ファッションマガジン

メイクアップ・アーティストになる為に必要なこととは?

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ファッションの世界に生きたいけれど、どんな道を辿れば良いのかわからない----そんなことを考えて足踏みしている読者も多いはず。i-Dファミリーに、彼女たちがどのようにしてデザイナーに、スタイリストに、ライターに、ディレクターになったのかを聞くこのシリーズ。今回は、メイクアップ・アーティストのルーシー・ブリッジに話を聞いた。

ルーシー・ブリッジ(Lucy Bridge)は、幼少のころからメイクに憧れて育った。そして努力と類い稀なる才能をもって、夢を実現させた。メイクアップ・アーティストであり、ときにプラスサイズ・モデルとしても活躍しているブリッジは、マンチェスターでヘアメイクを勉強した後、出身地である北部からロンドンへと引っ越し、以来i-D、『Vogue』、Chanel、ラフ・シモンズ、チャールズ・ジェフリー、ティム・ウォーカーなど、ファッション業界最高峰のブランドや媒体、アーティストたちと作品づくりを共にしてきた。彼女はi-Dとの関係は長く、バスでティム・ウォーカーに見初められて(!)2009年に本誌のChanel特集ページでモデルとしてもデビューを果たしている。ファッション業界で多忙を極めるようになること、最新メイク商品を常に知っておくことについて、ルーシーが業界で成功するための秘訣を教えてくれた。

私の仕事。そしてなぜこの仕事をしているかについて。

私が毎朝起きて仕事に挑む気迫や動機に満ちているのは、その仕事がメイクだからこそ。メイクは、私が幼いころから憧れていた仕事。12歳ぐらいの頃にはすでにメイクアップ・アーティストになることを夢見ていたの。両親にもメイクアップ・アーティストになるって宣言していたのよ。そんな夢を抱くようになったのは、母の影響が大きかったと思う。いつもChanelやDiorの化粧品が家に置いてあって、私はいつもそれでメイクを試していたの。80年代の『Vogue』も数え切れないほどあった。ページをめくっては「こんなことがしたい」と思っていたわ。マンチェスターの学校で2年間、メイクのコースに通って、この道は競争が厳しいと解っていたけれど、それでも世の中にこれ以上やりたいことなんて見つからないと分かっていたから、それが険しくも正しい道なんだと確信してたわね。

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Charles Jeffrey spring/summer 17, backstage photography Piczo

日々の仕事

毎日が違うわね。そこがいいの。同じことの繰り返しにはすぐ飽きちゃうし、毎日新しいアイデアに新しいメンバーと取り組めるのは楽しいから。でもね、毎日欠かさずやらなきゃいけないことがあるの。それは、メイク箱の整理!私は乙女座だからすごく神経質で、だからステーションの見え方とかメイク道具が綺麗になっているかがすごく気になるわけ。革新的な最新商品が出たら、それをよく勉強しておくのはとても重要なこと。もちろん、メイク箱のなかを綺麗に整理整頓しておくこともね。そこにはプライドを持ってるの。この仕事をしていて良かったと思えるのは、スクリーンに映し出される自分のメイクを見て、全体のイメージやメイクを私自身が良いと感じられるとき。そんなときはすごく興奮するし、なぜこの仕事をしてきたのかを改めて思い出させてもらえる。プロジェクトに関わっているチームとクライアントが私のメイクを気に入ってくれているかどうかというところも重要なことね。

「あれがあったから今の自分がある」というできごと

自分のキャリアで最大の出来事は、ティム・ウォーカーがChanelの特集ページで私をモデルとして起用してくれたこと。2009年のi-Dよ。ロンドンに引っ越して本格的にメイクの道でやっていこうと思わせてくれた転機になったの。10ページ以上もある特集ページで、そのほぼすべてが私と、私がChanelに夢中な理由に関するものだった。自分のメイクも自分でやらせてもらって、そこで大胆な眉やグラフィックなライン、グリッターやカラーへの私の情熱を見せつけることができたの! 2009年と今ではわたしのパーソナルなメイクも大きく変わったし、よりトーンダウンしたことは確かだけど、あの頃に夢中だったスタイルは今のメイク作品にもにじみ出ていると思う。もうひとつ、転機になったのは、昨年の夏、マネージメント会社Streetersが私を所属メンバーに加えてくれたこと。ずっと憧れていた会社だったから、所属できるなんて今でも信じられないわ。学生の頃、パット・マグラスやヴァル・ガーランドの作品を見て憧れていた日々を思うと、彼らのような超一流のメイクアップ・アーティストたちと同じ会社に属しているなんて夢みたい。

