Fumitoshi Goto

ウォルマート、仕事を終えた店舗スタッフが配達する「アソシエイト配達」をテスト

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■ウォルマートは1日、店舗スタッフがネット注文の商品を帰宅途中に配達するテストを始めたことを発表した。全米に4,700店を展開する店舗スタッフを配達係りに起用することで配送コストの削減につなげ、アマゾンとのラストマイル競争で先手を打つ。グローバルeコマースCEOのマイク・ローリィ氏がウォルマート・ブログ「ウォルマート・ツデー(Wal-Mart Today)」で明かしたところによると、「アソシエイト配達(associate delivery:ウォルマートでは従業員やスタッフをアソシエイトと呼ぶ)」はウォルマート本社近くのアーカンソー州の1店舗と昨年8月に買収したジェットの本部に近いニュージャージー州の2店舗で行われている。スタッフはウォルマートが開発した専用のスマートフォン・アプリを使い、配達日を選択する。宅配件数(最大10件)や商品数、重量制限等も選ぶことが可能となっている。ウォルマートはアソシエイト配達の賃金やガソリン代などの詳細を明らかにしていないものの、週40時間以上の勤務となる場合は残業手当を支給するとしている。ローリィ氏は「ウォルマートは国内4,700店舗を展開し、100万人以上のスタッフがおり、規模の面で優位の立場にあります。ウォルマートから10マイル圏内に米国人の90%が住んでいるのです。当社スタッフが通勤するルートや道沿いにどれほどの住宅があるか想像してみてください。このテストがなぜゲームチェンジャーになりえるかを容易に理解できると思います」と記している。また「配達員が注文品を倉庫などでピックアップに行くクラウドソーシングとは異なり、アソシエイト配達ではスタッフが仕事を終えたところでピックアップできるのです」とラストマイルの違いも強調している。
ウォルマートが先月発表した第1四半期(2月~4月期)では、Eコマース売上高が前年同期比63%の大幅増となり、前期の同29%増からも加速した。

トップ動画:店舗スタッフがネット注文の商品を帰宅途中に配達する「アソシエイト配達(associate delivery)」の紹介動画。店舗スタッフが専用アプリで事前に配達日などを選択。仕事を終えた後に自分の車を使い、ネット注文の商品を配達するのだ。

13年3月30日 - 【ウォルマート】、来店客に配達品を預けて帰宅途中に届けさせるクラウドソーシング!?

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。仕事を終えた店舗スタッフを配達係りに起用するのは一般的にいってトラブルが多くなるのではと考えてしまいます。配達中の事故や遅延、注文品の破損や盗難、顧客の個人情報を利用した犯罪まで、様々なリスクを想定できます。アーカンソー州ベントンビルにあるウォルマート本社で働くエグゼクティブの多くには、アソシエイト配達(associate delivery)のような大胆な発想はでてきません。ウォルマートのような大企業がベンチャーのようにリスクを冒してでも思い切った施策をとるのは、Eコマース事業部CEOのマイク・ローリィ氏の影響力が強まっているからです。直近の決算でEコマース売上高が前年同期比60%以上の大幅増でした。ウォルマートで実績を積むローリィ氏の高笑いが聞こえてきそうな勢いです。しかもアソシエイト配達の発表タイミングも絶妙で、ウォルマート株主総会前日です。果敢に挑戦する先進的な企業姿勢を内外に強く広くアピールできるのです。
店スタッフ100万人以上が対象となるアソシエイト配達は、まさに後藤が強調しているアメリカ小売業の変化「地殻変動」を象徴しています。売り場を見るだけでは知覚できない変化です

後藤文俊

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