Fumitoshi Goto

アマゾンも参入か 米国トレンド「ギグ・エコノミー」とは?

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■ネット通販最大手のアマゾンは29日、同社のハイスピード宅配サービス「プライムナウ」の実行部隊「フレックス(Flex)」の人員募集を始めた。フレックスはインスタカートやポストメイトなどのクラウドソーシングを活用したオンデマンド買物代行・ハイスピード宅配サービス。仕事内容はプライムナウで注文された商品をアマゾンの倉庫から最短1時間で宅配する。インスタカートやポストメイトのようにスーパーやレストランで調達して届けることもある。フレックスの募集では、21歳以上でアンドロイド系スマートフォンと自動車の所有が条件として挙げられている。採用選考時のバックグラウンド・チェックを経て採用されたスタッフの時給は18ドル~25ドル。1日2時間から最大8時間(将来的には12時間)と好きな時間を選んで仕事ができることが特徴だ。今のところシアトルのみの採用となっているが今後はニューヨークやバルティモア、マイアミ、ダラス、オースティン、シカゴ、インディアナポリス、アトランタ、ポートランドなどプライムナウを展開している地域での採用も始めるという。
アマゾンのプライムナウは、同社の会員制サービス「アマゾン・プライム(Amazon Prime)」に向けた短時間宅配サービス。対象商品は日用品やオフィス用品など緊急を要する可能性のある商品から書籍やおもちゃ、家電製品など約2.5万品目となっている。1時間宅配の送料は7.99ドルだが、注文から2時間の宅配は送料無料となる。

amazon_20151006_02.jpgフレッシュ&イージーの屋外に貼ってあったPOPには「アマゾンのプライムナウとフレッシュ&イージーで『無料2時間宅配(FREE 2-HOUR DELIVERY)』はプライムナウ・アプリから注文可能」とある。アマゾンのプライムナウは、インスタカートのようなオンデマンド買物代行・ハイスピード宅配サービスを始めるのだ。ロサンゼルスではアマゾンのフルフィルメントセンターにあるプライムナウ対象商品だけでなく、スプラウツ・ファーマーズ・マーケットやブリストルファームズ、フレッシュ&イージー、99ランチマーケットなどのスーパーマーケットの商品も注文が可能となる。今回、アマゾンが募集を開始したフレックスは、その実行部隊なのだ。

15年9月18日 - 【アマゾン】、スーパーから1時間配達!アマゾンフレッシュは今後プライムナウになる?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。アマゾンのフレックス募集のニュースで「アマゾンもついにギグ・エコノミー(Gig Economy)に手を染めた」と報じています。ギグとは元々音楽業界の用語で、単発の仕事という意味でした。例えば、スタジオミュージシャンがCDのレコーディング用に演奏する1日仕事や、ライブハウスでロックバンドが演奏する単発の仕事を指してギグと呼んでいました。現在ではネット経由で入ってくる1日もしくは単発の仕事を総称して「ギグ・エコノミー」と言われるようになっています。オンデマンド配車サービスのウーバー(Uber)やリフト(Lyft)、オンデマンド便利屋サービスのタスクラビット(TaskRabbit)やハンディ(Handy)、当ブログでもおなじみのオンデマンド買物代行・ハイスピード宅配サービスのインスタカート(Instacart)やポストメイト(Postmate)、シプツ(Shipt)などがギグ・エコノミー系のサービスとなるのです。

⇒音楽のギグではミュージシャンが自分の楽器などをスタジオやライブハウスに持ち込むように、ギグ・エコノミー系サービスでもスマートフォンと自家用車などが必要となるのです。そのため、拡大は異常に早いのが特徴です。アマゾンの物流は、すべてアマゾンが所有しています。フルフィルメントセンターからトラック、配送用のスタッフまでアマゾンが所有しているのです。固定費などコストが重いので、ロジスティクスの拡大は遅くなります。一方、配送用のトラックやスタッフをギグ・エコノミーにして、さらにはフルフィルメントセンターの代わりにスーパーなどお店にすることで、コストは抑えられ物流の拡大は一気に進みます。ただし問題はリスク。従業員ではなく、インディペンデント・コントラクターとなる個人業者を雇うのですから、様々な問題もでてきます。特にオンデマンド配車サービスではタクシーなど既存業界からの反発や批判は少なくないですし、法律面での整備が追い付いていない面もあります。

⇒問題や課題はあるもののアメリカの今の流れとしては、ギグ・エコノミーがトレンドとなっています。アマゾンがフレックスを組成して、プライムナウの実行部隊にすれば、ロサンゼルスで始めるオンデマンド買物代行・ハイスピード宅配サービスがプライムナウの対象地域に一気に広がるのです。アマゾンの買物代行・ハイスピード宅配サービスが拡大して懸念されるのは年末商戦です。最短1時間宅配のプライムナウでは、25日のクリスマス前に確実に届く注文の期限を24日午後ギリギリまで延ばせるのです。12月24日は1年で最も重要な宅配となりますが、これを一般人となるドライバーに請け負いさせると問題が起きやすくなりますから。アマゾンにとって、もう一つの問題はアマゾンフレッシュをどうするか?です。特に足かせとなって拡大しずらい会員費の299ドル問題があります。プライムナウでフレックスのスタッフがスーパーマーケットで買物代行するようになればアマゾンフレッシュは存在意義はなくなりますから。
アマゾンがギグ・エコノミーを始めると、アマゾンフレッシュの存在意義が危うくなるのです。

後藤文俊

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