Mitsuhiro Minami

メルカリが支持されている理由とは?

南 充浩

繊維産業ブログ

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メルカリの浸透と古着の愛好は似て非なるものであると考えるのが適切だろう。

メルカリが意識調査 「若者の新品離れ」くっきり
https://senken.co.jp/posts/mercari-survey-2018

メルカリが調査したアンケート結果の記事だが、正直いうとこの見方には疑問しか感じない。

若者に限らず、要らなくなった服をメルカリで売る人・買う人が増えたのは、Q1のグラフでも1位になっている通り「価格メリット」があるからである。
買う人は、欲しかった服・買おうと思っていたけど売り切れた服が定価よりも安く買えるからというのが一番の理由だろう。

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逆に売る人にもメルカリはメリットがある。

通常、不要になった服を古着屋に持っていくと、よほどのブランド物を除いては二束三文で買いたたかれる。
しかしメルカリだとその相場よりは高く売れる。

ちょうど昨年の今頃、ユニクロで買いそびれた薄手ワークジャケットの在庫状況を調べていて、メルカリに迷い込んだことがある。
そのジャケットは売り切れる手前はたしか990円くらいにまで値下がりしていたと記憶しているのだが、メルカリではなんと2000円くらいで出品されていた。
もちろん定価よりは安くなっていたが、店頭の最終販売価格に比べると高い。

これで最終取引が成立したかどうかまでは見ていなかったが、もし仮に成立するとしたら、そこら辺の古着屋に持ち込むよりはよほど売りがいがある。
ユニクロの古着なんて買い取り査定の対象にもならない。
だから、メルカリは買う方ばかりではなく売る方にも価格メリットがある。

メルカリの支持はいわば「経済的合理性」が最大の要因だと見ている。
ちなみに、口では「個性」を謳いながら、何の工夫もなく大手セレクトショップや大手SPAが他社の売れ筋追随をすることが「経済的合理性」では断じて無い。

このアンケートはまだ続くのだが、見て行けば見て行くほどに、「若者の新品離れくっきり」とは思えなくなる。
Q2では中古品の購入に抵抗感があるか?という問いに対して、「まったく抵抗感がない」と答えた20代は16・0%と一番多いが、とはいえ、30代でも7・5%いるし、50代に至っては10・5%もいる。
そもそも16%の人しか支持してない時点でそれほど「多数派」とはいえない。

Q3は中古品を買う機会が増えましたか?という問いだが、フリマアプリ利用者は「とても増えた」が13%、「やや増えた」が35%となっているが、フリマアプリ非利用者は「とても増えた」が2・6%、「やや増えた」が11・8%しかいない。
そもそも、フリマアプリ利用者と非利用者の割合が示されていない時点でアンケートとしてはあまり価値がない。

極端に言えば、利用者が10人、非利用者が990人ということだって考えられる。
ここまで母数が変われば、それぞれに含まれる比率を比較したところでまったく意味がない。

さらにいえば、フリマアプリ利用者だって「増えていない」と答えている人が51・4%もいる。
フリマアプリ利用者ですら「増えていない」という人が過半数を占めている。

この結果で「若者は古着を買う回数が増えた」と結論付けることはかなり無理がある。

そもそも我が国には古着愛好者がメルカリ登場以前から一定数量存在する。
古着を買うことにまったく抵抗感がないと答えた50代が10・5%もいることがその証拠といえる。

古着を買う人がいるのはメルカリとはあまり関係ないと考えた方が事実に即した施策を講じられるのではないかと思う。

20年くらい前に、ビンテージジーンズブームが起きた。

この当時、かつてのビンテージジーンズのレプリカを作って販売するレプリカメーカーが多数生まれた。
エヴィス、ドゥニーム、ダ・ルチザン、シュガーケーンなどなどだ。
しかし、その一方で「本物志向」も強まり、かつて生産されていたジーンズを古着で買うこともかなり流行した。
タレントの何某が、ン十万円で何十年前のリーバイスジーンズの古着を購入したというようなことはその一例といえる。

この当時の30代が今の50代であり、この当時の20代が今の40代である。
当然、だから50代は古着愛好家が多いし、40代だって「まったく抵抗がない」人が9・0%もいる。

さらにルーツをさかのぼれば、我が国にジーンズが流入したのは第二次世界大戦直後のことである。
敗戦した我が国に、アメリカからジーンズが輸入された。
輸入された当初のジーンズは新品ではなく、古着だったのである。

敗戦から何年間かはジーンズといえばアメリカの古着しかなかったというのが事実だ。

古着のジーンズは当然のことながら色落ちしていて、生地は柔らかくなっている。

日本のジーンズメーカー、製造加工業者が、色を落とす洗い加工や生地の柔らかさを追求したのは、日本人が最初に出会ったジーンズが古着だったからだという説があり、これは相当に正しいのではないかと思う。

国産ジーンズが作られ始めたのが1960年代初期になるが、このときにジーンズ製造に携わった人々は敗戦直後の古着ジーンズで育っていたからだ。

このように、歴史的事実に基づいて考えてみれば、70年前から日本人はすでに古着に親しんでいたといえるし、遅くとも20年前には古着がファッションアイテムの一つとして浸透したともいえる。

古着の愛好は何も今に始まったことではない。

メルカリのQ1の「商品を買う際に重視する点」に戻ろう。
表題の「新品であること」は5位になっていて、たしかにプライオリティは低い。
しかし、1位は「価格」2位は「品質・機能」3位は「信頼性」4位は「買い物しやすい場所」となっていて、どう見てもこれらは「経済的合理性」「利便性」が重視されているといえる。
新品か古着かなんて「経済的合理性」の前では重要な要素ではないと分析すべきではないか。

さらに進んで言えば、メルカリの支持される理由も「経済的合理性」「利便性」のみということになり、これがなくなればメルカリはたちどころに支持を失うと考えた方が良いだろう。

というか、メルカリは意図的に分析を捻じ曲げて「古着」を強調しているがそこに何のメリットがあったのだろうか?不思議でならない。

南 充浩

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