Fumitoshi Goto

アマゾン、"留守宅のドアを開けて宅配をする"サービスの拡大が難しい理由とは?

激しくウォルマートなアメリカ小売業ブログ

在米28年のアメリカン流通コンサルタント

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■配達員が留守宅のドアを開けて宅配するサービスを、ネット通販最大手のアマゾンが始める。不在時でも配達員が屋内に注文品を届けることで再配達を減らし、置き配による盗難被害を解消する。アマゾンが25日に発表した「アマゾンキー(Amazon Key)」は、ニューヨークやロサンゼルスなど37都市に住むプライム会員に限定したサービス。アマゾン・キーの利用には、アマゾンが自社開発した防犯・監視カメラ「アマゾン・クラウドカム(Amazon Cloud Cam)」と互換性のあるスマートロック、専用アプリからなる「アマゾンキー・インホーム・キット(Amazon Key In-Home Kit)」を購入する必要がある。120ドルのアマゾン・クラウドカムを含むアマゾンキー・インホーム・キットは250ドル~となっており、取付工事は無料だ。なお互換性のあるスマートロックは今のところエール(Yale)とクィックセット(Kwikset)の3種類となっている。インホームキットは11月8日から発売予定。不在宅での宅配ではまず、利用者のアプリに宅配予定の通知が届く。配達員が自宅に到着した直後に到着通知「ただ今到着(Arriving Now)」も届くようになっている。配達員は留守宅であることを確認するため玄関のベルを鳴らすか、ドアをノックする。不在を確かめた後、配達員は専用端末でスマートロックをスキャンし住所を確認、玄関ドアを開錠する。スマートロックのスキャニングで自動的にアマゾン・クラウドカムの撮影も開始される。配達員はドアを開けるものの家には入らず注文品だけ室内に置いてスマートロックを施錠する。録画された宅配の様子はクラウド上に残され、リアルタイムでもアプリで視聴可能だ。
アマゾンキーは留守中の宅配だけでなく、ハウスクリーニングやペットシッター(犬の散歩代行)などインホーム・サービスにも対応するとしている。なおアマゾン・クラウドカムは、24時間以内~最大30日間となる録画保存期間やカメラ台数にあわせ月額7ドル~20ドルのサブスクリプションサービスもついている。

トップ動画:「アマゾンキー(Amazon Key)」サービスを使ったイメージ動画。母親の誕生日、両親が自分の汚部屋にやってくるという設定だ。アマゾンキーなら留守中であってもハウスクリーニング業者を呼んで掃除は可能であり、掃除の様子もリアルタイムで確認できる。留守中の宅配も可能だ。大切な人へのプレゼントを忘れたり、部屋をかたずけられない人が、250ドル以上も払ってアマゾンキーを前もって導入するだろうか?アマゾンキーは画期的だが、いくつかの問題・課題を含んでいる。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。アマゾンキーは留守中の宅配という画期的なサービスです。が、いくつかの問題・課題を孕んでいます。一つ目の問題は室内でペットを飼っている家庭です。アマゾンキーのFAQの記述にもありますが、室内でペットを飼っている家庭には同サービスを勧めていません。二つ目にオートロックシステムのアパート(マンション)の問題があります。配達員が利用者宅のスマートドアを開けることはできても、オートロック式のアパートの入館で課題が残るのです。三つ目にセキュリティの問題です。アマゾンの配達員と言っても、知らない人がドアのカギを開けることに、かなりの心理的抵抗があります。クラウドに保存したデータ(動画)やスマートロックにもハッキングの心配が残りますし...アマゾンキーには、サービスに満足いかなかった場合など「ハピネス保証(Happiness Guarantee)」を付けています。が、完全な保証ではなくケースバイケース対応なのが課題なのです。
そして最後に、留守中の宅配に250ドル以上を支払える人がどれほどいるのか?です。プライム会員の限定であり、不可理由を引き算していくと、サービスの拡大は極めて難しいかなと思います。

17年9月23日 - 【ウォルマート】、サブちゃんが留守宅にあがり冷蔵庫を開けるIoT留守宅配をテスト?

後藤文俊

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