繊維業界記者・ライター兼広報アドバイザー

縫製工場のネットワーク化に期待

国内の繊維製造業でもっとも危機に瀕しているのは縫製工場だろう。
生地製造工場は意外に多く残っている。
昨今のメイドインジャパンブームから日本製生地への注目度は高いから、メディアへの露出も多い。

中国の人件費高騰と円安傾向によって、縫製が国内に逆流している。
この傾向をダメ押ししたのは2年前からの円安傾向だが、中国の人件費高騰によって数年前から徐々にではあるが国内回帰現象は起きていた。

時系列でいうと、中国の人件費高騰が国内回帰ムードを高めて、円安傾向が決定打になったという図式である。

しかし、国内に受注が回帰しても縫製工場自体の数は減っているから、あぶれるブランドも数多く出ている。
その一方で比較的閑散としている縫製工場もそれなりにあり、需給バランスが不均衡な部分もある。

おそらく20年ぶりのチャンス到来ではないかと思うのだが、何とももったいない。
その原因の一つとして縫製工場側からの情報発信が少なすぎるということがある。

現在、人々は何か調べたいことがあればとりあえずはウェブ検索する。
ブランドやアパレル企業に勤めている人も同じで、縫製工場を探したい場合は縫製工場というキーワードで検索する。
そこに表示された先に連絡を入れ、商談した上で受注するかどうかを決める。

ウェブ検索に表示されなかった時点で、その縫製工場には問い合わせすらない。
調べている側にとって表示されなかった時点で、その縫製工場は存在しないも同じである。
ちょっと残酷な言い方だけど。

情報発信せよとはこのブログで何度か書いたが、実際にはなかなか始められない。
だれかが、縫製工場や縫製職人をネットワーク化すれば良いのではないかというアイデアが業界から出てはいたが、なかなか具体化する人が現れなかった。

それが2社現れた。
nutte(ヌッテ)とシタテルである。

ヌッテ
http://www.nutte.jp/hellomeister/

シタテル
http://sitateru.com/

シタテルについては先日の繊研プラスに掲載されている。

シタテル、縫製工場をネットワーク化
http://www.senken.co.jp/news/sitateru/

どちらも小ロット生産が可能である。

ただし、シタテルは組織する先を国内縫製工場に限定していない。

16年に提携工場を50まで拡大し、5年後はアジアを中心に100まで増やす計画だ。

と記事中にもある。

シタテルの場合、パターン代1万円、サンプル製作代1万円とあるが、サンプル製作代はかなり安い設定である。
とはいっても、サンプル代さえ踏み倒すような大手アパレルや有名ブランドも数多いから、そういうことに慣れたブランドからすると破格に高く感じるだろう。
本来のサンプル製作代はもっと高い。

こういう取り組みがもっと広がると閑散としている縫製工場も少しは潤うのではないか。

取り組みの広がりに期待したい。

南 充浩