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シリコンバレーのデザイナー達に共通する3つの特徴

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reshtraxを愛読している皆さんの中で、デザイナーの方も多くいるのではないでしょうか?私は25年間を東京で過ごし、その後デザイナーとしてバンクーバーへ渡りました。そして、サンフランシスコ・シリコンバレーに何度も訪問していく中でこの地域に惹かれ、訪問6度目にして本格的に移住を決意しました。現在は、btraxが運営しているコワーキングスペースD.Hausを拠点とし、この地でデザイナーとして活動しています。

そんな中、日頃周りからよく聞かれることがあります。それは、「なぜシリコンバレーエリアにやってきたのか?」、「シリコンバレーにいるデザイナー達はそんなに凄いのか?」、「シリコンバレーにいるデザイナー達は日頃どんなことを考えているか?」といったシリコンバレーの地域性やこの土地のデザイナー達のマインドセットについての質問です。

これらの質問への答えとして、皆さんにシリコンバレーのデザイナー達に共通する3つの特徴をシェアしたいと思います。

シリコンバレーのデザイナーは世界一ではない?

まず、皆さんが一番最初に知りたいことは、シリコンバレーにいるデザイナー達の凄さだと思います。世界的にヒットするサービスを裏で支えているデザイナー達はさぞ優秀に違いない。そして超越したデザイン技術力を備えているのだろうと誰もが考えると思います。

しかし、結論から言えばデザイナーの質だけでいうと、シリコンバレーのデザイナーが世界一というわけではないと思います。ヨーロッパには細部まで美しく流行的なデザイン技術を売りにしたデザインエージェンシーが数多く存在しますし、実は近年中国でもダイナミックでイノベーティブなUIデザインを得意とする若手デザイナーがどんどん輩出されています。

それではシリコンバレーのデザイナー達は一体なぜそんなに尊敬されるのか、そして、どのようなデザイナーがシリコンバレーに集まるのでしょうか。世界一イノベーティブな企業が集まるシリコンバレーの地域性と集結した企業が本気で世界市場を目指していることにそのヒントが隠されているようです。

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【特徴1】 ユーザーが抱える問題に決して目を背けない

Facebookのプロダクトデザインを担当するディレクター、マーガレット・グールド・スチュワートは、3年前に自身の業務時間のほとんどをFacebookの"いいね!"や"シェア"ボタンの改良に費やしていたことをTEDで語っています。

1日220億回使われるこれらのボタンは、これまで作られたデザインの中で最もよく見られていました。このほんの小さな"いいね!"ボタンのデザインの改良に、身を削るような努力と忍耐力を求められた彼女は、デザインチームと共に280時間以上をボタンのデザインに費やしたそうです。TEDで彼女が言った一言「実はデザイナーの仕事の多くは、プロダクトが多言語でも機能するように細部まで気を配ったり、先進国・発展途上国とどの国でも対応できるようなデザインを考えたりと、決して華やかとは言えない仕事ばかりなのです」は、特に印象に残った言葉でした。

また、何かと話題を呼んでいるカーシェアリングサービスのUberにも興味深いストーリーがあります。Uberのデザインチームはインド市場に進出するための現地調査の際、国民のほとんどがクレジットカードを所持していないという大きな問題に直面しました。このリサーチや数々の議論の結果、デザインチームは最終的にインドだけでなくケニア共和国やそれ以外の国でクレジットカードを所持しない国民に対し、キャッシュで支払いが出来る機能を作るという解決策を導き出しました。この取り組みの内容に関しては、Uberのブログでも綴られています。

世界の最高峰に位置するシリコンバレーで働くデザイナー達は、決してトレンドを取り入れた最新デザインだけに満足しているわけではありません。それよりも、世界中にユーザーを持つIT企業に勤めるデザイナーだからこそ、ユーザーが抱える問題にしっかりと向き合い、その問題を解決するために多大なる労力と直向きな謙虚さが求められます。しかし、彼らはどんなに大変な思いをしても自分たちの仕事に誇りを持っているのです。これこそ、シリコンバレーで働くデザイナー達の特性とも言えるでしょう。

【特徴2】 デザインそのものではなく世界情勢を語る

さて、「シリコンバレーのデザイナーは、日頃どんなことを考えているのか」という質問への答えですが、この内容については一度日本で講演をしたこともあり、とても面白い考察があります。それは、日本のデザイナーが最新のデザインツールについて語る時、シリコンバレーのデザイナーは世界情勢について語る傾向にあるということです。

私が日本のデザイナーと話す時、「最近、どのようなデザインツールを使っているのか」、「今デザイナーの間で流行っているツールは○○○」といったように、デザインの手法にフォーカスした話題で盛り上がることが多いと思います。しかし一方で、シリコンバレーのデザイナー達と話している時、彼らはアメリカ経済や世界情勢についての話題に触れたがることが多いのです。

シリコンバレーのデザイナーからすると、デザインの過程でどのツールを使うかは、アウトプットとしてそれほど差が出るものではなく非常に些細な話題です。彼らが考えていることは、何を使ってデザインをするのかではなく、誰のためにデザインをするのか、どうしてその課題を解決したいのか、そして自分が一体世界のどの部分に位置するのかということなのです。彼らのマインドセットに触れて、彼らがこのようなことを日常的に考えていることに、私は驚きを隠せませんでした。

【特徴3】 人々の生活を良くすることに仕事のやりがいを感じる

最近知人が使っていたフレーズで、「シリコンバレーはIT業界のディズニーランドのようなもの」というものがありました。feshtraxでも同様の記事がありましたね。まさにその通りで、デザイナーとしてシリコンバレーにいるメリットは最新技術から、流行りのプロダクトまで多岐に渡ったデザインに関わるキャリアパスが無限大にあることなのです。

実際に私の知る限り、この地域の優秀なデザイナー達はこの世界で流行を取り入れたデザインに満足したいのではなく、人々の生活を本質的に良くするプロダクト開発に貢献し、改善し続けること、そして"ディズニーランドの世界に住む自分とはかけ離れた地域"に住む遠くの人々を思い、より良い生活を届けることを日々のモチベーションにしているのだと思います。

そして、サンフランシスコやシリコンバレーのデザイナー達は昼夜ミートアップや勉強会を開催し、他社のデザイナーと積極的に情報交換をしたり、新たな課題解決策を話し合ったり、お互いのスキルアップに余念を欠かしません。

もしもこの記事を読んで頂いている方がデザイナーだとしたら、誰のために、どんな問題を解決したいのか、改めて立ち止まって振り返ってみると何か見えてくるかもしれません。

※今回の執筆者であるMaiさんがサンフランシスコで拠点としているコワーキングスペース『D.Haus』の情報は、こちらからご覧いただけます。

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Mai Chloe Takahashi -Guest Writer-
サンフランシスコで研究系スタートアップ向けのスタートアップスタジオSpace Labを設立。医療やバイオテック、ロボット系スタートアップ企業のグローバル展開やローカライズをデザインや技術の面からサポート。同時にアメリカ発の女性向けコスメレビューアプリCosme Huntを開発。女性技術者の支援活動も行っている。