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Photography Olivia Rose

大学には行くべきか、行かざるべきか

マンチェスターでメイクアップとヘアを2年間勉強して、単位を取得したの。そのコースは楽しかったし、当時の私には必要な勉強だったけれど、そういった学歴がこの業界で必要になるかといえば「絶対的に必要とは思わない」と言わざるをえないわね。基礎を学んで自分の本領を知り、メイクの世界に足を踏み入れるきっかけとしてそういった短期コースで勉強するのはとても良いことだと思うけど、私がこれまでに得たなかで最も役に立ったアドバイスは「なるべく早くファッション業界に飛び込んでしまいなさい」というものだった。アシスタントでも、化粧品ブランドや雑誌でのインターンでもいい。実地での経験は、キャリアを発展させていくために絶対に必要なものよ。ファッション業界を知るにもメイクの世界を知るにも、業界最高峰のクリエイターたちの仕事を間近で見させてもらうという経験に勝る学びはないのよ。無償の長時間労働で求められるものも多いけれど、そこで得られる技術と経験は何物にも代えがたいものだし、それは学校では絶対に教われないもの。メイクアップの世界でアシスタントとして始めたければ、プロフェッショナルでいることをなによりも心がけること。いつでも気を回して機敏でいなくてはならないし、師匠のメイク道具を熟知していなければならない。師匠が次に使うものを、先回りをして師匠よりも早く分かるようでなくちゃならないの。
仕事では「自分自身でいなければならないんだ」ということを私は学んだわ。個性は、一緒に仕事をするチームにも影響を与えるけど、作品にも滲み出てしまうものなの!それから作品を最高レベルに導くのに、リサーチは不可欠。展覧会に行ってアートに触れたり、好きなものを毎日写真に収めたり、インターネットで好きなことについてとことん調べてみたり、本や雑誌を読みあさったりね。新しいアイデアをいつでも持っていなくちゃならないし、いつでもフレッシュでなくちゃダメよ。ファッションはものすごい速さで動いているから、私たちメイクアップ・アーティストも同じだけ速く動かなきゃならない。

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Charles Jeffrey spring/summer 17, backstage photography Piczo

「あのときにこれを知っていれば」と思うこと

「やり直したいことはあるだろうか」ってたまに考えることがあるんだけれど、本当にひとつも思い浮かばないの!キャリアにおいてすべてのステージをきちんと踏んで、必要な失敗をきちんと経験することはとても大切なことだと思う。メイクアップ・アーティストとして学び、成長するうえで、それが最善の道なの。どんなメイクアップ・アーティストになりたいのかを探り当てることも必要。そんなの、一夜にして分かるものではないけれどね。成長するにしたがって見えてくるものだし、その成長はプロフェッショナルな働き方をしているなかで自然に生まれてくるものであるべき。成長の秘訣は、なんといっても練習、練習、練習よ!練習があってこそ初めて完璧な作品作りというものがあるわけで、例えば、グラフィックなキャットアイの作品をとってみても、ライナーが勝手にああ描いてくれたわけではないんだから!友達にメイクをさせてもらって、違うチームにテストをしてもらって、自分の顔を使って練習するのもたまには必要よ。

明日が楽しみ。なぜなら......

ファッションウィーク開催が迫っている今、メイクのテストのためにリサーチに準備にと忙しくしているの。毎年この時期が本当に楽しい。バックステージでショールックを作り上げられるんだもの。今年はA.V. RobertsonやSadie Williamsのショーに参加させてもらえる予定で、チームと共にショーを作るのが楽しみ。ショーはハイペース。ランウェイに出ようとバックステージに並ぶモデルたちを見る、あの興奮は何物にも代えがたいわよ。

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