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若者カルチャーだけじゃない「ケイスケヨシダ」の真価とは

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 吉田圭佑「ケイスケヨシダ(KEISUKEYOSHIDA)」デザイナーが、苦心しながら着実に階段を昇っている。23日に行った2017-18年秋冬コレクションでは、真摯に服と向き合い単品の完成度を高めていた。若者特有の不完全で危なっかしいコンセプトが好きだった人から見ると、一抹の寂しさを覚えたかもしれない。得意とする学生服のモチーフやパターンも見られたが、その度合いは抑えられた。

 同デザイナーは、若手デザイナー集団「東京ニューエイジ」の一員として合同ショーを行ってきたものの、17年春夏シーズンにブランドの自立とインターナショナルな発表の場を目的としたイベント「ファッション ポート ニュー イースト(FASHION PORT NEW EAST)」を立ち上げた。今季も、青木明子「アキコアオキ(AKIKOAOKI)」デザイナーと海外招聘デザイナーによる計3組で、個別にショーを構成している。

 こうした動きにより、デザイナー個人としてのレベルアップやブランディングを強化し、速やかな自立を目指している。「東京ニューエイジ」という集団発表の強みがある一方、カルチャー発信型のグループとしてイメージが固定されてしまう弊害もあった。吉田デザイナーの選択は、個の力を高めながらビジネスを軌道に乗せること。つまり、ファッションショーを継続しながら、多くの人に着てもらえる服を作ることだ。ごく当たり前のことだが、一番難しいことでもある。以前の取材では、「個人で行うことの大変さが分かってきた。また、若者のカルチャーを表現することは大事だけど、幅広い人たちに着てもらうことも意識したい。若い人だけではなく、大人の男女にも着てほしい」と語っている。ショーの演出やルック数の増加など、個人の作業が大幅に増えたが、デザイナーの顔には充実感が滲み出ていた。

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今回のショーは、1960年代に流行したフォルムやカラーを取り入れ、当時の自由な雰囲気をコレクションに反映している。「当時の写真や雑誌を見て、若い女性たちが素直にファッションを楽しむ姿に影響を受けた。その時代のデザイナーたちも、ファッションで明るい未来を描き出そうとしていた」と吉田デザイナー。アウターの左右で異なる素材使いや、スポーティな仕様を随所に盛り込んだのも特徴。また、バンダナには「KY」のロゴを配したが、「空気読めない」の略ではなく「ケイスケヨシダ」のイニシャルだった。

>>KEISUKEYOSHIDA2017秋冬コレクション

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市川重人