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大手アパレルブランド「HARE」が東コレでコレクションを発表する理由とは?

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2017年3月20日、株式会社アダストリアが展開するファッションブランドHARE(ハレ) が「Amazon Fashion Week Tokyo 2017A/W」に初参加し、最新コレクションをランウェイ形式で発表した。

会場となったのは品川WAREHOUSE KONAN。普段は貸倉庫である会場内は剥き出しのコンクリートがHAREの持つクールなイメージを彷彿とさせた。会場は多くの人で賑わい、HAREのブランドカラーである黒を基調とした服装をした人々が心なしか多くいるように思えた。

ショーの随所にはコレクションテーマである日本人の伝統的な世界観のひとつ、"ハレ"を感じさせる演出が見られた。まず会場内で配布されたコレクションテーマが記載されたプリントは和紙のような素材が使用されていた。またショーのBGMは和太鼓と電子音を組み合わせた音楽で和洋折衷を感じさせるものだった。

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「お客様に直接届ける?」

ショーのルック全体としては和を感じさせる、着物を意識した多重なレイヤードを駆使したヴォリューム感やHAREのテーマカラーであるブラックを基調としながら、赤や紫など着物の色を意識した色使いが印象的であった。また書道家の万美とコラボレーションした「晴」の文字がカリグラフィーの書体でプリントされたピースは最も「和」の要素が明白に示されていた。これらの一部商品はショー終了後に一部店舗とオンラインショップにてショーの映像と併せて発売が開始されている。

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ショー終了後のディレクターの小長谷健一氏の会見でしきりに使われていたのが「お客様が買える」という言葉だ。今回発表されたコレクションはショーピース(ショーの為だけに作成された洋服)が一切無く、実際に店舗やオンラインストアで全ての洋服が購入できるということが強調されていた。前述した一部アイテムの先行販売に見られるように、この取組はファッション業界のトレンドとなりつつある「SEE NOW BUY NOW 」を意識したものだろう。

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「ファッションショーを開催した真意とは?」

今回、HAREが東京コレクションに初参加した理由は主に二点あると考える。一つ目は、「ブランディング効果の期待」である。これまで国内にて約30店舗展開し、大手アパレルブランドの一ブランドとして認識されている同ブランドが、他の独立系コレクションブランドと同等の環境で発表することで、「HARE」のブランドイメージをよりモード・ファッションに接近させることが可能であるからだ。

二つ目の理由は「海外マーケットの開拓」である。これは小長谷氏の「ヨーロッパのマーケットへの進出を考えている」という旨の発言が全てを物語っていた。ショーの演出からデザイン面にわたって和のエッセンスを織り交ぜ、ヨーロッパにおいてのジャポニズムに対するポジティブイメージをセールスポイントに打ち出して行こうとする姿勢が感じられた。

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今現在、飽和状態である国内のアパレル市場から海外市場への展開は大手アパレルメーカーの至上命題となっている。多くのブランドが一斉に最新コレクションを発表する場である"Fashion Week"だが、ただモデルが歩き、洋服を見せるということ以外にも、世界中から集結したバイヤーやメディア関係者へ向け、日本のファッションを世界に"売り込む"という役割も担っている。HAREの打ち出した今回の施策はファッションショーのビジネスとしての側面を再認識させると共に、今後の大手アパレルメーカーの海外進出の新たなロールモデルに成り得るかもしれない。今後もHAREを含めたアダストリアの動向に目が離せない。

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Text:READY TO FASHION MAG編集部(Yuki.A)