小島ファッションマーケティング代表

「チャールズ&キース」が実店舗クローズ、厚かったローカル市場の壁

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 「チャールズ&キース」が年内で日本国内の全店を閉める。既に原宿の旗艦店以外は閉めており、原宿店も12月31日で閉店する。ECも26日で一旦終了し、来春に再スタートするとしているが、事実上の撤退と見られる。シンガポール発のシューズ&バッグブランド「チャールズ&キース」がオンワードホールディングスと合弁で設立したチャールズ&キースジャパンが一号店を原宿に開業したのが13年4月だから、わずか三年半で撤退する事になった。

 ピークは14店舗まで拡げていたが、ハイファッション感覚のエレガントなデザインをお手頃価格の合皮で提供するというビジネスモデルが本革志向の顧客層と噛み合ず、短期での撤退となったと推察される。上陸時点から指摘されていた事だが、ファストファッション志向のOL相手ならともかく、エレガンス&上質志向の大人相手に合皮での訴求は難しかったのだろう。本革での提供も一部で試みられたが、関税割当制度(クオータ)による高関税で競争力のない価格となって広がらなかった。

 アウェイの海外市場では関税のみならず様々な障壁があって市場に浸透出来ず、短期で撤退するチェーンが少なくない。06年進出のトップショップは15年、12年進出のオールドネイビーは17年、13年進出のイーランドとウィークデイは15年、モンキは16年に撤退しており、今も撤退が噂される外資チェーンは片手に余る。5年以内の撤退率はほぼ半分、十年後には三分の一しか残らないのが現実だ。

 テイストの好みや生活文化、四季の移り変わりや季節行事、売上月指数やサイズバランスの相違はもちろん、労働慣行や税制の違いも足を引っ張る。日米の売上月指数(図参照)を見ても、小手先のMD運用だけでは克服し難い相違が認められる。米国や中国は国土が広く、国内でも地域による相違が大きい。それゆえ商物分離の流通ブローカー制や地域代理商制が定着しているのだ。

 生活文化や気候に左右されるファッションは極めてローカルなもので、アウェイな海外市場への参入は障壁が高い。'クール・ジャパン'の掛け声に乗って海外進出を夢見るブランドやチェーンが少なくないが、海外での悪戦苦闘が戦力を分散させ全社のコストを肥大させる弊害も忘れてはなるまい。

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