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陶芸家リサ・ラーソンにインタビュー

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 動物モチーフや素朴で親しみのある表情の作品などで、北欧デザインやインテリア好きからかわいいもの好きまで、男女を問わず幅広い層から人気を誇るスウェーデンの陶芸家、リサ・ラーソン。

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 いよいよ10月24日より、伊勢丹新宿店で開催される大規模な「リサ・ラーソン展」では、現在作られているリサのプロダクトが幅広いラインナップで販売されるほか、人気の高いちょうちょの陶板の復刻、「minä perhonen(ミナ ペルホネン)」デザイナーの皆川明氏とのコラボレーション作品の特別販売でも話題だ。

 アーティスト同士の想いがひとつになった作品が展示販売されるとあり、両アーティストのファンにとってはたまらないイベントとなっている。今回の大規模な展示にあたり、彼女の作品はどんな場所で、どのようにして生まれているのか、リサの作品の魅力を探るべく、エキサイトイズム編集部は急遽スウェーデンへ。リサ本人に直接会い、独占インタビューを敢行した。その模様をお届けする。


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皆川明氏とのコラボレーション作品

 2012年10月1日、スウェーデンはあいにくの雨。ひと足早い秋の肌寒さを感じながらコートを纏い、タクシーを走らせてストックホルム郊外へ。グスタフスベリの工房からほど近い、自然に囲まれたリサ・ラーソンの自宅兼アトリエを訪れた。出迎えてくれたのは、リサ・ラーソンと夫で画家のグンナル・ラーソン氏。(写真右) 柔らかで優しい笑顔と眼差しには、偉大なアーティストといった近寄りがたい印象はなく、長年知っている人にようやく会えたかのような嬉しさと安堵感を覚えた。

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 早速地下にあるアトリエに案内された。棚には旅行好きの2人が世界各地で集めた、お気に入りの民芸品がずらり。リサのコーナーにはこれまでの展示のポスターが貼られ、一番大きな棚にはリサが現在取り組んでいるユニークの作品が並んでいる。

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お気に入りのグッズを並べる棚。

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飛騨の伝統工芸品 「真工藝 木版ぬいぐるみ 陣屋福猫」(写真中央)2匹をお土産に。早速お気に入り棚の真ん中に飾っていただいた。

 リサとグンナル、それぞれのアトリエとリサの最近新しくしたという窯もあり、2人の作品が日々生まれている場所だ。


こちらはグンナル氏のアトリエ。

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こちらがリサ・ラーソンのアトリエ。

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 そんなリサとグンナルの作品に囲まれたアトリエで、クリエーションから普段の暮らし、家族のことまでじっくりお話を伺った。

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-グスタフスベリの工房で製作しているプロダクトと、ユニークの作品との違いはどのようなところにありますか?

一番の違いは、量産のプロダクトは効率よく、工程のことを考えて作らなくてはいけないけれど、ユニークの作品はそんなことを全然考えずに自分の好きなように作れることです。また工房で描ける表情には限りがあり、数ミリのラインで表情ががらりと変わってしまうようなものは商品にはできないのですが、自分の方ではものすごく些細なところまでこだわることができるのも違います。

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-プロセスを考えるのが難しいとお聞きしたのですが、量産するにあたって一番大変なところは?

 量産のプロダクトを作る目的でも、最初のモデルは自分の納得のいくものを作るため、そういう意味ではユニークを作るのとあまり変わりませんが、自分がこういう形にしたかったという感じが、型や絵付けをする工房の生産段階で消えないようにするのが一番気を遣うところです。

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 唯一やらないことは、量産品だからといってこうしたら売れるんじゃないか、売れるためにこういうものを作った方がいいということ。工程の効率化のためのデザインは工夫しますが、マーケットのことは考えず、量産でも自分が作りたいと思ったものだけを作ってきました。

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-製作を任せている、職人たちとの信頼関係が厚いそうですが、工房の皆さんはいかがですか?

