小島ファッションマーケティング代表

「声かけ」は販売現場から消えていくのか?

輪湖もなみさんの『服のお店で言われるとへこむ言葉』と題したブログにお友達の共感が広がり、アパレル店で物色中に声かけされて'へこむ''戸惑う''怒る'様々な女性たちの声が挙げられていた。

私も長年、アパレル小売に関わる一方で消費者として売場を物色する事も少なくないが、販売員さんの声かけには戸惑う事が多い。一番多いのは『何かお探しですか』『サイズをお出ししましょうか』だが、こちらがどんな意向で購買プロセスをどう進めようとしているのか掴んで声かけしてくる訳ではないから、大半の場合は戸惑って購買プロセスを中断してしまう。声かけされなければもう少し物色して気にいる物が探せたかも知れないが、下手に声かけされては余程明確な意思がない限り撤退するという選択になってしまう。大の男でもそうなのだから、シャイなご婦人がどう反応するか想像がつくというものだ。

『いらっしゃいませ』のさり気無い挨拶は別として、顧客の購買プロセスを妨げる事なく最適なタイミングでサポートに入るべきだが、顧客の購買目的と購買プロセスを察するのは熟練販売員でも難しい。牛丼屋の券売機ではないが、顧客が商品を検索・選択して在庫を確認するまではVMD(クリック導線的購買誘導陳列が本来の第一義)とAI(店のタブレットか顧客のスマホ)に任せ、顧客のフォーカスが定まったところでサポートに入るのが合理的なのではないか。

店は商品を選択して購入する場であり、今時はスマホ片手に検索したり比較したりのオムニチャネルなショッピングが当たり前なのだから、購買プロセスをプッシュするプロモーションはともかく、過剰なお愛想やおもてなしは余計なおせっかいでしかない。スマホで情報武装した顧客に負けないAI武装でスピーディーに対応し、フィッティングやコーディネイトの玄人スキル(トレンド偏重にならないよう留意すべき)で顧客の信頼を勝ち取るべきだ。オムニチャネル時代の販売現場からは「声かけ」という顧客を戸惑わせるプロセスは消えていくのかも知れない。

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小島健輔