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「ゴヤール(GOYARD)」の歴史【2】

前回に引き続き、Fashion HRに掲載中のメゾンブランド「GOYARD(ゴヤール)」のブランドヒストリーをお届けします。

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ゴヤール家の伝統と伝承

父のフランソワからメゾンを受け継いだエドモン・ゴヤールは、伝統の担い手として、また経営者としてその手腕を振るっていきます。

モンテカルロ、ビアリッツ、ボルドーの3都市に支店を、そしてロンドンに現在もブティックがあるマウント通りのメイフェアとニューヨークに販売代理店を出店し、海外へ進出しました。さまざまな世界万博に参加したり、ペット用品やカー用品の新ラインを立ち上げたりと、広告活動に初めて力を注ぎました。

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そして、ブランドのシグネチャーとなったY字の杉彩模様が施されたキャンバス地、「ゴヤールディン」をこの世に誕生させたのもエドモンでした。

次いで、1998年に買収という形で会社を受け継いだジャン・ミッシェル・シニョル。メゾンの歴史と価値を知り尽くし、ゴヤールの 熱狂的なコレクターでもあった彼は、3人の息子たちとともに、メゾンのさらなる発展に尽力します。フランソワは製作の全行程をコントロールできるアトリエがあれば、理想とする完璧なものが出来ると信じていました。

受け継がれるファミリービジネスの誇り

ジャン・ミッシェル・シニョルと息子のアレックス、 レミ、ピエールもまた、彼の信念を忠実に受け継ぎました。トランクやバッグ、スペシャルオーダー品の担当はアレックス、イニシャルの刻印などのカスタムオーダー全般をレミ、そしてゴヤールディンキャンバスの技術はピエールが、分担して経営に参加しています。

フランソワの時代に比べて、はるかに設備が整った今日のアトリエである一方で、伝統に裏打ちされたノウハウと熱い職人魂は、変わることなく息づいています。

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パリのサントノレ通りの店舗ひとつからスタートした家族経営のトランクメーカーが、現在はラグジュアリーブランドとしてフランスをはじめ、アメリカからアジアにまで店舗の数を広げています。大手グループの後ろ盾はなく、トレンドや大量生産の流れに惑わされることのない職人気質のブランドであるゴヤール。

メゾンが作り続ける"本物"という普遍的な輝きは、シニョル家の手によって10年ほどでさらに磨かれ、改めて老舗ラグジュアリーブランドとして確固たる地位を築きました。

各国の著名人たちに愛されるゴヤール

ゴヤールとして1853年のオープンより160年以上にわたり、芸術家、企業家、国の指導者、王室関係者をはじめ、19、20世紀を代表する著名人たちが、誰もが一目見たいと夢見るサントノレ通り233番地を訪れていました。

これを物語るのが、ゴヤールのファイリングキャビネットに保管されている、インデックスカード。それは、セレブリティの美意識がゴヤールを認めていたという証なのです。

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(ゴヤールのインデックスカード)

ゴヤールのクライアントリスト

パブロ・ピカソ、サシャ・ギトリ、カプールタラーのマハラジャ、ジャック・カルティエ、アニェッリ家、ロックフェラー家、ロマノフ家、グリマルディ家、エスティ・ローダー、バーバラ・ハットン、ポンピドゥ夫人、プリンセス・アーガー・ハーン、ココ・シャネル、ジャンヌ・ランバン、ロミー・シュナイダー、サラ・ベルナール、エディット・ピアフ、アルトゥール・ルービンシュタイン、クリストバル・バレンシアガ...。そして1972年に顧客リストに名を連ねる事になったカール・ラガーフェルド。

クライアントのリクエストすべてをカルテのように記録しているインデックスカードは、お客様の有名無名は関係なく、末長く良いお付き合いを築きたいというメゾンの想いを代弁するかのように、何十年ものあいだ大切に取り扱われます。

ウィンザー公爵夫妻が最初にお店の扉を 開けたのは1939年。そして、カードは公爵夫人が息を引き取る1986年までそのまま保管されていました。