Kensuke Kojima

価格崩壊と業界崩壊

小島健輔

小島ファッションマーケティング代表

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昨夕、当社で開催した月例「販売情報交換会」(婦人服部会)では、ようやくの冷え込みで防寒アウターが活発に動いて一気に売上が回復し、カジュアルチェーンやセレクトSPAの面々は一様に明るかった一方、百貨店の顔色は冴えなかった。前者の二桁増に対して後者は水面の攻防という大差があったのだ。

各社の報告を聞いていると、前者やECモールが冷え込みに乗じて20~30%のキックオフやクーポンを仕掛けたのに対し、百貨店側はプロパーのまま顧客が買ってくれるのをただ待っているだけという'大差'が浮かび上がった。似たようなアイテムの売価もカジュアルチェーンは百貨店NBのほぼ3~4分の一で、セレクトSPAのオリジナルもカジュアルチェーンに近づいて百貨店NBの半額程度になっている。

法外な歩率が乗った百貨店NBの原価率は20~25%とカジュアルチェーンやセレクトSPAより10ポイント前後も低く'お値打ち感'が希薄なのに加え、少しでも利幅を確保しようと期中の値引きやキックオフが行われず、期末バーゲンさえ需給の実態を無視して後ろ倒しするという殿様商売だから、顧客が離反するのは必然だ。百貨店アパレルの社員割引が半額前後だという現実も価格の法外さを痛感させるから、顧客がいつまでも素直に騙され続けてくれると考える方が無理があろう。

百貨店アパレルにしても、かつては百貨店の期末バーゲンにファミリーセールを加えれば期末残品を一割程度に抑える事が出来たのが、昨今の'衣冷え'下ではファミリーセールを乱発しても期末残品が二割を超えてしまうと聞く。それでは経営が破綻してしまうから、カジュアルチェーンやセレクトSPAのように需給に応じて柔軟に期中値引きやキックオフを仕掛けて在庫を消化していくべきだが、百貨店側は頑なに拒否している。

こんな現実無視が続けば百貨店アパレルの大半が行き詰まるのは時間の問題で、地方店や郊外店の閉店ラッシュや衣料品売場の縮小も加わって百貨店アパレル業界は破綻に瀕している。もはや百貨店流通は破綻して'価格'が崩壊しているのに百貨店はその現実に顔を背けたままだ。このままでは数年を経ずして百貨店アパレル業界は崩壊し百貨店の大半も破綻してしまう。茹で蛙も沸騰点に達したというのに、座して死を待つつもりなのだろうか。

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