小島ファッションマーケティング代表

コーディネイトブランドは不要?

madameHさんや輪湖もなみさんなど、アパレル業界でのキャリアを活かして消費者向けにスタイリングやワードローブ構成のアドバイスをしておられる方のご本やブログを拝見していると、玄人感覚で見逃していたり軽んじていた'真理'にはっと気付かされる事が多い。このお二人の良いところはインフルエンサーなどと気取らずブランドの広告塔紛いの文章を書かないことで、『買ってはいけない』的な指摘も厭わない明朗な姿勢に好感が持てる。

「成熟した大人のスタイリング」を提唱するmadameHさんからは『自分に合った上質な定番単品を長く使い、業界が毎シーズン打ち上げるトレンド商品には極力、手を出さないように』、体型や軸色に基づく合理的なワードローブ構成を提唱する輪湖もなみさんからは『軸色と合わない色は結局、箪笥の肥やしにしかならない』・・・・など消費者向けのアドバイスからMD政策の要となるヒントが得られる。そんな視点で私のワードローブを再点検してみたら、ギョーカイの今後を占う'真理'が幾つも見えて来た。

ビジネス向けはイタリアのファクトリーブランドか同じ拘りの国内生産シングルライナーブランド、オフ向けは手頃なカジュアルSPAブランドがほとんどで、トレンドを追うブランドやライセンスブランドは一点も無かった。伊ファクトリーブランドも皆、ジャケットやパンツ、ニットの単品専業ブランドばかりで、他に拡げたアイテムに手を出す事はない。

これらの単品ブランドはファクトリー直結で仕様も品質も安定しており、長年の'定番'に今風のフィットやディティールを控え目に加える事はあっても、顧客の期待を裏切るような蛇行も季節の買い替えアイテムを欠くような失策も少なく、'エンゲージメントMD'を崩さないから信用出来る。それに対してコーディネイトブランドというやつは単品毎の仕様と品質が安定せず、フィットもデザインもシーズン毎のトレンドで結構振れるし、定番アイテムの季節的継続性も配慮しないから、顧客になりようがない。一度は気に入って買っても縁が切れがちで、続いているのは鉄板の定番単品を持っているブランドに限られるし、そのアイテムしか買わない。

顧客視点から見れば『コーディネイトブランドなんて不要』という事になってしまうが、値引きと売れ残りのロスに苦しむギョーカイとしても『コーディネイトブランドは止めよう』と結論しても良いのではないか。テイスト別?の似たようなブランドが氾濫する百貨店や駅ビル/SCもアイテム別に売場を再構築すれば格段に買い易く(逆に見れば売り易く)なると思うのだが、何でそうしないのだろうか。

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小島健輔