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「GIDDY UP」が描くファッションの未来

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Image by: Photography DANIEL SANNWALD

By Tatsuya Yamaguchi

ファッションテックを駆使するブランドGIDDY UPが2019年春夏コレクションで本格的に立ち上がる。パリでのランウェイショーを控えたこの新ブランドについて、ディレクターを務める坂部三樹郎に話を訊いた。

 

ファッションテックという言葉は、2012〜3年ごろから耳にするようになった『ファッション』と『テクノロジー』を組み合わせた造語だ。小売業や物流システムにおいてその概念はいち早く具現化され、IT技術を取り入れた革新は日々進められている。この動きはますます加速していくことだろう。と同時に、次代のファッションデザインを考えるときにもまた、常に更新される新しい技術——ファッションテックと作り手がどのように向き合うかは、見過ごすことのできない要素のひとつだ。

「実験的な段階にあったファッションとテクノロジーの関係が今、よりリアルなものへと落とし込めるタイミングにきたと感じています」。そう話すのは、〈DMM.make〉と協業して、新たなファッションブランドGIDDY UPを立ち上げたMIKOSAKBEのデザイナー坂部三樹郎だ。「3Dプリンターのマシン自体が新技術によって更新されているなか、こうした技術が今後ファッションデザインを行ううえで欠かせないものになっていくと考えています」

3Dプリンターを使って開発されたシューズやアパレル小物を展開するGIDDY UPが、"新しい"ファッションブランドである理由は単にテクノロジーの利点を最大化しているだけではない。坂部自身はディレクターに就き、デザインをクラウド化して様々なデザイナーが関わる"クラウドブランディング"というかたちをとっていくのだ。「僕は全体の方向を決めたりはせずに、何かが生まれる"環境"をデザインできたらと思っています。デザインは、見えない靄の中から誘発されるものであってほしい。方向性の示唆よりも"場作り"を意識しています」

さらに学生や若手デザイナーも参加するこのシステムは、ファッションの新しいあり方を提示するだけでなく、ファッション業界全体のインキュベートにも結びついていく。「スタートアップ段階で普段使えないような機材や技術に触れ、そこで得た経験や新たな発見を自分たちのビジネスにつなげていってほしいと思っています」。いかに才能あるデザイナーだとしても、ビジネスとしての差別化が難しい現行のアパレル流通システムにアイテムをのせても、埋没しかねない時代だからこそ「デザインだけでなく、システムそのものから構築したい」。そして「ファッションテックを武器に、アジア発で世界に通じるメゾンを作りたい」と、GIDDY UPのディレクターは語る。

Instagramにポストされたシューズのプロトタイプは既に、ファッションデザインの近未来を描いている。コレクションは、今年9月のパリ・ファッションウィークの会期中に開かれるランウェイショーで本格的に披露される予定だ。「このプロジェクトの軸はファッション。僕はそこから可能性を広げたい。色々なプロフェッショナルな人たちが入り混じった、どうなっていくかわからない状態を継続させることができれば、それ自体が"今は見えない未来"を作り上げていくと思っています」

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