Kensuke Kojima

衣類の"プライスタグ"は隠すべきものなのか?

小島健輔

小島ファッションマーケティング代表

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衣料品の買い物ではプライスタグが隠されている事が多く、あれこれ探して見つからないと止めてしまう場合もある。ECなら「かご落ち」というやつだ。ECで「かご落ち」するのはサイズやフィットが掴めない時、MDのラインナップと在庫が掴めない時、面倒な顧客登録を強いられた時、送料や配達日が不明な時、支払方法が限られた時などだが、まさか値段が解らないから止めるというケースはないだろう。店頭ではそれがあるというのが恐ろしい。

「かご落ち」の回避に注力するECと比べると、店頭のPOPには色展開やサイズ展開のラインナップや説明コピーまでは書いてないし、タグにも価格はともかく素材混率や生産国が表示されているとは限らず(もちろん各部の実寸や重さなど決して表記されていない)、裏を捲って洗濯タグを探す羽目になる。それで「かご落ち」するケースがどれほどあるのかデータを知らないが、面倒だとスルーする人もいるだろう。

POPやタグに書いてなくても販売員に聞けば解るのかも知れないが、価格はともかく色展開やサイズ展開、ましてやSKU在庫について即答できる販売員など存在しない。レジまで調べに行くか、よく出来た店でもバーコードをスキャンしてタブレットに表示するのが限界だ。素材の混率や原産国を尋ねても洗濯タグを探すだけで、それ以上の情報は出てこない。そんな情報は丸ごとタグやPOPに表示すべきで、何なら顧客のスマホに飛ばして表示すればよい。

ECと比べて店頭の情報提供が限られるのは中途半端に販売員に依存しているからだが、店頭販売員の情報提供力などECのAIには遠く及ばないし、牛丼屋の券売機にも劣るかもしれない(何と在庫情報を反映している)。専門的な知識やスキルも化粧品の美容部員などに比べれば貧弱で個人差が大きく、そんなものを当てにして膨大なコストを掛け続けるのも疑問に思う。

店頭の情報提供やレコメンドはAIとサイネージに任せるべきで、販売員にはもっと専門的なスキルを磨いてコーディネイトやフィッティング、時には三ツ星レストラン的なエンターテイメントで付加価値を訴求して欲しい。

話は最初に戻るが、プライスタグは隠すものなの?・・・・どこに隠れているか探すうちに「かご落ち」するケースが在るとするなら、やはり取り付け位置を統一して顧客が見つけ易いようにすべきではないのか。隠していると、顧客が探して表示を見た後、わざわざ元に戻さないと悪いように思ってしまう。ならば面倒だという場合もあるに違いない。

ギョーカイがスマートだと思う事と顧客の利便には底知れぬ乖離が在る。ECがメジャー化するに連れ、店は怪異に満ちた空間に思えてくる。

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