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【財務分析レポート】主要上場アパレルメーカー7社、2016年度上期決算

国内の主要な上場アパレルメーカーの2016年度上期決算が出揃った。各社それぞれ決算期が異なるため、11月15日に発表されたワールドの2017年3月期第2四半期までの業績を基に、数値をまとめた。百貨店販路を主力にしてきたアパレルメーカーが多いこともあり、概して各社は苦戦傾向にある。構造改革の途上にある企業が多く、軸足を置く強化分野により、業績推移の明暗が分かれた。

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主要上場アパレルメーカー7社、2016年度
第2四半期 財務諸表(表1)

組織の効率化を優先、減収基調に

比較するのは、上場している7社(ワールド、オンワードホールディングス、アダストリア、TSIホールディングス、レナウン、三陽商会、バロックジャパンリミテッド)で一部、非上場のイトキン、ファイブフォックスの前期実績も加えている(表2参照。両社の業績はウェブサイトに公表されている数値を使用)。2月期の企業が最も多いが、決算期の異なる他社も原則、第2四半期の数値を比較の対象とした。

上場7社中、増収を達成したのはアダストリアとバロックジャパンリミテッドの2社で、ほかの5社は減収だった。利益面では、構造改革が進んでいるワールドが営業利益58億円を確保したほか、オンワードホールディングスも同5億円と回復基調にある。アダストリアは微増収微減益だったが、これは"のれんの償却"により利益が目減りしたためで、実質は増益だった。TSIホールディングスも営業利益が8億円と、前年同期の損失計上から黒字回復した。レナウンおよび三陽商会は、百貨店チャネルの苦戦も影響し、さらに損失幅が広がった。バロックジャパンリミテッドは収益性が下がっている。上場したばかりのため、前年同期と比較する数値がすべて揃っていないが、D/Eレシオが2.1倍とやや高く、自己資本比率が19.9%と低い水準だ。

財務面では、ワールドがMBO(マネージメント・バイ・アウト)時に発生した借入金の返済が重くのしかかっている。自己資本比率が低いこともあり、D/Eレシオが6.5倍と高い水準にあり、この点が財務における当面の優先課題だと考えられる。商品回転率や交差比率など、効率性指標が改善しているため、今後もこのいい流れを持続することが早期回復には不可欠だ(表1参照)。

通期も"減収・増益"の傾向に

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主要上場アパレルメーカー7社、2016年度
第2四半期 実績及び通期見通し(表2)

オンワードホールディングスの財務面は改善している。商品回転率、交差比率はやや低下したが、自己資本比率が増加し、D/Eレシオも前年同期比0.6倍から0.2倍にまで改善した。アダストリアの財務は健全だ。商品回転率がやや低下しているが、交差比率は300台を維持しており、依然、高い水準にある。TSIホールディングスは効率性がやや下がったほか、流動性指標もやや悪化しているが、正常値の圏内だ。

レナウンは損失額がさらに増えた。商品回転率は微減、交差比率もやや低下したが、財務面に大きな課題はない。D/Eレシオも0.1倍と正常値内にある。店頭の売上増が最優先課題だと思われる。三陽商会は大幅な減収、損失計上に至った。財務面は正常なため、早期に収益性を回復させることが最優先課題だろう。

通期でも、売上高計画は第2四半期と同様の傾向で、アダストリアおよびバロックジャパンリミテッド以外は減収の見通しである。なお、イトキン(2016年1月期)とファイブフォックス(2015年8月期)は非上場のため、詳細な業績数値の開示がない。利益面では、三陽商会を除き、6社が利益確保を計画している。売上高のランキングに大きな変動はなさそうだが、利益面では、アダストリアが頭一つ抜け出そうな様相だ。

(樋口尚平)