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フリーアナウンサー末吉里花が語るエシカルとフェアトレード

フリーアナウンサー末吉里花が語るエシカルとフェアトレードの画像

TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンターを務め、10年以上エシカル/フェアトレードについて、力強くメッセージを発信し続けている末吉里花さん。そのハッピーオーラが憧れ!

2016年には一般社団法人エシカル協会を立ち上げてますますパワーアップ。第一線で活躍し続ける末吉さんの元気と笑顔の源は......? その素顔に迫ります!

新年。フレッシュに潤う心のサプリのような、珠玉のハッピーワードに包まれて!

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末吉里花(すえよし・りか)さん。
アメリカ合衆国ニューヨーク市生まれ、神奈川県鎌倉市育ち。慶應義塾ニューヨーク学院、慶應義塾大学総合政策学部卒業。1996年度ミス慶應。TBS系『世界ふしぎ発見!』のミステリーハンターとして世界各地を旅した経験を持つ。 著書に『祈る子どもたち』(太田出版)。新刊『はじめてのエシカル』(山川出版社)。現在は、フェアトレードやエシカルを中心に活動を展開し、日本全国の企業や自治体、教育機関で講演、各地のイベントでトークショーを行う。

―― 10年以上エシカル/フェアトレードについて力強くメッセージを発信し続けています。そもそものきっかけは?

2005年初頭にフェアトレードと出合ったときをスタートとすると、もう13年たちますね......早い!

ピープルツリー」の創設者であるサフィア・ミニーさんと出会い、「フェアトレード」を知りました。『世界をファッションで変える』というのが、当時の「ピープルツリー」のスローガン。私もファッションが好きだったので、「自分の好きなことを通じて世の中を良い方向に変えられるなら、きっとこれはライフワークになる!」と思ったのがきっかけです。

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【上】バングラデシュにある「ピープルツリー」のパートナー生産者団体の一つ、タナパラスワローズで、サフィア・ミニーさんと。
【下】タナパラスワローズで働く女性といっしょに「ピープルツリー」商品のチェック。(提供:ピープルツリー)

―― 「エシカル」という概念を知ってから、末吉さん自身、買いもののしかたなどは変わりましたか?

全く変わりました! 以前は、どんなブランドでも、かわいかったり流行のものだったりしたら欲しかったですし、有名なブランドだったらなおさら欲しかったり。「モノの背景」ということは、全く考えないで買っていました。

この活動を始めてからは、いままで使ってきたものを大切に使い続けつつ、新しく買うなら背景が分かるものを選ぶようになりました。つまり、誰がどこで作っているか分かるもの

食べものも極力、自分の地元で採れたものを選びます。なければ、同じ地方のもの。それもなければ、日本国内のもの。国内にないものなら、海外のもの......ですが、それもなるべくフェアトレードのもの......と探して買っています。

世の中の消費に煽られなくなったので、すごくラクですし、結果的に、自分の節約につながっています。

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同じく「ピープルツリー」のフェアトレードの生産者を訪ねてネパールへ。(提供:ピープルツリー)

―― もともと、環境や社会について興味はあったほうでしたか?

正直、なかったんです! ただ、アメリカに住んでいた頃、家族旅行で大自然に触れる機会が多かったのは、ルーツにあったのかもしれません。もちろん、「世界ふしぎ発見!」(TBS系)でたくさんの国を見たことは、大きなきっかけです。

―― 「世界ふしぎ発見!」(TBS系)のミステリーハンターと言えば、世界をナビゲートしてくれる存在。末吉さん自身、旅は好きですか?

ニューヨークに生まれ育っただけでなく、小学生の頃、タイに2年半住んだこともあります。小さい頃からいろんな国に住む機会があったので、「世界を見たい」という気持ちはすごく強かったですね。「世界ふしぎ発見!」もプライベートも含めると、これまで70カ国以上行きました。

ただ、自分で積極的にそういう仕事を目指してたわけじゃないんです。正直に言うと、すごく受け身な性格で、指示されたオーディションを受け、お仕事をいただいて。それを必死にこなす......という日々でした。フェアトレードやエシカルに出合って、初めて、自ら積極的に挑戦していて、そんな自分がいることにびっくりしています。

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【上から】・リビアで。トアレグ族の案内で、サハラ砂漠を3,000キロ縦断しながら取材。
・サハラ砂漠。
・シベリアのサハ民族のみなさんと。冬はマイナス70度にもなるという極寒の地で、村人の家にホームステイ。
・南太平洋に位置する国・バヌアツで。(全て提供:エシカル協会)

―― その中で、「また行きたい!」と思う場所は?

「70カ国」って、まだ世界の1/3しか行ってないってこと! だから、新しいところに行きたいです!

