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アンチ"原宿KAWAii"アーティスト、Aya Gloomyにインタビュー

アンチ

原宿にレコードショップも構えるレーベルBig Loveが音楽レーベル<STBO Recordings>を設立。その記念すべき一人目のアーティストに選ばれたのが、22歳のAya Gloomyだ。2月14日にEP『Ennui Ground』をリリースする彼女に初となるインタビューを敢行した。

インフルエンサーとしてファッション誌で活躍してはいたものの、音楽活動についてはあまり触れられてこなかったAya Gloomy。アナログレコードが発売されるタイミングで、彼女の音楽的背景や新作に込められた想い、レーベルオーナー仲真史氏とのエピソードなどについて尋ねた。

音楽活動をし始めたのはいつからなのでしょうか?

高校生のときからです。私が曲を作って女の子3人でやっていたんですけど、卒業と同時に各々別の道に進んだので、自然とソロプロジェクトになった感じです。アーティスト名はそのときから使っているGloomyを名前のあとにつけただけ。単純ですごく恥ずかしいんですけど、当時お菓子のグミが好きでその響きに近いものにしようと思っていたんですよ。それでGで始まる単語を辞書で調べてGloomy(憂鬱な、暗い)という形容詞を見つけたんです。自分のダークな部分にもリンクするし、しっくりきて。

高校の頃はどんな音楽を聞いていたんですか?

欧米のインディとかエレクトロニックミュージックです。今でも変わらず好きなのがGlass CandyとChromatics。彼らの所属する<Italians Do It Better>はヴィジュアルでネオンを多用したり、ポップな世界観を打ち出しているレーベルなんですけど、音はダークなエレクトロニックというギャップに惹かれました。YouTubeの関連動画でたまたま見つけたんです。

彼らから影響を受けたものはありますか?

どちらも夜に鳴っている音楽だと解釈していて、そういう部分で影響されました。

では、本格的に音楽活動をするに至った経緯をおしえてください。インフルエンサーとしても活動していますよね。

ここ最近メディアのひとに声をかけてもらうことも増えたのですが、違和感を覚えていたんです。派手なファッションとか髪色に注目してくれるのは嬉しいけど、私がミュージシャンだということはスルーされてきたというか。それで自分が何者なのかをもっと知ってもらう必要があるなと思っていたんです。去年、失恋した瞬間急激に制作意欲が湧いて、そしたら突然音源も渡してないのに仲さんからリリースしないかと言われて。本当にいきなり大きく動いた感じです。CDやカセットを自主制作してきたけどちゃんとした作品(を作るの)は初めてなので、この機会を通して自分が何者なのかということを世の中に提示しようと決意しました。

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原宿にレコードショップも構える仲真史氏のレーベルBig Loveの傘下STBO recordingsからのリリースですが、もともとお店には通っていたのですか?

高校の頃からちょこちょこ訪れてはいたんですけど、去年の2月から気づいたら毎日のように通っていました。本当に音楽が好きなひとばかりが集まっているから、こんなところがあったの!?って衝撃で。最初は行きづらい印象があったけど、温かく迎え入れてくれる大切な場所です。仲さんはお父さんのような存在。最近はゴハンまで作ってもらってます (笑)

お店を訪れる頻度が、急に増えたのはどうして?

ひとりになって使える時間がたくさんできたらとにかくBig Loveにばかり足が向いてました。Big Loveに通うようになってからよりカルチャーに敏感になって色々と理解できるようになったので、今までなんてもったいないことしてたんだって! そんなタイミングでリリースのお話をいただいたので、色々な終わりを始まりに変えることができました。このEPではその中間にいた私のことを歌っています。過去を捨てると次にまた新しいことが始まると分かったのは本当に大きいです。

その歌詞を英語にした意図は?

実はこだわりは特にないのですが、でもずっと欧米の曲しか聴いてなかったし、自分と同じような音楽を聴いている世界中の人に伝えたいと思ったら英語で歌うほうが自然というか。逆にそんなわたしが日本語で歌ったら明らかに日本の市場を狙っているわけだし、そちらの方がとても不自然だと思います。

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では、音作りについておしえてください。

私の音楽は基本ループミュージックなんですけど、ドラムを決めてそこにシンセをのせていく感じです。いつも一枚画が頭の中にできているんです。仲さんに「ここをこうしたら?」ってアドバイスをもらったこともあるんですけど、どこかが抜けるとダメなんです。プラモデルの一部を3、4個取ってみたら実は構成要素の半分で崩れるみたいな。

理想とする音はあったのでしょうか?

こういうものにしたくないっていうのは強くありましたね。私の周りにはノイズやインダストリアルをやっている友人が沢山いるけど、自分が今やるべきものは違うと確信していて。Aya Gloomy としてやるからには、それよりかはポップなものをプロデュースするほうがいいなって。このために10曲くらい作ったんですけど、ボツになったのも沢山ありました。もしそれを入れたら、私の意図と反した解釈のされ方が予測されたから。

意図と反するというと?

"日本人がただ音楽をやったんだ"で終わっちゃうというか。アーティストとして時代に合った音をやるべきだと思うし、これは私にとってイントロダクションとなる特別な作品だから、選曲もシビアに取り組みましたね。けど私にはダークな部分もあるから、相反するものを上手く調和させていった感じです。EPの最後の曲では、自分の気持ちが露呈していると思う。同世代のミュージシャンEvian Volvikとの共作で、かなりダークなものに仕上がりました。

そんなAyaさんが今いいなと思うアーティストをおしえてください。

Abra、Princess Nokia、Tommy GenesisというNYの女の子たち。ラップで強い意志を主張しているんですけど、ストリートでやっている精神も好き。商業的な方向に走らず、自分たちがやりたいことをアンダーグラウンドで実行していてかっこいいんですよ。

商業的な音楽についてはどう思いますか?

うーん、セレブに憧れる気持ちが全然ないんですよね。お金になるアイドルとかってやらされてる感があってピンとこない。やっぱり自分で表現したいことで生きているひとたちに強く惹かれるんです。だから、私もお金のためにやりたいことを曲げることは絶対したくない。これは高校生の頃から変わらないです。

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Ayaさんのファッションについてもおしえてください。「原宿KAWAii」と形容されることについてはどう思っていますか?

あんまり気にしてないですが、自分は派手な日本人で原宿にいつもいるので(笑)そう見られるのもわかりますが、自分はダークでネクラな部分があってそしてそういったアンダーグラウンドな音楽やカルチャーから大きな影響を受けているので、商業的な「原宿KAWAii」とは大きく違うと思います。でもファッションでも表現していきたい。

最後に、今後の予定についておしえてください。

2月23日にLAのエース・ホテルでライブが決まっています。こんなすぐに海外で演奏できるなんて本当に嬉しい! 東京では3つのライブが決まっています。3月2日には政治的なことを主張するイベントを友人の中川エリナちゃんがオーガナイズしていて、3月19日に渋谷contactで「minimal ssg」というクラブイベント、3月23日は下北沢Threeの「Thursday youth club」での出演も決定しています。あと、Big Loveで古着を扱うpompom shopのポップアップショップもやるので、音楽だけでなくいろんな活動を見てもらえたら嬉しいです。

@aya_gloomy

Credits
Photography Monika Mogi
Text Ayana Takeuchi