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デジタルネイティブ世代のファッションEC、ショッピングの変化とは

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インターネットの急速な普及によって、ショッピングの方法は劇的に変化した。リアル店舗がECにとって代わるという表面的な構造の変化ではなく、モノを買うことの意味や所有の概念までもが変わってきている。そうした新たな買い物スタイルの中心にいるのが、ミレニアム世代。今回は、ミレニアム世代の買い物のあり方を探っていこう。

1. ミレニアム世代とは?

ミレニアム世代とは、ミレニアル世代とも表記され、1980年代から2000年代初頭に誕生した世代のこと。幼い頃からインターネットやデジタルデバイスに馴れ親しんでいることから、デジタルネイティブとも呼ばれている。

この世代の大きな特徴は、自分が価値を見出すコミュニティへの帰属意識が強いこと、FacebookやInstagramなどのSNSによる情報収集や発信に長けていたり、所有することよりも共有することに価値をおいている。

洋服に関しては、非ブランド志向で、無理をして高級品に手を出すようなことはしない。デジタルデバイスを利用して最低価格を探し出し、時に商品を実際に目で確かめて商品の価値を吟味し、価格に見合った、よりスマートな買い物をしようとする傾向がある。

2. ショールーミングはデジタルネイティブの十八番

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ミレニアム世代に顕著な買い物スタイルとしてあげられるのが、ショールーミング。これは、リアル店舗であらかじめ商品を品定めしておいて、後にオンライン上で価格やサービス面など、より有利な条件を探し出し、ECサイトでスマートに購入するというもの。

ファッションコーディネートアプリ「WEAR」が2013年にサービスを開始した際、店頭で商品バーコードを読み取ることで、ZOZOTOWNで手軽に同一商品が購入できる「バーコードスキャン機能」が話題となった。一部のアパレルブランドが賛同したものの、価格の面で不利にならざるを得ないリアル店舗での購入が敬遠されがちな傾向が生じることから、アパレル業界が強く反発。結果的に館内での写真撮影を禁止するファッションビルも現れ、翌2014年にはサービスの停止を余儀なくされた。

しかし、このショールーミングに積極的に参加していたのが、ミレニアム世代。ネットリテラシーが高く、さまざまな情報を比較検討するに長け、よりスマートに購入したいと考えるデジタルネイティブならではの買い物スタイルで、「バーコードスキャン機能」はそうしたミレニアム世代をターゲットにしたサービスであったと評価できるだろう。

3. ちょっと意外!?ミレニアム世代に顕著なWebルーミング

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ミレニアム世代はショールーミングだけではなく、持ち前のネットリテラシーを駆使してあらかじめ商品をオンライン上で比較検討し、リアル店舗で試着した上で商品を購入するという、いわゆる「Webルーミング」もまた、ミレニアム世代に顕著な特徴だ。

ADDIXが2016年に20代以上の女性212名に対して実施した調査によれば、

6割がECの実用性を評価し、ショールーミングを経験したことがあるという一方、とりわけ20代以下の世代では、実に半数以上が「ネットで探した後にリアル店舗で服を購入」

したことがあると答えている。

商品をネットで購入する傾向が高いと言われるミレニアム世代だけに、意外な調査結果にも見える。ところが、うち7割近くが、実際に商品を見たり、試着してから購入を判断したいと回答していることからは、よりスマートで堅実な買い物を志向するミレニアム世代らしい買い物スタイルのあり方が伺える。

むやみにネットやデジタルデバイスに依拠するのではなく、リアル店舗・ファッションECを問わず、より自分が納得のいく買い物をしようとするミレニアム世代の特徴が鮮明になったと言えるだろう。

4. SNSを契機としたアクティブな買い物スタイル

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SNSを積極的に活用するミレニアム世代。彼らのコミュニティ内におけるやりとりは、さらに新しい価値が生み出されていく現場でもある。SNSでのコミュニケーションが、消費行動に決定的な影響を与えるような、新しい買い物スタイルも見られるようになってきた。

全国の20代から30代の男女およそ1,072人を対象に独自に行ったアンケート調査によると、

約25%が洋服を購入する際にSNSでのやり取りを参考にすると回答している(40歳以上の世代で同様の回答を寄せたのは5%未満)。具体的なアプリとしてはLINEを挙げた人がおよそ6割と最も多く、次いでInstagramと答えた人が半数という結果に(複数回答)。

また、「洋服を買うときや選ぶ際に、どんな情報を最も頼りにするか」という問いについては、

40歳以上の世代に比べて、実に7倍もの数のミレニアム世代人口が、洋服を選ぶ際にリアル店舗やファッションECのスタッフ、あるいはマスメディアよりも、SNSでのやり取りによって得た情報を参考にする

と回答。先に取り上げた調査でも、Webルーミングする理由として、「店舗スタッフからの情報」と答えているのは数%未満にとどまっている。

このことが示唆するのは、ミレニアム世代が洋服を購入する際に決め手としているのが、必ずしもテクニカルな情報ではないということ。商品についての正確な情報を有する店舗スタッフでも、プロの目利きの手で編集されたマスメディアでもなく、帰属意識を持つコミュニティ内における個人発信された情報にこそ、より重みのある価値が見出されているわけなのだ。インフルエンサーや仲間など"信頼できるだれか"から聞いた、コミュニティ内での高い鮮度をもった情報に依拠しているという言い方もできるだろう。

ここでは、コミュニケーションが契機となっているということが重要だ。既存の情報を収集するだけでなく、コミュニケーションを通じて自ら情報を探り出すという、アクティブな要素が含まれている。その意味では、ショールーミングや、Webルーミングと同様、デジタルネイティブ特有のスキルを活用して、"リアルな情報"を入手しようとする姿勢が貫かれているとみなすことができる。

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おびただしい商品数と氾濫する情報の中で、ミレニアム世代は、自らのスキルを活用しながら、価値ある情報を特定する作業として、ショールーミング・Webルーミング、そしてSNSを積極的に取り入れている。情報リテラシーやコンピュータリテラシーを駆使し、帰属意識を持つ共同体内でも、コミュニケーションを通じて能動的に"リアルな情報"をよりスマートに探し出そうとするミレニアム世代。彼・彼女らに対して、その感度やスキルの高さに見合った質の高い情報をいかに適時に、そして的確に提供できるかが、ファッションECに求められているのではないだろうか。

◆こちらは「FASHION EC Lab」 編集部からの寄稿記事です。