Fumitoshi Goto

米国でECでの買い物が過半数超え

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■貨物運送会社のユナイテッド・パーセル・サービスは8日、オンラインでの買い物が過半数を超えたとする調査結果を発表した。今年で5回目となるEコマースショッパー調査(1月30日~2月9日)では5,000人以上を対象にした。食品を除いた買い物では、実に51%がリアル店舗よりオンラインストアで買い物をしたと答えており、2014年の47%、2015年の48%から増加傾向となっている。スマートフォン経由でのオンラインショッピングも加速しており、スマホユーザーの44%がスマホ経由で一度はオンラインショッピングしたとしており、2015年の同調査の41%から3%も増加している。スマホ経由でのオンラインショッピングは若い消費者ほど割合が高く、シニア世代(70代以上)の8%やベビーブーマー(50代~70代)の19%に対して、ジェネレーションX(30代~40代)は41%になり、20代を中心にするミレニアム世代は63%にも上っている。また、これまでの調査により、シニアやベビーブーマーもミレニアム世代のようなオンラインを中心にした消費行動に移っていることが分かっている。一方で、お店に行って商品を確認し買い物するリアル店舗にこだわった従来型の消費行動は減少傾向にある。購入はお店のみとした消費者は20%のみで、昨年の22%から減少している。反面、オンラインで下調べしたのちにオンラインで買い物したと答えた人は42%にも上っているのだ。これは「お店とオンラインの両方でリサーチして、買い物はお店」と答えた、いわゆるウェブルーミング派の22%や、逆に「両方でリサーチして買い物はオンライン」と答えたショールーミング派の16%を大きく上回っている。

商務省が17日発表した第1四半期(1月~3月期)の小売売上高全体に占めるEC割合は7.8%だった。メイシーズやノードストローム、JCペニーなど大手チェーンは低迷しており、ECの堅調さが目立っている。

トップ画像:ロサンゼルス郊外にあるウエストフィールド・カルバーシティ・ショッピングセンター。こういったスーパーリージョナル・ショッピングセンターやリージョナル・ショッピングセンターは現在、新規に作られなくなっている。モールのテナントも、物販よりも飲食やサービス業を入店させているのだ。なぜなら地表下で大きな地殻変動が起こっている。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。現在のアメリカ小売業、アメリカ流通業の変化を、後藤は「地殻変動」と喩えています。アメリカ小売業の変化は文字通り、地表では確認できにくくなっています。上記のエントリー記事にあるように、消費者がお店に行かずオンラインショッピングを中心にした消費行動に移っているのです。商務省の調査では、Eコマース(電子商取引)売上高は小売売上全体の10%未満です。が、Eコマースの(消費への)影響力は9割に上っているというのが後藤の仮説。カスタマーレビューやユーチューバーのレビューから、例えば、ネット記事や(ブログやSNSで影響力のある)インフルエンサーや緩いつながりの他者の話、さらに検索結果で表示される間接的な情報までの影響を含めると、ネット上のコンテンツが消費行動の9割になんらかの影響を及ぼしていると推測しています。したがってアメリカ小売業を視察しても、日本の5年~10年先の現場を見ることが難しいのです。

⇒当社の事例研究セミナー「最新!リアルとネットが融合するオムニチャネル戦略セミナー」では、オムニチャネル・リテーリング化でいち早く推進したアメリカ小売企業の失敗から成功事例まで披露し、それらを観察して得た知見から導き出された価値ある洞察まで紹介しています。当ブログでも何度か指摘していますが、従来のチェーンストア理論が陳腐化していることを、実際事例を基に証明している分析も含まれています。例えば、ユニクロ。米国市場でのユニクロの低迷の原因は知名度の低さとしており、同社CEOの柳井正氏は「ニューヨークでは名前も知られているが、他の地域での知名度はまだまだ低い。ブランドの名前や製品、そしてコンセプトを知ってもらいたい」と100店舗展開を目指しています。アメリカ小売業のトレンドは「出店控えてIT投資」です。既存店は改装でアップデートしつつも新規店舗を増やさしていないのですね。で、IT投資とはラストマイル(ラストワンマイル)を1秒でも1メートルでも短縮する投資です。

⇒知名度が低いから郊外のモール等に多店舗展開するというのは、まさに陳腐化しつつある従来型チェーンストア・セオリー。店を出店するよりラストマイルをシュリンクさせるフルフィルメントセンターを一つでも多く稼働させるほうが先なんです。エントリー記事にあるようにミレニアムなど若い客層をターゲットにするなら、郊外モールにユニクロのプレゼンスを増すより、自宅に届くまでのスピードを1秒でも早くすることが最優先です。お客を満足させるにはスピードです。しかし、不思議にもアメリカに進出する日系流通企業はこれがまったく理解できていません。日本での成功体験に縛られて「俺流のやり方」をアメリカで実践してしまうのです。その結果、ユニクロを含め多くが苦戦を強いられているのが現状です。アメリカに進出する日本人経営者全員に理解してもらいたいのは、俺流のやり方で商売するな!ということ。相手を満足させることを最優先に考えてもらいたいのです。一方的な思いは押しつけでしかなく、空振りに終わります。

相手のことを考えず自分のやり方を押しつけるのは「プレゼントを贈り返されてカッとなった」人と同じです。

後藤文俊

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