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カニバリズムホラー映画「RAW」主演女優が語る、社会的タブーと性の目覚め

カニバリズムホラー映画「RAW」主演女優が語る、社会的タブーと性の目覚めの画像

ジュリア・デュクルノー監督の『Raw』で、主演を演じたフランス期待の新人女優ガランス・マリリアーが、性の目覚め、カニバリズム、大人になることについて語る。

映画の主人公ジュスティーヌと同じく、ガランス・マリリアー(Garance Marillier)もまた獣医になることを夢見て育った。共通点はそれだけにとどまらない。しかし、"人肉に対する欲望"という点では、ジュスティーヌと相容れないそうだ。ジュリア・デュクルノー監督の『Raw』は、青春映画であるとともに、女性の食人鬼を主人公としたホラー映画でもある。主人公のジュスティーヌは、ベジタリアンの生活を厳守する獣医家族に育てられ、自らも獣医になると決めている、少し内気な16歳。姉のアレクシアは対照的だ。言いたいことは口にし、やりたいことはやる彼女は、妹のジュスティーヌを、セックスやドラッグ、奔放の世界へと導く。獣医専門学校でウサギの生肉を食べるという儀式を強要されたジュスティーヌは、その体験を機に、自身のセクシュアリティを受け入れ、同時に、人肉への抗いがたい欲望に駆られていく。人肉への渇望は、少女に芽生える性的目覚めのメタファーとして描かれているわけだが、現在18歳の女優マリリアーが共感するのはその点だそうだ。『Raw』で主演を務めたガランス・マリリアーに、社会的タブー、そして性の模索について話を訊いた。

小さい頃は、どんな子どもでしたか?
生意気で、反抗的で、常に"心ここに在らず"といった感じの子でした。家族の劣等生というか。あまりの個性に、両親や兄妹はいつも頭を抱えていました。

大人になったら何になりたいと思っていましたか?
ずっと獣医になりたいと思っていました。でも獣医になるにはかなり勉強をしなくてはならないと気づきました。自分には絶対無理だなと思ってそれは諦めましたね。「自分が幸せを感じられることがしたい」とは、ずっと考えていました。それで、演技をしていると、とても心が満たされると気づいたんです。

子どもの頃のロールモデルは誰でしたか?
ロールモデルといえる人はいませんでした。動物に共感することが多かったですね。人間よりも、動物の心理に感情移入できたように思います。

演技のどんなところに惹かれますか?
演技は、限りなく続く"自己犠牲"のプロセスです。もっと良い俳優になりたいと粘り強く続けることで、自分の限界を超えることができるものですね。

『Raw』に関わったきっかけは?
11歳の頃にジュリア・デュクルノー監督と出会って、『Junior』(2011)と『Mange』(2012)に出演させてもらいました。彼女がずっと別作品の制作を進めているとは知っていたんですが、まさか自分がそれに参加できるとは思っていませんでした。出演が決まってから2年間、わたしは他の出演者たちとリハーサルを重ねながら、わたしの役、ジュスティーヌについて繰り返し話し合いました。

ジュスティーヌについて少し教えてください。
ジュスティーヌは、若く、才能溢れた少女で、厳しいベジタリアンのライフスタイルを守る獣医の両親のもとに育ちます。両親と姉のアレクシアが卒業した獣医専門学校に通うことになるんですが、そこでジュスティーンは、新入生が必ず通らねばならない、「ウサギの生肉を食べる」儀式を経験し、これが血なまぐさい結果を招くことになります。同時に、そこには、若く純真な少女が、それまでは知らなかった自分の本性に気づいていく成長の過程も描かれています。

この役を演じるに際して、どのような準備をしましたか?
ジュリアとわたしが特に力を入れて取り組んだのは、ボディランゲージと、言葉がそこに奏でるべき音、そしてジュスティーヌが成長するにしたがって経験するさまざまな心理状態の表現でした。多くを要求される役作りでした。

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この役の何に惹かれましたか?
最初は、この映画が要求する、身体的なチャレンジに惹かれました。そして、ジュスティーヌが象徴するものに。彼女はとても誠実なんです。ジュスティーヌは彼女自身に忠実で、「ひとを傷つけるぐらいなら自分が傷ついたほうがいい」と考えるような子。そして、自分の中に芽生えた暗部と戦っている。脆そうな容姿をしていますが、彼女は真の戦士なんです。

食人という部分はさておき、彼女に共感するところはありますか?
もちろんです。自分自身であろうとすることや、忠実でいようとすること、そして不屈の精神で生きようとする姿など、私自身も日々、守ろうとしている部分がいくつも似ています。自分のなかにある暗い部分を克服して、ネガティブな部分を打倒しようとする姿ですね。

あまりの血なまぐささに、映画館では気を失ってしまう観客が続出しているそうですが、この作品が物議を醸していることについてどう考えていますか?
この映画は無害です。社会通念にあてはまらない生き方をテーマにしている作品なのに、それを「議論を醸す」と呼んでしまうことは、社会通念に沿った分別をしているのと同じことで、本末転倒だと思います。

この映画は、若い女性の性の目覚めに焦点を当てています。それが重要な主題となるのはなぜだと思いますか? そして、それを映像で見せることの重要性をどう考えていますか?
性の目覚めは、女性にとってもっとも圧倒的な体験のひとつですし、それを映画で見せることもとても重要だと思います。女性の肉体と、そこに宿る動物的な本能は、今でもタブー視されていますから。

この映画を観て、観客に何を感じ取ってもらいたいですか?
希望を見出してもらいたいし、いかなる抑圧にも果敢に挑む精神を見出してもらいたいですね。

ほかに現在取り組んでいる作品は?
高校を卒業したら撮影する予定の作品がいくつかありますが、まだそれについては話せません。

2017年に女性であることのもっとも素晴らしいこととは?
いい質問ですね。他のジェンダーの人々よりも、世の中を変えていくんだという決意が強い、ということでしょうか。

未来にかける希望や夢は?
力強く美しい映画を作り続けていきたいです。そして、いつでも成長を続けていきたいです!

Credits
Text Tish Weinstock
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.