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メンズコスメの次はマニキュア?ネイルを楽しむ男性たちの素顔

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「ネイルサロンが男性に寛容になって、少しでも障壁を破ってほしい」。〈Boys in Polish〉プロジェクトの代表でネイルアーティストのジェス・ヤングはそう願う。

By Laura Pitcher; translated by Ai Nakayama

Instagramアカウント〈Boys in Polish〉を設立した20歳のネイルアーティスト、ジェス・ヤングは、自分がネイルアートの道を選んだきっかけについて、「アジア人の血が騒いだ」とうそぶく。「ネイルアートを始めたのは11歳のとき。小学生の私は、母親の友人が経営しているネイルサロンに向かう母親によくついていってました。そこで、おもしろそうだなって思ったんです」。それから数年後、フリーランスのネイルアーティストとなり、世界的にも有名なロンドンのネイルサロン〈WAH Nails〉で働くようになったヤングは、どうして男性がネイルアートを楽しむことがいまだにタブー視されているのだろう、と疑問を抱くようになる。

「私がネイルアート業界に足を踏み入れてから5年が経ちますが、マニキュアをつけている男性はほとんど見たことがありません」とヤング。彼女はこの気づきを、美術学校在学中の夏休みの課題のテーマとして研究したが、結果としてそれに留まらず、今や、彼女が人生をかけて取り組む課題となっている。彼女は2018年3月に@boysinpolishのInstagramアカウントを立ち上げ、フジフィルムのカメラで家族や友人たちを撮影し始めた。

ヤングは、被写体となる男性たちに、自ら撮影をディレクションしてもらうという。そうすることで「自分自身を演出する」そうだ。男性たちはロケーション、服装、ネイルカラーとデザインを自ら選ぶ。なかには普段からネイルを楽しんでいる男性もいるが、大半がそうではない。しかしいち度ネイルの楽しみを知ると、これからも続けていきたいと思うようになるそうだ。

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「明るい色に挑戦する男性もいれば、モノトーンを好む男性もいます。ネイルにメッセージを描いたことも、男性が自分で描いたアートワークを描いたこともありますよ」とヤング。「ネイルアートって、何してもいいんです」

被写体のひとり、バリーは、他の被写体とは少々異なる理由でネイルを始めた、とヤング。というのも、彼の場合は、爪を噛む癖を改善するためのネイルアートだったのだ。ネイルカラーは「テンションが上がる」と思ったらしい。

ヤングが特に気に入っている被写体は甥のメイソンで、このプロジェクトにも登場している。「私の姉妹は何に対してもオープンなんです。彼の写真を撮影するさいも、被写体のセルフディレクション、という基本ルールは踏襲しました。撮影の翌日には、メイソンが通ってる幼稚園のみんながネイルをうらやましがってたみたいです」

これを聞いたヤングは、いつか少年向けのワークショップを開こうと考えている。また、もうひとりの甥のネイル写真の撮影も、彼女が心待ちにしていることのひとつだ。さらに、世界中の男性にネイルアートを描いて、彼らにもっとネイルを楽しんでもらい、さらにはネイルアーティストになりたいと望む男性を増やしたいとも願っている。

「ネイルアーティストって、女性に比べて男性の割合が極端に低いんです」とヤング。「私が知ってるのは2~3人だけで、しかもみんなゲイの男性です。ネイルアート業界で、ストレートの男性にもクリエイティビティを発揮してほしいと私は思います」。しかし、男性のクライアントは着実に増加していると彼女自身体感しており、あと3年もすれば、男性のネイルアートは「普通のこと」になるだろう、と予測している。

シャーマディーン・リード(Sharmadean Reid)が創業したWAH Nailsでは、セレブの顧客も多い。〈Gully Guy Leo〉という名で、SNS上で人気を博す若きファッショニスタ、レオ・マンデラも、最近彼女の常連顧客となったばかり。ヤングはこのプロジェクトのために彼の写真を撮ることになっており、楽しみだ、と語る。彼だけではなく、全ての顧客についてヤングは生き生きと語る。顧客それぞれのストーリーやバックグラウンドに、彼女は心から関心を抱いているのだ。彼女と話していると、大勢の人が施術中、彼女に本音を打ち明けてしまうのもうなずける。初めて会うお客さんと話して、彼らのことを知っていくことができるのは、この仕事が好きな理由のひとつだとヤングは断言する。

ヤングは今も〈Boys in Polish〉プロジェクトのために撮影を続けている。アカウントにはびっくりするほど好意的な反応が寄せられており、このプロジェクトは多くの人の共感を得ている、とヤングは語る。「ここまで大きなプロジェクトになるとは思ってませんでした。最初は、ただおもしろいかな、と思って載せていたので」とヤング。「でも今は、これこそ私がみんなに伝えたかったメッセージだ、って確信しています。私はただ、ネイルサロンが男性に寛容になって、少しでも障壁を破ってほしいと思ってるだけなんです」

男性美容業界が成長している現在、ヤングのようなアーティストたちが、すべてのジェンダーに門戸を開放しながら、男性もネイルを楽しんでいいというメッセージをシンプルに示し、美容へのハードルを下げようと努力している。男性たちの素顔を切り取り、かつては女性のモノだとされてきた分野に男性を引き入れているヤングのポートレイト。彼女にとってそれは結局、子どものときから愛してやまないネイルの世界を、この世の全ての人に楽しんでもらいたい、という純粋な願いの発露にすぎない。

「これは男性的なモノ、女性的なモノ、という固定観念を取っ払って、誰もが人間として、楽しみを享受してほしいですね」とヤング。「過去の常識を変えていくのは、私たち若い世代の役目だと思ってます」

This article originally appeared on i-D US.

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