Fumitoshi Goto

米国ショッピングセンター 次のトレンドは"ペットも一緒に食事"?

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■全米77都市のショッピングセンターをモニターしている不動産調査会社レイス社によると、今年第1四半期(1月~3月期)のモール空室率は7.8%とだった。前期から横ばいでとなり、7.9%だった前年同期から0.1%改善している。モールの空室率は2011年第3四半期(7月~9月期)にピークとなる9.4%を記録。過去最悪の水準から5年近く経過しているものの景気後退期前の空室率5%~6%のレベルにはまだ達していない。一方、ネイバーフッドSCとコミュニティSCなどを含めたストリップセンターの空室率は10.0%となり、こちらも前期から横ばいとなった。10.1%だった前年同期からも0.1%改善している。ストリップセンターの空室率は2011年第2四半期から3期連続して11.0%を記録した。空室率ピークから5年近く経過しているものの景気後退前の7%の水準までまだ程遠い状況となっている。

ショッピングセンターの空室率が高止まりとなっている原因はオンライン・ショッピングだ。オンラインで買物できるため、消費者がショッピングセンターに行かなくなっているのだ。特に問題なのはリージョナルショッピングセンターで核テナントとなっているデパートメントストアが十分にネット対応できていないことだろう。2011年からオムニチャネル化を推進しているメイシーズは、11月~1月期の既存店ベース(ライセンス事業を除く)が前年同期比で4.8%の減少となった。これによりメイシーズは2月~4月期に30店以上の店舗スクラップを行っている。店舗閉鎖はメイシーズに留まらない。JCペニーやシアーズの他、最近ではステープルズが北米で50店舗を閉鎖すると発表、紳士服チェーンのメンズウェアハウスやジョスAバンクを展開するテイラード・ブランド(Tailored Brands)が250店を今年中にスクラップすると発表している。一方、スポーツ専門手チェーンのスポーツオーソリティ、スポーツ用品専門店チェーンのスポーツ・シャレーを展開するヴェスティス・リテール・グループ(Vestis Retail Group)、モールにティーン向けファッションチェーン「パックサン(PacSun)」を展開するパシフィック・サンウェア・オブ・カリフォルニア(Pacific Sunwear of California)がそれぞれ倒産した。モールに1,000店近くを展開するティーンアパレルチェーンのエアロポステールも倒産が噂されており、ショッピングセンター内で虫食い発生が避けられない状況なのだ。

アマゾンの成長に大手チェーンのオムニチャネル化推進により、今年もショッピングセンターの空室率の改善は期待できない。

トップ画像:ロサンゼルス郊外のオレンジ郡ブレア地区に今年、オープンしたショッピングセンター「ビレッジ・アット・ラ・フロレスタ(Village at La Floresta)」の外観図。昨年オープンしたばかりのザ・ポイントと同様に人気の飲食店が中心となるショッピングセンターだ。下にあるYouTubed動画(このショッピングセンターを上空からドローンで撮影したシーン)を見ると分かるが、ホールフーズ・マーケットが核テナントとなり屋外には円形状の憩いの場がある。

「ビレッジ・アット・ラ・フロレスタ(Village at La Floresta)」のオープニングセレモニー動画。ホールフーズ・マーケットのリージョナル地区マネージャーが語っているように、計画前にコミュニティからの意見を吸い上げ、店舗レイアウトに反映させた。その結果、円形状の屋外スペースや店内二階にあるスペースまで、イートインスペースがこれまでのホールフーズにないほど拡大された。またホールフーズ内の二階にはデモンストレーション用のキッチンスペースもある。

こちらはCGによるビレッジ・アット・ラ・フロレスタ。

15年9月13日 - 【ザ・ポイント】、食とイベントにこだわるSC!ロサンゼルス旅行ガイドブックに載る?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。オレンジ郡にオープンしたばかりの「ビレッジ・アット・ラ・フロレスタ(Village at La Floresta)」を視察してきました。ロサンゼルス空港近くに昨年オープンした「ザ・ポイント(The Point)」とは、3つの特長で共通しています。一つはネイバーフッドSCより少し大きめとなるオープンエアタイプSC(ストリップモール)であること。二つ目として飲食店中心のテナント構成であること。そして三つ目にSC内でコンサート等イベントを開催しコミュニティの中心的な役割を担っていることです。ところでラ・フロレスタには核テナントとしてホールフーズ・マーケットが入っています。ホールフーズ内の1階部分にカフェテリアスペースがあり、2階にも店内を見渡せるイートインスペースがあるのです。余談ですが、この2階の奥にはデモンストレーション・クッキング用にガラス張りのキッチン教室があり、週末の忙しいランチ時はこのスペースも解放しています。

⇒ホールフーズの屋外にも食事が可能なカフェテリアがあります。で、ビレッジ・アット・ラ・フロレスタが最も特徴づけられている点は、円形状の屋外スペース「オアシス(Oasis)」です。このSC内には飲食店にオーガニックでグルテンフリーなサンドウィッチ&サラダチェーン「メンドシーノ・ファームズ(Mendocino Farms)」、LAローカルで人気となっている「アーバン・プレート(Urban Plates)」、エイジアン・フュージョンの「キャピタル・ヌードル・バー(Capital Noodle Bar)」などがテナントに入っています。レストラン内でも食事はできますが、円形状の屋外スペースでも食事ができるようにSC内にイベントスペースを兼ねた食事エリアを設けているのです。なぜ、屋外の食事スペースを拡大しているかというと、ペットと一緒に食事ができるからです。ラ・フロレスタには人も食べることが可能なナチュラルペットフードを販売する「クライザーズ・ナチュラル・ペット(Kriser's Natural Pet)」もあります。

sc_20160501_02.jpgsc_20160501_03.jpgsc_20160501_04.jpgsc_20160501_05.jpgビレッジ・アット・ラ・フロレスタのオアシス。ホールフーズやメンドシーノ・ファームズなどが囲んでいる。

⇒つまり、ビレッジ・アット・ラ・フロレスタではホールフーズからローカルに人気のレストラン、さらにナチュラルフードにこだわったペットショップまであることで、ペットを含めて家族全員が好きなモノを買ってきて、SCの屋外スペースで食事ができるということなのです。この共有スペースで文字通り家族全員がこのショッピングセンターに来る口実を与えているともいえるのです。見方を変えればこれまでモールにあったフードコートを拡大したとも考えられます。フードコートにはファストフードが連なっていますが、ラ・フロレスタではホールフーズのデリ(実はここのホールフーズにラーメンショップがある)やローカルの人気レストランでツーゴーで買ってもらい、ペットにもナチュラルフーズを買って、フードコートのカフェテリアの代わりにオアシスで家族みんなで食事してもらうのです。これまでの屋内のショッピングセンターでは考えられなかったことですし、Eコマースに対抗できるショッピングセンターといえますね。

これからはビレッジ・アット・ラ・フロレスタのようなショッピングセンターが増えてくると思います。

後藤文俊

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