アメリカ小売業の地殻変動か?チェーンストア成功企業が次々店舗閉鎖

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■アパレルチェーンのリミテッドは6日、モールなどに展開する250店近くの全店を閉鎖すると発表した。同社はH&Mやザラなどのファーストファッションに押され、アマゾンなどオンラインストアにもシェアを奪われ売上が低迷していた。昨年末には一部店舗が店じまいセールを始め、現在は多くの店でマネキンなどの什器セールも行っている。全店閉鎖は8日に行われ、正従業員約800人を含む4,000人がレイオフとなる。なおリミテッドのオンラインストアは現在、全品50%オフとなるセールが行わている。サイトのカスタマーサービスには「これはさよならではありません...(This isn't goodbye...」のタイトルで「残念ながらリミテッド全店を閉鎖いたします。が、さよならではありません。ご愛顧いただいているリミテッドファッションは、24時間ワンクリックのオンラインストアでご利用いただけます」と掲載しており、オンライン専売ストアとして続けていくことを示唆している。
リミテッドの創業は1963年。創業者レズリー・ウェクスナー氏の手腕により1969年には5店舗展開にも関わらずニューヨーク証券取引所に上場を果たした。1980年代からエクスプレスやエクスプレス・フォー・メン(のちにストラクチャーに改名)、バス&ボディ・ワークスなどの姉妹ブランドのチェーンストアを次々に出店しながら1985年までに全米で2,500店を展開するチェーンストアに成長した。同時にビクトリアズ・シークレットやレーン・ブライアント、アバークロンビー&フィッチなど次々に買収していった。90年代に入ってリミテッドだけでも800店近くを展開するブランドになり、グループ全体では5,600店で展開する、婦人服チェーンでは全米最大となった。一方でリセッションや急成長による歪で成長が減速し低迷、1995年から1999年にはリミテッドやエクスプレスなど750店以上を閉鎖した。またアバークロンビー&フィッチや子供服のリミテッド・ツーなどのスピンオフ(事業分離)を行った。2002年には社名をリミテッド・ブランド(Limited Brands)に変更。リミテッドは2007年、投資企業のサン・キャピタル・パートナーズに売却された。売却時のリミテッドの店舗数は251店だった。なおビクトリアズ・シークレットやバス&ボディ・ワークスを展開するリミテッド・ブランドも現在は社名をLブランズ(L Brands)に変更している。
メイシーズは4日、68店の閉鎖と1万人のリストラを発表しており、翌日5日にはシアーズが150店の店舗閉鎖と同社PBで老舗工具ブランドの売却を発表したばかりだった。

17年1月2日 - 【店舗閉鎖】、2017年も相次ぐ店舗スクラップ!800店を展開していたリミテッドも限界?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。今年に入って最初に書いたブログ記事が店舗閉鎖についてでした。グッドタイミングというかなんというか、そのエントリー記事に取り上げたメイシーズ、シアーズ、リミテッドが連続して店舗閉鎖を発表したのです。160年近くの社歴をもつメイシーズにとっては68店の閉鎖に会社創立以来初となる1万人の大量レイオフの発表です。シアーズも150店の追加閉鎖に90年の歴史をもつ工具ブランドの売却という歴史的な出来事です。1号店オープンから50年以上となるリミテッドも全店閉鎖という歴史的イベントです。どの企業もチェーンストア理論の成功事例としてベンチマーキングされていた企業でした。長い年月を経て作られた地形が大変化を起こしているのです。後藤は昨年末「地殻変動の結果として地形が変わったりしますが、小売の地殻変動でも沈没したり隆起したりする現場を目にすることでしょう」と書きました。
まさに小売の地殻変動による歴史的な沈没や崩壊が現場で起こっています。

後藤文俊