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【インタビュー】ブランドインポート企業「SDI」の藤枝代表に訊く、海外ブランドとの仕事(後編)

イタリアの「イザイア」「マリネッラ」など、さまざまなブランドのインポートを手がける藤枝大嗣・株式会社エスディーアイ 社長へのインタビュー。前編に引き続きお届けします。

前編はこちら>>

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(マリネッラ・ナポリ 東京ミッドタウン店)

コーディネートするように、専門ブランドをセレクト

−現在SDIさんが海外のブランドと契約をしている数ってどのくらいなんですか。

15、6社あります。紹介をされるケースもありますし、こちらから興味をもってコンタクトする場合もあります。もう一つ僕が自分の会社を作ってから大事にしていることとして、コーディネートを作るようにブランドを選んでいるということです。要するに靴、靴下、スラックス、ベルト、さらに下着、シャツ、ネクタイ、スーツやジャケット、コートから手袋やスカーフ、バックに至るまでを網羅しているのです。

それらをある一定のレベルで取り揃えるということ、例えばこのブランドに合うレベルのシャツはどこだろうとか、自分の着てみたいものとか、自分の客先が売っているものなかから探したりもします。

−なるほど。そうやって藤枝さんが選ばれたブランドを取り扱っているのですね。

全ての欲しいものを手に入れられるわけではありません。だからよいものがいっぱいある中で、もし機会があって一つでもブランドの代理人になって、そのブランドの日本市場を預かれるとしたら、我々はベストを尽くし、そのブランドを日本のふさわしいお客さんにいかに繋ぐかなんです。

お互いハッピーになるためには、売れていかなくてはならない。だからプレゼンが上手くて契約を獲得したけれども商品にふさわしい売り方ができなかった、もしく商品のレベルがこちらの求めるところとデリバリーされた商品が違っていたなどとなると、絶対も続かない。2シーズンはオーダーをもらえますが、3シーズン目はないですね。

−代理店がよく変わるブランドって時々ありますね。それとは逆に28年間イザイアと取引きをされて、イザイアジャパンを設立し、去年直営店をオープンされましたが、これだけ長い関係というのもあまり例がないですよね?

最初に推薦状を持って、イタリアの本社やショールームでお会いしたのは今の三代目の社長のお父さんや叔父だったんです。今の社長は当時まだ20代中盤で、イタリアのボッコーニという有名な大学に通っていました。そこで卒業論文を書いていた長髪の青年が3代目を継ぐというね、そういうお付き合いです。そんな機会はそうそうありませんから、すごく幸せだと思いますね。

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業界の重鎮が見る、ファッション業界の未来は?

−業界を長年見てきた藤枝さんにお聞きしたいのですが、ファッション業界の10年後はどうなっていると考えますか?

大学を出てからインポートの紳士服で40年近くやってきているわけですが、我々が扱っているアイテムとは、本当にごく一部の富裕層が対象となるので、売り上げに関しては今後も大きく変わらないと思います。ただバブルの時期はその下の層が手の届く、もしくは買ってみようって気になる時期がある。百貨店はつい最近までインバウンドの効果で売り上げを伸ばしたが、今では中国国内に持ち込む分に課税されたことで、消費者は海外でお金を落とさない傾向になりました。それで去年の暮ぐらいからお金の使い方が全く変わってしまった。

しかしそれはコアのマーケット以外の部分であって、コアの部分は変わらない。それはメンズもレディスも同じ。ただ残念ながらここが倍、3倍、5倍になるということはないですね。ただこのコアマーケットに属する人は、ほかの人と同じものを着ることには満足しないと思うので、ここの部分のマーケットはシュリンクしないんです。

−コアなターゲットに向けてこれからもどんなサービスを提供し続けるべきでしょうか?

このブランドを着ることによって自分がどう心地良い思いをするのか、また買うとき、買った後にどういうサービスを提供できるかが重要。お客様は店頭の接客が、ただ単に丁寧なだけでは満足しない。接客のプロフェッショナルが体型に合うものをタイムリーに提案するとか、合う色を伝えるなど、長く着てもられるものをワードローブの中に買い足してもらうための提案ができるかが大切なんです。

それからショップであればメンテナンスも重要なんですね、やっぱり良いものはやっぱり長く着てもらうべきなんですよ。イギリスの貴族はどんなにお金持ちでも、袖口を何度も直したり、エルボーパッチもデザインとして成立しています。

−そうするとお客さんの心を掴んでまた来店していただけるということですよね。

そういうファンを掴むことが重要です。その最終消費者と接しているのはやっぱり販売の方で、彼らが最前線にいるわけです。だから販売の方がそれだけの知識とそれだけの意識とか情熱とかを思って、誠実に接することができるか。ブランドのプロモーションする側にそういう気持ちがないと、そのことが仕入先のバイヤーに伝わらないですよね。

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「30代はまだまだ初心者。人は40代、50代でようやく円熟する」

−実際接客をする販売の方のお話が出ましたが、ブランドビジネスを行う御社が採用したい人物に求めることとは?

もちろん担当するブランド、またファッション自体への興味というのは大前提なのですが、常にどうしたら自分が今より向上できるか、より多くの知識を吸収して、今の持っているスキルよりもっと大きなスキルを、という向上心がないとダメですね。今日の自分より、明日の自分は一つでも多く知ってなきゃいけないし、10年後の自分はもちろんそうでなきゃいけない。いつまでもいろんなものに好奇心を持ち続けてほしいなぁって思いますね。

20〜30代は、まだ社会人としては本当にまだ初心者で、やっぱり40代、50代に入ってやっと円熟してくいんじゃないのかな。そこで自分が今までやったこと、得た知識を活かせると思うんです。

−20代、30代での転職は、まだまだいろんな可能性を秘めているということですね。

そうですね。小さなスポンジは吸収できる量も少ないですよね?だから自分がスポンジであるとしたら大きいスポンジになってないと、大量のものが吸収できないし、吸収できないと消化できないし、じゃないとスポンジがどんどん小さくなってシュリンクして、乾いちゃって水も吸わなくなっちゃうんです。

−大きいスポンジを目指してやっていかなきゃいけないということですね。どうもありがとうございました。

好奇心と向上心を常に胸に刻んで仕事に向き合うことの大切さを教えてくれた藤枝さん。ブランドと真摯に向き合う姿勢と、その物腰の柔らかさで数々のブランドから信頼を獲得してこられたのでしょう。

20〜30代はまだ社会人初心者だという言葉は、多くの転職ユーザーの方に響くはずです。ぜひ今のうちに多くのことを吸収し、キャリアパスを築いていってほしいと思います。