 工房をまとめるフランコとは独立してから30年間一緒にやっているけど、一度もけんかや意見の食い違いはないんです。それだけスタジオとうまくいっているのは、お互いに尊敬し合えているからだと思います。フランコはとにかく腕がよく、技術はもちろん、釉薬の化学的なことや土のこと、陶器づくりすべての工程を考えるのに必要なことを全体的に考えられる頭を持っていて、彼のそういうところを尊敬しています。
フランコも私のことをアーティストとして尊敬し、アートを理解して、守るべきことや表現したいことを尊重してくれています。彼は正義感が正しく、細かいところまでこだわりを手放さないし、いつも私の側に回ってくれて、私がやりたいことをいつもチャレンジだと思って、楽しんでやってくれているんです。

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-やりたいことがたくさんあるとお聞きしましたが、アイデアソースはどんなところにありますか?

 昔からそうですが、アーティストは孤独な作業なので、誰かが必要としてくれたり、作品の展覧会したいと求められることが一番の原動力になります。新しいアイデアがたくさんあるという訳ではなく、若い頃からのスケッチやドローイングを見るのが最近では一番のインスピレーションの元になっています。これもあれもできていない、これもやろうと思っていたのに......と、いつも終わっていない感覚がすごくありますね。


-20年前に来日されていますが、今日本にすごくたくさんファンがいることに対してどう思われますか? 

 自分たちは日本でどこまで有名かは実感がないのですが、みんなが作品を評価してくれているおかげで、若い人までこうして取材に来てくれることが信じられないし、すごく嬉しいです。若い頃はいろいろ旅をして、日本には80年代と大阪万博のときの2度訪れていますが、みんなすごく歓迎してくれて、親切ないい人たちとの出会いの記憶があるので、今回行けないのは本当に残念です。

 グンナル:リサも日本の民芸がすごく好きだし、日本のアートと工芸はヨーロッパのアーティストにとって大きな影響があり、もともと日本に対する尊敬が大きかったので、作品を評価してくれていることがとても嬉しいです。伊勢丹での展覧会に行って、日本でどういう風に紹介されているか見てみたかったけれど、行けないのが残念だよ。


-今回の展示で「minä perhonen」の皆川明さんとコラボレーションされましたが、いかがでしたでしょうか?

 昨年初めてお会いしたとき、100枚近くの布のサンプルを見せて頂いて、皆川さんの人柄にも感銘を受けたので、皆川さんが絵付けをしたいなら喜んで、とお受けしました。

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 工房も楽しいと盛り上がってくれたらいいと思うし、こういうコラボレーションは普段はしていないのですが、可能なのは皆川さんをアーティストとして尊敬しているからこそなんです。

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皆川さんの絵付けデザインを受けて、作品制作が急ピッチで進む。(10月1日時点)


-今回の展示について、何かメッセージをお願いします。

 心を込めて作っているので、作品を気に入って、作っているプロセスを感じ取ってくれる人に見てもらいですね。私は1955年にストックホルムのNKデパートで行われた、「H55」という展覧会で初めて日本のデザインを見て、ものすごく感銘を受け、以来日本の工芸やデザインにすごく影響を受けました。
 今回、自分のものが日本のデパートで展示されることで、もしかしたら誰かがそれを見て、自分が感銘を受けたように何か感銘を受けて、制作活動の元になってくれれば嬉しいですね。小さくてもいいから、それが還元できるような展示になったら嬉しいです。

 インタビューの後、スウェーデンの人には欠かせないというフィーカ(お茶の時間)にお誘いいただき、手づくりのケーキとコーヒーのおもてなしも受けた。その温かい人柄に触れ、リサの優しさが作品にも伝わっているからこそ、リサの作品が多くの人を魅了していると実感した。今回展示されるこれまでのリサの作品から、ものづくりへの姿勢や魅力を感じ取れるはずだ。

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ケーキの手形は、リサ本人の手型。


Lisa LARSON -SWEDISH CERAMIC ARTISTwedish-
会期:10月24日(水)~10月30日(火)
会場:伊勢丹新宿店 本館1階=ザ・ステージ

取材/赤木真弓  撮影/エキサイトイズム編集部

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