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デザイナー山本耀司、絵画との出会い

デザイナー山本耀司、絵画との出会いの画像

アートに真正面から向き合う山本耀司に光を当てた展覧会「画と機 山本耀司・朝倉優佳」が開催される。山本の表現に対するフラストレーションは、朝倉優佳の激しく奔放なペインティングと共鳴し、ファッションの枠を超えた展示によって表現される。

時代に流されることない反骨精神で世界を刺激しつづけるデザイナー山本耀司とアーティスト朝倉優佳の共作展示「画と機」が、2016年12月10日(土)より東京オペラシティ アートギャラリーで開催される。「画と機」という展覧会名は山本耀司の希望により、旧知の編集工学者である松岡正剛が考えたもの。「画」は絵画を、「機」は「はずみ」や「機会」「機織(服)」を意味しており、この2つの文字は関係性を表している。絵画とファッション、二次元と三次元、衝突と融合、対立と共存、刹那と永遠、男と女など、 反発しながらも惹かれ合い、互いに逃れられないような、創造の根源に触れる危険な関係を暴き出していく新しい試みの展覧会となっている。

2016年春夏シーズンのメンズ&ウィメンズコレクション、朝倉が描いたフォーヴィスムのような極彩色と激しさが迸る激情的なペインティングは、Yohji Yamamotoのコレクションピースへと形を変えた。それから数シーズンにわたり、2人は共同製作をしてきた仲だ。

山本はデビュー以来、強さと自由な意思を持つ女性像を表現してきた。アシンメトリー且つゆったりと包み込むような独特のシルエットで既成概念を打ち破り、後ろ姿から漂う哀愁さえも美しいと思わせるようなスタイルである。その度に使ってきたヨウジの"黒"は今なお、ルーツのないマインドを持つ彼のアイデンティティと言ってもいい。ただしここ数年では、それらに加えて、エルザ・スキャパレリにオマージュを捧げたシーズンや笹田靖人とのコラボレーションを行ったりと、積極的にアートをデザインに取り入れた色味のあるコレクションを発表していた。この男に今どのような心境の変化が訪れているのか? 40年以上のキャリアを経て今なお斬新なクリエイションを展開する彼の魅力と本質を新たな視点から迫っていく。

本展では、トルソーに服を着せる通常のスタイルでの展示は行わず、異形のボディへそれぞれ違った着せ付けを施すという、風変わりな並べ方で我々を出迎えてくれる。このために山本耀司が制作した絵画や彫刻をはじめ、ここ数シーズンにわたりYohji Yamamotoの服づくりに熱を与えた若手画家・朝倉優佳の大型の絵画作品を展示するほか、山本の作品と渾然一体となったインスタレーションが展開する。一見混沌としたなかに、相反する力が複雑に作用し、奇抜で革新性に富んだ空間が現出する様は従来のファッション展のイメージしてきた人にとっては、その予想を見事に裏切るものだろう。「画」と「機」を音読みでつなげると「ガキ」 とも読めるのだが、これは世間が子どもへ向ける目への反抗や抵抗としての表現でもある。朝倉優佳の絵画にもそうした溢れる自由奔放さが見て取れ、誰もが子どもの頃の断片を持ち続けているはず――というメッセージを孕んでいるかのようだ。

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Photo:Keiichi Tahara

画と機 山本耀司・朝倉優佳
Painting and Weaving Opportunity : Yohji Yamamoto ・Yuuka Asakura
会期:2016年12月10日(土)─ 2017年3月12日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
住所:〒163-1403 東京都新宿区西新宿3-20-2
開館時間:11:00 ─19:00( 金・土は20:00まで/最終入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、2016年12月26日(月)─ 2017年1月3日(火)(年末年始) 2月12日[日・全館休館日]
入場料:一般 1200円/大・高生 800円/中学生以下 無料
*同時開催「収蔵品展057 人間 この未知なるもの」、「project N 66 村上早」の入場料を含む
問い合せ先:03-5777-8600(ハローダイヤル)
www.operacity.jp/ag/exh193

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Photo:Shuzo Sato

Credits
Text Yuuji Ozeki