精神的にも肉体的にも一番辛かったのは、タンザニアにあるキリマンジャロ。

キリマンジャロ頂上の氷河の現状をレポートするという仕事だったので、頂上まで行かないと意味がない。途中の宿もきっちり宿泊日が決まっているので、毎日、「途中で断念できない」ってプレッシャーが半端じゃなかったです......。

それまで高尾山しか登ったことなかったので、本当に大変で......もう一度行けと言われたら、いまの年齢ではもう無理かも(笑)!

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キリマンジャロを登頂!(提供:エシカル協会)

―― 旅に出るときは、綿密にプランを立てるタイプ? それともノープラン?

一緒に行く人、行く場所によりけり。ヨーロッパやアメリカはノープランですが、途上国の場合は、場所によっては危険ですし、仕事もあるので、綿密なプランを練ります。

ただ、いずれにせよめちゃくちゃ歩きます! ひたすら歩きます! 旅は歩かないと分からないですよね。

あとは、列車の旅も好き。飛行機だと景色が最初と終わりしか見られませんが、景色が連なって移り変わっていくのを眺めるのが好きです。

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アムステルダムからパリへ向かう列車から外を眺める。プライベートでは列車の旅を好むそう。(提供:エシカル協会)

―― ただでさえ、一つのことを十年も続けるというのは簡単なことではありません。フェアトレードに携わってきたこの13年は、決して順風満帆だったというわけではないと思いますが、続けてこられた理由は?

自分も好きな「ファッション」というところから入ったので、モチベーションを保ち続けていられたと思うし、なにより、時代にぴったりの流れであることも、背中を押してくれてたと思います。やり続ける中で、どんどん広がっていく手応えを感じてこられたのは大きいかもしれません。

エシカル、フェアトレードという概念は、まだまだ日本では知られていない考え方ですが、日本でも世界でも、年々認知度や関心が高まっているのを感じていて、とても嬉しいです。

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【上】北海道下川中学校でエシカル消費について授業を実施。
【下】毎年開催するオーガニックやフェアトレードなどエシカルな商品やものづくりを紹介する「エシカルフェスタ」。2017年は約1,000名の来場者が。マーケットやトークショー、音楽ライブなどが楽しめる。(提供:エシカル協会)

―― 諦めよう、やめよう、と思ったことは?

「エシカルって、本当に必要な考え方なの?」「無理だよ」って言われたることも少なくないですし、向かい風を感じる場面ももちろんありました。ネガティブな気持ちになったこともありますし、活動を続けるか悩んだこともあります。

そんなときに、アメリカのアウトドアメーカー「パタゴニア」創設者のイヴォン・シュイナードさんと会う機会に恵まれ、相談したんです。「続けていく意味はあると思いますか?」って。そしたら、彼はこうに答えてくれました。

もしいま、あなたがやっていることをやめたなら、あなたは問題の一部になる。でももしあなたが、このまま活動を続けていくなら、あなたは解決の一部になる。人間というのは、なにを思うか、言うかではなく、なにをするか。その行動で、価値が決まる。

その言葉には励まされました! 「いろんなことを言う人はいるし、自分の中でも思うことはある。でも行動に移して、とにかくやるのみ。それでしか喜びも得られないし、先にも進めない」って思いました。

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「パタゴニア」創設者のイヴォン・シュイナードさんと。(提供:エシカル協会)

―― それはすごく勇気の出る言葉ですね。フェアトレードやエシカルに限らず、「自分の心に従うこと」なのかも。

マハトマ・ガンジーの言葉に、「幸せとは、あなたが考えることと、あなたが言うことと、あなたがすることの、調和が取れている状態である」というのがあって、私自身、『思ってること、言ってること、やってること、全部同じがいい』って、心がけているんです。どうしても忙しいいまの時代、なかなかそれが難しいと思うんです。「こういう生活がしたいけど、仕事ではそうもいかない」とか。

でも誰しも、思うこととやってることが異なると、だんだん苦しくなると思うんです。私自身、日頃から思ってること、やってることにズレはないか、確認しながらやってます。

―― 自分を振り返る時間を設けることが、心のメンテナンスになっているのでしょうか。

特にそのための時間を設けているわけではないのですが、移動時間が多いので、その時間を充てています。移動時間こそ、誰にも邪魔されない時間だから、すごく大切にしたくて、本を読んだり、考えごとをしたりして過ごしています。

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―― 映画や本、絵本も好きだそうですね。

映画は、仕事を始めるきっかけにもなったもの。芸能界に入りたい、テレビに出たいって気持ちはなかったのですが、「英語が使えて大好きな映画監督に会える仕事なんて、ぜひやりたい!」って、映画情報番組のオーディションを受けることにしたんです。

絵本が昔から好きで、最近は読めていないですが、一番好きなのは、ユリ・シュルヴィッツの『よあけ』。夜明け前から夜明けになっていく色の静かな様子が描かれていて、色がすごくきれい!

