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パグメント、"近未来の防護服"をテーマに2018年秋冬コレクション発表

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土曜日の昼下がり、駒込・KAYOKOYUKIにて今福華凜と大谷将弘によるファッションレーベル「PUGMENT」のショーが行われた。デザイナー2人とも美術大学で油絵科を専攻したのち、服飾専門学校で学んだバックグランドをあらわすかのように会場には様々なジャンルの人々が集まっていた。アート、ファッションの間を浮遊する彼らが表現するファッションレーベルのあり方とは?

By YOSHIKO KURATA photos by mayumi hosokura

3フロアに分かれた会場に入ると、まず奥にあるエレベーターが見えたが、それ以外に特に仕掛けを取り付けていないことが気になった。というのも、2018春夏シーズンでは、ファッションショーのあり方自体を問う形で、会場それぞれの階にファッションショーの裏から表舞台までの役割をもたせた演出を行っていたからだ。3階をショーの休憩室、2階をバックステージ、1階をランウェイと見立て、例えば2階では観客が見守る中、荷物を出荷するかのようにモデルを服とヘアメイクで包み込み、カゴ台車で移動する演出を行った。今回もそのようにモデル以外にもなにか演出を加えながら、コレクションを表現するのかと想像していたが、その予想はファーストルックから打ち破られることとなる。

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「前回はショーに焦点を当てましたが、今回は服を見て観客がどう思うかをシンプルに表現したいと思いました。その想いから正当にランウェイショーを行いました」と話すPUGMENTの2人。ファーストルックでは、胸元にコレクションタイトル「1XXX-2018-2XXX」をプリントしたスウェットとセットアップパンツを纏うモデルがエレベーターからゆっくりと登場。そのまま静かにキャットウォークを始めた。今回のコレクションは、タイトル「1XXX-2018-2XXX」のとおり、日本の和装から洋装化した過去、そして現代までのファッションスタイルをキーワードに制作を始めたという。「これまでの日本のファッションスタイルを振り返りながら、サイエンスフィクションとして未来の世界を考えたときに、おそらく未来では核戦争や原発などの影響から防護服しか着れないんじゃないかと想像して。その状況においてファッションはどのように防護服と融合するか考えて、いま日常着として着ている服の形に近い防護服をイメージしました」。そう答える通り、豊かな色彩のスカーフ、ダウンコート、もんぺ、当て布団を使ったシンプルな作りの服が流れてくる。これらのパターンは、ファストファッションのパターンを複製したという。「今回の舞台である未来の世界には、国という境さえもなくなっていると想像しているので、服作りでも世界どこにいってもある形を追い求めるようになり、結果ファストファッションに行き着きました」。ショーの終盤に登場したベールには、膨大な数のファッションスタイルに関する画像をスタイリングしたスタイリスト・小山田孝司によるコラージュ作品が揺らめいた。

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今回のコレクションは、アートギャラリー・KAYOKOYUKI、書店・UTRECHT 、セレクトショップ・ Nidの3会場で発表される。この自由にジャンルを横断するPUGMENTの姿は、デザイナー自身が学生時代からアートとファッションを行き来していた体験に由来している。作品のコンセプトを手に色々な場所で発表することで、ジャンル間での交流が生まれることを試みているという。「自分たちにとって、作品は本質的にアートでもファッションにおいても変わらないものです。本質は同じで出方や形式、流通方法が違うだけだと思うので、色々な伝え方をすることでさらにお互いの場所の自由度を高められると思っています」。過去にアートとファッションの間にある壁を打ち破ろうとしてきた先駆者がいる中、実際にショーを開催後、他会場でも展示が始まってからの心境はどのようなものなのだろうか?

「観客の心理部分の壁をなくすことが一番難しいと感じました。今回3ヶ所で発表を行うことで、アートとファッションで活動している人たちがそれぞれ互いに壁をもっていることをより一層感じました。一方で、それを打ち破る術としてファッションの力を信じているので、今後はブランドの強度をあげて、さらに様々な場所での流通を促せるようにしたいと思っています」

日本のめまぐるしい街並みの変化とともに、ファッションにおいては原宿系からファストファッションへ、そしてラグジュアリーブランドへと近年日本は様々なファッションに憑依されてきた。それら時代の動きを身体的に体験した1990年生まれの彼らが示すファッションは想像以上に柔軟にかたちを伸縮させながら進化していきそうだ。

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