小島ファッションマーケティング代表

短命に終わった加工デニムが復活か?

短命に終わった加工デニムが復活か?の画像

 昨年の夏頃は岡山のデニム加工工場がフル操業で、低迷が続いていたライトオンなどジーンズカジュアルチェーンの売上も急回復していたが、今年の秋口には加工ジーンズ人気はピタリと止まり、ジーンズカジュアルチェーンの売上も前年維持がやっとという息切れ状態になってきた。デニム復活は15SSから16SSの3シーズンで終わってしまったのだろうか。

20161101kojima1.jpg

 そんな時、NYの平山幸江さんから興味深いレポートが届いた。米国オンライン市場ではレギンスの売上本数が伸び、凋落するジーンズの売上本数を逆転したというのだ。ジーンズの売上本数推移を見ると14SSと15SSに若干、復活の山があったが16SSまで続かず、一方のレギンスは14AW、15AW、16AWと伸びて(さすがにSSでは勢いが鈍る)、16AWで逆転するに至っている。

20161101kojima2.jpg

 日米はライフスタイルもユーティリティも大差があって必ずしも同じ動きとはならず、なっても何シーズンか前後することが多い。米国では日本のような加工ジーンズ復活の山がなかった一方、レギンスの方はアスレジャーが13年頃から国民的ブームとなったが、日本は未だ部分的なカルチャーに留まってジーンズを上回る勢いには遠い。ところが17SSのNYコレクションで60'Sなコスモドールルックが復活してメタリック素材やレギンスが注目を集め、来春は一気に広がりそうという見方が出ている。アスレジャーライフスタイルから来た米国と違ってファッショントレンドから来る事になるが、米国同様、暖かくなると失速し、来秋が本番になりそうだ。

 国や地域のライフスタイルやユーティリティの違いによる流行の時差と取り入れ方の差を考えさせる事例として興味深いが、我が国での加工デニム復活の足を引っ張ったのはトレンドではなく『軽くて着やすい、洗濯機で洗えてアイロン不要』という消費者の機能性要求で、ストレッチデニムやナイロンデニムは売れている。

 未だ消費者を見下すかのような欧米コレクション崇拝やクリエイション崇拝が色濃く残る黄昏の我が国アパレルギョーカイだが、消費者は自らの感性とライフスタイルで強かに自分のファッションを楽しんでいる。彼ら彼女らの要求するユーティリティと機能性にギョーカイが真摯に応えない限り、今の苦境は深まるばかりではないか。

 今週から今秋冬の客層別スタイリング変化を検証して「16AW版客層ボード」の製作に入ります。それが終われば17AWの有望スタイリングテーマの設定に移り、テーマ別素材構成ボードを作成して「17AW版MDディレクション」を年内に完成させます。主役は国内のリアルな消費者であり、海外コレクショントレンドは参考にしても各客層のユーティリティが受け入れるこなし方が問われます。『我らの顧客は誰なのか』という原点に立ち戻り、ギョーカイは顧客目線で来シーズンに向かうべきでしょう。

◆小島健輔(KFM)のオフィシャルサイトはこちら

小島健輔