ミレニアル世代、若い世代の台頭が米国流通を変える

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■アメリカ流通は常に激変している。変わっている大きな理由は消費者だ。消費者が毎年、年を取り常に若返りが行われていることで売り手も変わらざる得なくなる。1946年~1964年生まれのベビーブーマーの最高齢は70歳に突入し、最も若いひとでも52歳と消費者としては高齢の部類となる。一方、1980年代から2000年代初頭までに生まれたミレニアル世代が若く消費に旺盛で、消費者として存在感を年々増している。ミレニアル世代は7,500万人に上り、数の上でもベビーブーマーを圧倒しているのだ。台頭するミレニアル世代の買い物が顕著に表れたのが、今年の感謝祭日とブラックフライデーを含む週末4日間だ。この週末4日間の買い物では、オンラインで買物する人数が実店舗で買物する人数をついに上回る結果となった。全米小売業協会が先月27日に発表した早期データによると、オンラインで買物をした客数は1億850万人と推計する一方で、実店舗の客数は9,910万人となった。オンラインでの買い物客数は前年同期から4.2%増となる550万人増え、実店舗は3.7%減の300万人減少した。オンラインもスマートフォンなどモバイル経由の売上が昨年以上に伸長したのも特徴的だ。モバイル経由のブラックフライデー・オンライン売上は前年から33%増と記録的な伸びとなり12億ドルとなった。スマートフォン経由の1日の売上高が初めて10億ドルを突破したのだ。そのドライビング・フォース(駆動力)となったのがミレニアル世代と言われている。ミレニアル世代はデジタル機器やインターネットが普及した環境に生まれ育った最初の世代であり、スマートフォンのような小さい画面からでも買い物をすることに抵抗がないのだ。
 スターバックスやチックフィレがモバイルオーダーを全店で展開し、それを応用に大手外食チェーンもモバイルによる展開を速めている。スーパー最大手のクローガーは傘下のスーパーなど500店でネット注文でお店の駐車場で車から降りずに受け取れるクリックリストを展開中だ。ウォルマートも年末までに同様なサービスであるピックアップ・グローサリーを800店に展開すると発表している。これらのサービスは、さらに台頭してくるミレニアル世代のショッピングパターンをにらんだ展開なのだ。消費の世代交代の著しさがこれまでなかった買い物オプションを生み出している。

トップ画像:ウェグマンズのカーブサイド・ピックアップとなる「パーソナル・ショッピング(Personal Shopping)」。ミレニアル世代の母親が増えるとネット注文でお店の前で車から降りずに受け取れる注文品を受け取れるサービスも増える。ウェグマンズはパーソナル・ショッピングを6店舗でテスト展開しているのだ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。当ブログの読者が増えていることで、視察中に他の視察グループから話しかけられることが増えてきました。先日も別の視察グループと一緒になった店で「後藤先生ですか?いつもブログを読んでいます」と話しかけられました。このグループとはニュージャージー州にあるウェグマンズでも(すれ違いでしたが)一緒になっていました。視察したウェグマンズの話になり、彼の話で「あれ?」と思ったことがありました。我々がこのウェグマンズを視察した理由の一つは、ネット注文でお店の駐車場で車から降りずに受け取れる「パーソナル・ショッピング(Personal Shopping)」を行っているからです。クローガーのクリックリストと同じで「カーブサイド・ピックアップ」です。我々のグループはウェグマンズに入る前、パーソナル・ショッピング専用パーキングエリア(店の前の路肩)で車を停めて、注文品が出てくるのを待っているお客さんまで確認しました。

⇒彼の話から、別の視察グループはウェグマンズの新しい戦略である「パーソナル・ショッピング(Personal Shopping)」を見ていなかったようでした。というのも彼のコーディネーターがこれを知らなかった可能性があるからです。ウェグマンズは「パーソナル・ショッピング(Personal Shopping)」をピッツフォードの旗艦店を含む2ヶ所で始めました。スーパーマーケットの視察テーマは現在、2つあります。一つはカーブサイドピックアップのようなネット展開と、外食でもなければ中食でもないサードプレイスとなるグローサラント業態です。最新トレンドでスーパーマーケット業界をリードするウェグマンズはグローサラント業態でも他社に先駆けて展開しています。ウェグマンズはフルサービス・レストラン「パブ(The Pub)」を一部の店で展開していますし、ニューヨーク州ピッツフォードにあるウェグマンズの旗艦店の隣にはカジュアル・ダイニング「バーガーバー(Burgar Bar)」を出店しています。

⇒旗艦店から車で1~2分の距離にフリースタンディングでフルサービス・レストラン「ネクストドア・バイ・ウェグマンズ(Next Door by Wegmans)」を展開、ロチェスター店では2階層のフルサービス・イタリアンレストラン「アモーレ・イタリアン・レストラン&ワインバー(Amore Italian Restaurant & Wine Bar)」も行っています。一部にはオイスターバーも始めています。ウェグマンズが「パーソナル・ショッピング(Personal Shopping)」を拡大しており、現在は6店舗で行っているのです。ウェグマンズも新たな客層であるミレニアル層に向けてカーブサイドピックアップをテストしているのです。買い物客から圧倒的な人気や支持を集めているウェグマンズでさえ現状に慢心せず、来るべき客層に向けて戦略転換を行っているともいえるのです。ちなみに我々のグループはロサンゼルスのラルフスでクリックリストでのネットショッピングを実際に体験しました。体験しないとわからないこともあるのですよ。
アメリカではミレニアル世代が消費の中枢として台頭する一方、アメリカ視察研修のコンテンツも以前とは全く変わってきているのです。知らなかったじゃ、済まされません。

後藤文俊