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ファッション業界の「展示会」って何?

ファッション業界の「展示会」って何?の画像

ファッションウィークで盛り上がる3月や10月になると有名人やインフルエンサーのSNSで「展示会でオーダーしました!」などの投稿を見かけますよね。「新作を注文できる場所っぽいぞ...?」ということまでは伝わってきますが、ファッション業界以外の方にとって展示会は何をするところなのかいまいちわかりません。第3回にわたってご紹介する《連載:ファッション業界って何?》シリーズ、第1回目のファッションウィークって何?に続き第2回は展示会について簡単に解説していきます。

展示会=商談の場

ファッション業界における展示会とは、他業界と同じく商談を行う場です。ブランド、メーカーが取引先を呼んで商品を買い付けてもらったり、報道してもらうための大事な場。招かれるのはバイヤー、プレス関係者、ブランドの知り合い、インフルエンサーなどです。一般の方に開放している場合もありますが、主に顧客や一般向けは先行受注会と呼ばれ、最近はネット上で行われることも多くなりました。
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実際どんなことをしているか、職業別に見ていきましょう。

バイヤー

展示会での目的は店頭に並べる来季の商品買い付け。ショップのコンセプトや客層に合ったアイテムを選ぶのが重要。ラックに候補のアイテムを並べて、全体のバランスが取れているか(トップスばかりになっていないかなど)、お店に陳列した時にどう見えるか、イメージを膨らませながら慎重に選びます。この時、消費者目線で服を見て「丈が短すぎてお客様が着づらいと思うから、3cm長くしたほうがいい」「下着が透けるから裏地を足したほうがいい」など、改善点をブランド側に伝えることもあります。

プレス関係者

雑誌やウェブマガジンの編集者、スタイリストなどは来季のイメージ決めが目的。ショーで見て気になった服を実際に手に取り、どのアイテムでどんな特集を組みビジュアルを作っていくかを考えます。さまざまなブランドを回ることで、細かなトレンドを発掘するのも重要な仕事。ショーでは出なかったアイテムや色の展開も展示会では発表されるので、隅から隅までチェックします。

展示会の様子

じゃあ展示会ってどんな感じなの?ということで以前訪れた展示会の様子をご紹介します。
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デザイナー、玉井健太郎さんによる「ASEEDONCLÖUD(アシードンクラウド)」は毎回ストーリーと登場人物を立ててコレクションを展開しています。2016年春夏コレクションで表現したのは植物を愛する女性の物語。

展示会場の端にグラデーションを描くように並んでいたのは144色の草木染めの衣服たち。タグには染色に使用した植物と、それが採れる旬の時期が記してあります。(こちらはインスタレーション用で、販売されるかは未定だそう。)

このように、そのシーズンのイメージを伝える役割もある展示会場には、直接商品にはならないものまで飾られていることがあります。
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左:iPhoneで普通に撮影 右:iPhoneでフラッシュを炊いて撮影

サカナクションやライゾマティクスとのコラボレーション演出でファッション業界だけではなく多方面から注目を集めている「ANREALAGE(アンリアレイジ)」。パリで発表された2016SSコレクションのテーマは "REFLECT" でした。こちらは心霊写真ではありません。光が光源に対して真っ直ぐ反射して返ってくる再帰性反射という仕組みを利用することで、光をあてると服自体が発光して色づいているように見えます。日常だと交通標識などに使われている技術だそう。
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一眼レフでフラッシュを炊いて撮影

真っ直ぐ跳ね返る光のため、少し横から見たらここまで光って見えないという不思議な生地。一眼レフだとフラッシュの光が広範囲に届きますが、iPhoneのフラッシュだと限られた範囲しか届かないので、この生地の場合はiPhoneで撮影する方がより発光して見えるのだとか。日常に溢れるテクノロジーをファッション表現に落とし込み続けているANREALAGEは今話題のFashion Techの領域でも動向を伺っていたいブランドの一つです。

展示会の仕組み、雰囲気は伝わったでしょうか?素材やシーズンテーマについて詳しく聞けるだけではなく、デザイナーさんから直接想いを聞けるのが展示会の良いところ。《連載:ファッション業界って何?》シリーズ第1弾の「ファッションショーって何?」に引き続き、業界の裏側がちらっと覗けるような記事をお届けするので次回もお楽しみに!

※この記事は2015年11月4日にS MAGAZINEに掲載された記事をリライトしたものです。

Text : Azu Satoh