのか驚かされる時もありますが、当社に関心の深い顧客をより良く理解できます。これは、マーケティングミックスにおける照準設定や、コンバージョンを最大限に獲得できるプライスポイントを決める際、直接的に影響を及ぼす情報なのです。

カール:各種バリュープロポジションについて、もっと具体的なサンプルを教えていただけますか?

国内では手に入らないものを取り扱う

カイ:もちろんです。国をまたいで事業を展開する企業にとって、最も一般的なバリュープロポジションはアクセシビリティ(手に入れやすさ)と価格です。アクセシビリティとは、業種によって意味が異なるのですが、電化製品の販売で例えると、アメリカや日本のみでリリースされた新しいプレイステーションの販売を指します。

当社Revolve Clothingのビジネスライン高級ファッションにおいて、アクセシビリティとは、顧客がローカルで手に入れられない多種多様なブランドとスタイルを指します。もし顧客が同じドレスを当サイトまたは隣の店で購入できるのであれば、当社から配送されるまで3日間待つよりも隣の店で買うでしょう。

当サイトには、顧客がアクセスしていただくよう、隣の店にはないドレスがあるのです。このようなバリュープロポジションがオーディエンスや顧客を明確にします。当社の顧客は流行に敏感です。フォロワーとなるよりも、3日間の配送を惜しまずに流行を作り上げる人達です。国によっては他のヒネリが必要です。例えば、中国ではオーセンティシティーをバリュープロポジションの一つとしています。

カール:つまり、地元消費者に目を向けているわけですね。それは理にかなっています。

お金持ちだけをターゲットにするのは間違い

カイ:大半の小売業者が顧客を1~100でランク付けし、上位10%に重点を置くという、間違いをおかしている点をお忘れにならないでください。当社顧客の上位1%は世界中のセレブです。このような顧客がいてとても幸運ですが、このセグメントが大規模なスケールに当てはまることはありません。

市場で大きな成長を目標とするのであれば、圧倒的多数の顧客セグメントの特定が必要です。これは、たいがい顧客獲得のために要する平均コストがはるかに低い、中間セグメントを指します。

カール:競合について話し合いましょう。市場参入における事業性評価では、地域内の競合性をどのように捉えていますか?

カイ:顧客を理解することができたならば、競合他社のもっと詳しい様相が見えてくるでしょう。競合について考慮した場合、通信市場で15年前から取り入れ、製品・サービスのオファーやプライスポイントによって顧客が4つの円で示されるモデルを使います。このモデルを当社のファッション事業に当てはめると、軸を境に一つの側がブランド・スタイルの数値、もう片側が割引レベルを示します。

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それぞれの場所を循環する顧客は、ロングテールで季節ごとの製品を求めています。当社がマーケティングリソースとして重点を置くのは、大規模な顧客層が示された円です。別のチャートでは、下からもお分かりのように上下軸が販売高、左右軸が製品を示すチャートがあります。

この場合、マーケティングリソースの重点は灰色の部分に置かれます。つまり、灰色の部分に到達するにはロングテールで有料マーケティング、そしてマーケティングチャネルの確立に力を注ぐものとして捉えられます。

カール:オファーされるものの独特の長所、またはこれを区別するものに対し、企業の能力やリソースを査定した場合、どのようなアクティビティを優先させますか?

カイ:顧客体験を向上させるアクティビティを必ず優先させています。顧客に売る前には、必ず対応するようにしたいと思っています。顧客が最大限に満足できるようにベストを尽くすことができれば、ビジネスチャンスをもたらしてくれるものだと考えています。これが地域型の物流業者(日本は佐川急便、韓国はCJ、イギリスはParcel Force)と業務を行う根本的な理由です。

物流業務においては巨大な複雑性を生みますが、顧客の前では砕けた表情を見せることができます。顧客はこの方法を好んでいます。そして、幾度とないハードルを乗り越える必要があったとしても、顧客のために力を注ぎます。

カール:このトピックに関し、あなたが読まれる本やサイトで推奨されるものはありますか?

カイ:言うまでもなくGRINのウェブサイトですが、クリス・アンダーソン著の"The Long Tail"をとても気に入っています。

カール:素晴らしいディスカッションでした。お忙しいところ、あなたの知識を学ぶことができて光栄です!


カイ・リ - VP of International, Revolve Clothing

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カイ・リは大学を卒業後、Chicago BoothでMBAを取得。中国スタートアップに対して市場調査・分析と事業拡大戦略を10年間行ったのち、ファッションeコマースサイトの(Shopbop.com) やAmazonの子会社でビジネスディベロップメントを経て、現職に就きました。彼は戦略策定、ブランド構築、Webサイトへのアクセス促進、インターナショナルマーケットでのオペレーティング能力を強みとして持っています。


カール・ミレー - Founder & Managing Director,GRIN

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彼は、非営利団体eコマースのプロフェッショナルです。アメリカのHaasビジネススクールのエクゼクティブエジュケーションプログラムでイノベーションを学んだのち、GlobalCollectでトップリテーナー達と働き、グローバルeコマースのビジネス開発戦略を支援してきました。そして、Carlはクロスボーダーのリテイナーをリードし、イノベイティブな知識を広めるためにGRINを設立しました。

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