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「kawaii」から始まるコム デ ギャルソンの新たな革命

「kawaii」から始まるコム デ ギャルソンの新たな革命の画像

川久保玲による新たな革命を、英i-D最新号『The Radical Issue』のためにマリオ・ソレンティが撮りおろした。

Photography Mario Sorrenti. Fashion director Alastair McKimm.

By i-D Team translated by Ai Ito photos by Mario Sorrenti

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川久保玲のCOMME des GARÇONS2018年春夏コレクションの冒頭には、どこかちぐはぐな印象があった。オープニングルックのジャケットと、豪華なベルベットに画家アブラハム・ミグノンの花の絵がプリントされた巨大に膨らんだヴィクトリア朝のスカートのシルエットがそう感じさせたのだろうか?

今シーズンのコレクションはアーティストとの協働が目立ったが、特に川久保玲が9人のアーティストと挑んだコラボレーションは目まぐるしい現代社会を象徴しているようだった。静謐で気品溢れるミグノンの植物画や雪村による繊細な筆の軌跡が現れたと思えば、eBoyがピクセルで描いた風景にステファン・マークスのスケートカルチャー・アート作品が重ねられた世界へと切り替わる。セルジュ・ヴォリンの描いたグラフィカルにデフォルメされた人の顔がこちらを見つめ、16世紀からはアルチンボルドの果物や野菜を組み合わせて人を表現したトロンプルイユが現代的なポップさをもって登場した。川久保玲は今季のテーマを"マルチディメンショナル・グラフィティ"とし、彼女らしい作品を我々に提案したのだ。「壁に描かれたグラフィティが動き出したかのよう」とエイドリアン・ジョフはショーのバックステージで語る。

昨年の川久保玲のファッションにおける反逆精神は、ニューヨークのメトロポリタン美術館で開催された回顧展『COMME des GARÇONS: Art of the In-Between』に注がれた。この展覧会が川久保玲が自身の本質的テーマと作品の説明をする機会だったとしたら、今回のコレクションは展覧会をキュレーションする過酷な過程において、安定剤のような存在になったのではないだろうか。

COMME des GARÇONSはこの回顧展を経て、文化的存在感とその地位をゆるぎないものにした。だからこそ川久保玲は今シーズン日本の"カワイイ文化"をコレクションに盛り込み、熱狂的オタク文化を表現した。新しく獲得したファンにむけて、海外から見る日本文化のステレオタイプな言葉やイメージにかつてない深みを織り込んでみせたのだ。

10代の無垢さを感じさせる、赤、白、スキントーンといった色彩のパッチワークは嫁入り衣装のようだったし、"竹下通り的"彫刻ヘアは、ジュリアン・ディスが休刊した『FRUiTS』へ捧げる敬意の念だろう。ドレスにプリントされた高橋真琴が描くキラキラと夢見る大きな瞳の少女がこちらに微笑みかけ、光と愛を放つ。これらのアーティストの作品が混ざりあい、時には天使の羽すら生やしてランウェイを歩くモデルたちは、陳腐な商業主義から私たちを救い出すために現れた秋葉原のマスコットのように見えた。

2018年の春夏にふさわしく、ショーは活気にあふれていた。けれど同時にそこには陰鬱なものも潜んでいた。自己と他者、秩序と混乱、そして活力と喪失感 ──それはメトロポリタン美術館での回顧展にも通底するものだった。ハロー・キティグッズにも、過激に描かれた花にも、輝く青い瞳でこちらを見つめる少女のイラストにも、その思想はしっかりと宿っている。

Text Susie Lau. Taken from her Comme des Garçons spring/summer 18 show review.

Credits
Photography Mario Sorrenti
Fashion director Alastair McKimm
Hair Recine at The Wall Group using Rodim
Make-up Kanako Takase at Streeters using Nars Cosmetics
Nail technician Honey at Exposure
Set design Philipp Haemmerle
Lighting technician Lars Beaulieu
Photography assistance So Yoshimura
Digital technician Kotaro Kawashima
Styling assistance Sydney Rose Thomas, Maggie Holladay and Desiree Adedje
Hair assistance Kabuto Okuzawa
Make-up assistance Megumi Onishi
Set design assistance Ryan Stegner
Production Katie Fash and Steve Sutton
Casting director Samuel Scheinman for DMCASTING
Model Adut Akech at The Society
Adut wears all clothing Comme des Garçons. Hats stylist's studio.

This article originally appeared on i-D UK.