【末吉さんの好きな本】
・『きみが住む星』(池澤夏樹、角川グループパブリッシング、2008)
・『旅をする木』(星野道夫、文藝春秋、1999)
・『想像ラジオ』(いとうせいこう、河出書房新社、2015)
・『二十億光年の孤独』(谷川俊太郎、 集英社、2008)
【末吉さんの好きな映画】
・『クレイマークレイマー』(ロバート・ベントン、2015)
・『さらば、わが愛~覇王別姫』(チェン・カイコー、2001)
・『マンマ・ミーア!』(フィリダ・ロイド、2012)
・『きっと、うまくいく』(ラージクマール・ヒラニ、2013)

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5年前くらいに始めたサーフィン。いまはもっぱら水面を漕いで移動する「stand up paddle」がお気に入りという。「サーフボードよりちょっと大きいボードに立って、パドルを持って、立ちながら進むというもの。あまり波がない、静かな沖の真ん中に立つと、すごい静寂に包まれるのが気持ちいい! 海のお散歩です」。(提供:エシカル協会)

―― ストレス発散でやっていることはありますか?

私は本当に単純で、嫌なこととか寝ると忘れちゃう......(笑)。だから溜め込まないほうですけど、一番のストレス発散は、食べて飲んで寝ること! いちばん基本的なことを楽しんでいます。食べるの大好き! 嫌いな食べものはありません!

いま振り返ったら、テレビに出ている若い頃のほうが、いろんな闇が強かったかもしれない(笑)。

そういうのを感じなくなっていったのも、世界にはあまりにもいろんな人がいるというのを感じたから。日々の小さなことで腹を立てる自分が嫌だし、なにより時間がもったいない。「怒ってるのがもったいない!」って、思うようになりましたね。

―― ちなみに! 好きな人のタイプは?

笑うツボがいっしょの人。どんな人にも、良いところと悪いところがありますが、その人の欠点も好きになれるかどうか、というのは大事かも。あと、私はいつも笑ってたいので、笑うポイントと、好きな食べものや傾向が似ている人が好きです。

―― どんなおばあちゃんになっていたい?

考えたことなかった! 一番は、健康であること。あと、オシャレはしていたいですね。

―― よく着るブランドやお洋服はありますか?

「ピープルツリー」のアンバサダーをさせていただいているので、「ピープルツリー」はよく着ますが、いろんなエシカルブランドのものを着ますよ。

服としては、ワンピースは多いかも。1枚で済むから......(笑)。実は、めんどくさがりやなんです......! あと、デニムも好き。色だと、ブルーや白が多いんですが、暖色は自分自身、あまり似合わないと思っています。

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インタビューの日のコーディネート。アンバサダーを務める「ピープルツリー」のワンピースに、若き女性ガラス作家・戸田晶子さん作のリングが光る。「Escama Studio」のプルタブバッグは名刺入れとして。竹籠の巾着バッグは、「crafty」のもの。日本の若いデザイナーが、竹籠職人である自身の父親とコラボで作ったという。

―― 末吉さんの活動もあって、フェアトレードを含めた「エシカルファッション」という言葉が広まってきました。

「エシカル」という言葉を前面に打ち出すブランドもあれば、そうでないブランドもあります。ただ、いつも言っているのは、わざわざ「エシカル」という言葉を使わなくても、環境や人に配慮するのが当然な社会になってほしいということ。

いま、この言葉が必要なのは、あまりにもいまの世の中がエシカルではないから。過渡期のいまは、エシカルであることを意識するためにも必要だと思います。言葉は、みんなで共通の認識を持つ旗になっていると思います。

国の政策でも、学校教育の中でも「エシカル」という言葉が出てきていて、もはや「一時の流行」で片付けられる言葉ではないと思うんです。

言葉を使う、使わないは自由ですが、いろんな分野でぜひ「エシカル」という考え方を取り入れてもらえたらと思っています。

―― では最後に一言!

私の父はよくこう言います。

自分が持っているお金の1%を社会のために使う。
自分が持っている時間の1%を社会のために使う。
もし両方持っていなければ、自分の心の1%を社会のために使う。

私はこの言葉がとても好きです。たった1%と言っても、簡単なことではありません。でも日々の暮らしの中で実践することで、その積み重ねが希望のある未来を作ります。

エシカルは倫理と訳されるので、「国や人によって倫理観は違うから、エシカルは実現し得ない」と、よく言われます。ただ、いま私たちが広めているエシカルという考え方は、「人として、誰が見ても、誰が考えても、おかしなことは改めよう」ということ。それぞれができるところでやっていけたらいいですね。

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末吉里花
【blog】https://ameblo.jp/sueyoshi-rika/
【一般社団法人エシカル協会website】http://ethicaljapan.org/

撮影協力:青山のオーガニックレストラン「navarre TOKYO」にて。(03-6450-6341)