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ミラノサローネ2013レポート<前編>

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4月中旬、イタリア・ミラノが今年もデザインで盛り上がった。見本市会場(フィエラ)で開かれる国際家具見本市ミラノサローネ。市街で行われるミラノデザインウィークといったイベント。

さらにポルタ・ヴェネツィア、ランブラーテ地区、各種美術館やギャラリーを会場に行われるイベント数は800ともいわれ、もはやすべてを見て回ることは不可能とさえいわれる規模に成長中だ。

見本市会場で行われた家具見本市主催者コズミットの統計によると、期間中は32万人が160カ国から訪れた。ビジターはアジアの他、南米、アフリカが増え、変わらずロシアが堅調と、国際色豊かだったという。このデザインイベントに関するリリースからのトピックスや、視察に飛んだ業界関連者からの報告をまとめたい。

■トップの交代で時代の節目が到来

今年からカルテルの社長クラウディオ・ルーティ氏が主催社コズミットのプレジデントに就任。ファッション業界で腕を振るい、カルテルのブランド力を飛躍的に上げたルーティ氏が今後、どのように舵取りをしていくのかが注目される。

会期前に世界規模で行ったプレス向けコンファレンスでは、アントニオ・チッテリオ、パトリシア・ウルキオラ、ピエロ・リッソーニなど、スターデザイナーが顔をそろえて、イタリアデザイン界の層の厚さをアピールした。

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会場では長くメインブランドの一つだったカルテル。今年もよりパワーアップ。「GARELLIA」と題し、ミラノのシンボルであるショッピングアーケードを模して、市街のような雰囲気を仕立てて、家具をウィンドーショッピングするように眺められる。

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会場内なのに、会場外の雰囲気を出しているのは、ますます盛り上げるミラノ市街のイベントを逆手に取った洒落心? だとしたらおもしろい。さらによく見ると、デザイナー名と似た雰囲気のブランド名がパロディ化されているのに注目。○イ・○ィトン風のピエロ・リッソーニだ。

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今年は照明の専門展「ユーロルーチェ」も開かれた。フロス、アルテミデ、フォスカリーニといったイタリアのメインブランドの他、写真のボッチなども登場。LEDはすっかり定着し、メーカーやデザイナーもその光の質を駆使した商品が増えているようだ。

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new color 28/Design: Omar Arbel BOCCI


■細身でシンプルなフォルムが復活

デザインの雰囲気は、すっと細い線を引いたような、軽やかなフォルムが激増した。数年前まで、重厚でデコラティブなモダンデコや、クラシックな意匠に着想を得たデザインが多かったが、またトレンドの風向きが変わっている。

会場でも最も目を引いたというモルティーニのブース。

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昨年、発表されたロン・ジラードの新作がさらにパワーアップした。「GRADO」はミリ単位の精度まで突き詰め、モルティーニ社の職人も根を上げそうになったほどだという。ガラスをはめるフレームは45度の角度のついた材で組まれているが、この接合部にジラードの魂を感じる。

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GRADO/design:Ron Gilad Molteni&C.


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HOLIDAY/design:Ferruccio Laviani Molteni&C.


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TESO/design:Foster+Partners Molteni&C.


デサルト社から発表されたこのテーブル「エレメント」。日本の吉岡徳仁のデザインだが、どうやって自立しているのか、わからないミニマルなデザイン。まさにテーブルの要素(エレメント)だけに絞ったといえる。


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Element/Design:Yoshioka Tokujin DESALTO


エメコ社の会場ではコンスタンチン・グルチッチが新作を発表。やはり構造を重視した、ごくシンプルな椅子だ。


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Parrish/Design:Konstantin Grcic EMECO


このように構造的で無駄がない。工業的なものづくりへの敬意。ここ数年続いたハンドクラフト的な要素と平行して、台頭してきていると感じた人が多かった。この辺りはもはやミラノではスターデザイナーとなった、nendoの作風の影響が大きいだろう。


■市街イベントのトピックは?

ナヴィリオ運河に近いトルトーナ地区では「トルトーナデザインウィーク」が開かれた。3本の大通りを中心に65カ所以上の会場が点在する。

オランダのモーイがサヴォーナ通りの広大な会場で「Unexpected welcome」と題し、新作を発表した。大判の人物写真を背景にした空間提案に、妖艶なマネキン人形と家具、照明。個性的な空間は、マネキン人形のメーカーやフォトグラファーとつくりあげたという。最近のモーイはこじんまりとした展示が多かっただけに、トルトーナの印象でモーイを上げる人が多かった。


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おなじみのペーパーシャンデリアもパッチワーク風に。

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Paper patchwork chandelier/Design:Studio Job moooi

今やミラノ一の目利きと言われるロッサーナ・オルランディ女史のギャラリー「スパツィオ・ロッサーナ・オルランディ」には、日本の「カリモクニュースタンダード」が大きなスペースで登場。

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小さくともセンスある出展をコツコツと続けてきたプロジェクトが、4年目で世界のバイヤーに大きくアピールした。

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さらにカリモクスタンダードでは、別会場でも展示を開催。ランブラーテ地区にある女性デザイナー「アラベスキ・ディ・ラッテ」のスタジオで、実際に家具を置いて展示。生活と近い場所で家具を見せる、という方針を今年も貫いた。

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会場では朝ご飯イベントも開催。代表作の一つである多角形のテーブルトップは、食材を並べて、みんなで囲むのにぴったり...そう思わせるシーンも見られたという。

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COLOR WOOD TABLE/Design:Sholten&Baijings  KARIMOKU NEW STANDARD

おなじく「スパツィオ・ロッサーナ・オルランディ」ではデザイナーの長坂常氏が「ColorRing」という新作家具を発表した。特にオルランディ氏がその実力を認めるというのが彼だ。

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ごく普通の針葉樹合板に色を塗り重ねる。これを磨いていくと、木目の凹凸や色の配置で個性的な表情が表れる。

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作業そのものはごく簡単だが、色を重ねるセンスや凹凸の表情の「読み」が、デザインとなって立ち上がる。素材の立体感と多層の色が折なす長坂氏独自の表現は、今後も注目されそうだ。

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中央駅からやや郊外に離れたランブラーテ地区では、若いブランドやアーティスト、ロイヤルアカデミーオブアートなどのデザイン学校などが集まり、多数のデザインイベントを展開。


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昨年同様、ものづくりへの意識が高く、最後の工程をその場で仕上げる、または完成はつくり手にまかせる「一歩前」のプロダクトを発表し、使う人と作る人の境目をなくすデザインが多かったのが印象的--そんな感想を述べる人もいた。

後編ではメガブランドの新作やトピックスを紹介する。

取材/本間美紀

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