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ワイ・プロジェクトが描く女性のマルチパーソナリティ

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Image by: Photography Mitchell Sams

グレン・マーティンスが手がける新時代のコレクション。
By Steve Salter; translated by Ai Nakayama

 

2018年秋冬メンズコレクションで賛否両論だった、暑苦しいけど魅力的なUGGのサイハイブーツの生みの親、グレン・マーティンスが、シックを極めたY/Projectの2019年春夏コレクションを発表した。本コレクションでグレンは、Y/Projectの描く女性像をかたちづくるマルチパーソナリティを礼賛している。

ベルギー北西部ブルージュ出ながら、不快感のあるアグリーネス(醜さ)と、想像力に火をつけるクリエイティビティのあいだを行き来し、悪趣味スレスレの綱渡りで可能性を広げてきた。今シーズン、Y/Projectは見事に組み立てられたシックネスで多くの観客を驚かせつつも、これまでの攻撃的で挑戦的な姿勢を崩してはいなかった。

「今シーズンは、多様性を打ち出したかったんです。全48ルック、48人の女性です」とグレンはショーの前に説明した。50年代的古典主義の再解釈から90年代のクロップドトップス、カントリークラブからオフィス、熱気むんむんのダンスフロアから慈善舞踏会...。グレンと7人のチームは、全方位的で、不思議なかたちのワードローブをつくりあげた。今回はアクセサリーもルックの大事ないち部であり、ブランド初のアクセサリーラインが発表された。透明なクラッチバッグやレザーのアコーディオンバッグを始めとするバッグ、リンダ・ファローとのコラボから生まれたサングラス。ブランドの成熟を示すようなコレクションだ。「私たちは様々な要素を含んだブランドですが、今回はY/Projectが描く女性像におけるマルチパーソナリティを賛美したかったんです。それぞれのストーリーを結びつけるのは、コンストラクションです」

長らく〈Y/Projectらしさ=建築的なコンストラクション〉であったが、本コレクションではそれが極限までそぎ落とされている。「私たちのスタイリングを理解できない人もいると思うんです。だけど、私はブランドの構造的な要素に誇りを抱いているので、それを提示して、テーラリングに主眼を置きたいと思いました」とグレン。レイヤーにレイヤーを重ねるテクニックは、人によっては視点がブレる、と感じるだろうが(私はそうは思わないが)、本コレクションではその使用が抑えられており、職人技の妙味を堪能できる。もちろん、新しい生地や配色で提案されたダブルショルダーのポロシャツ、ハイレグカットのベルト付きパンツ、マルチレイヤードドレス、ポップアップジーンズなどのアイコニックなアイテムにおいて、脱構築的で不均衡なスタイルが基本原理となっているのはみてとれる。しかし、より身体のラインに沿ったアイテムには、これまでになかった官能性が宿っている。初めから終わりまで、新たなナラティブによって核心にある掟が再解釈されている。スカートと一体化したパンツや、パンツドレスは、ストンと落ちるラインと流れるようなボリュームをいとも簡単に調和させている。それでいて、クラシックなセーターに寄せて上げるブラがついていたりして、フェミニニティが思いがけないかたちで解釈されている。シックと官能性は両立するのだ。

Photography Mitchell Sams

This article originally appeared on i-D UK.

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